悪魔の戦輪:フューリーホイール
気持ち悪い話をします。閲覧にはご注意を。スルーするか、化学的な見地を優先できる人のみ読んでください。
戦国時代に作られた『酒』。それは品質管理・保存技術など様々な問題が考えられますが。断トツでまずいのが『製造方法』です。
某ヒット映画のように〔神秘の清らかな人物が、相応の儀式を経て作った『お酒』〕なら良いのですが。
ナルシス勘違いの暴君・老害の類が、自分の“体液”で発酵を行った。
“尊い自分の体液で作ったのなら、スバラシイお酒ができるに違いない!!”などと考えて、酒を造れば。“酒毒”のかたまりができてしまう。
“梅毒”その他の病気にかかっている、患者の“体液”が広まりかねない。戦国時代の『にごり酒』には、そういうリスクがあると愚考します。
さすがにそこまで“危険なモノ”は、酒造りに関わる人が『すり替え』を行ったと考えますけど。
6級C.V.であるマイアは、C.V.の中でもそこそこに強く。〔ステータス的に、人間たちがかなう相手ではない〕と言われている。
ただしその程度の戦闘力なら、上位の『魔獣・幻獣』も同程度の伝承があり。それらも人間の『奸知・機知』によって、一度でも敗れれば無敵ではなくなる。人間の知恵・欲望の力はそれほど強力であり。本来、6級C.V.と言えど油断できる相手ではない。
それなのにマイアが今日まで生き残れたのは、二つの理由がある。一つは人間を研究して、対人戦闘の訓練をおこなってきたから。正攻法・奇襲に卑劣な謀略まで。
〔賢いつもりの策士が、思い浮かぶ程度のシナリオは対策済み〕であり。
「回れ!私の戦輪 フューリーホイール!!」
「「「・:!*?`/」」」「なぁっ!~!?」「敵襲っ!敵syu>!:?」
『魔力の戦輪』が群れとなって、盗賊の戦闘部門が拠点と定める場所を襲撃する。それは拠点の壁をすり抜け、騒音をまき散らし。縦横無尽に飛び交い、転がり。(アヤメの双竜爪のごとく)通路を這うように、進んでいく。
「落ち着けっ!チャクラムへの対抗策は既に練っている。落ち着いて用意したモノを`・^+;?」
「アニキッ!?」「これはっ、いったい・・`!?」「ッ!?、まさか、もう・・~」
『走り、舞い、転がれ・・影よ!』
無論、マイアの魔術能力で『壁をすり抜けるチャクラム』など操れるはずもない。せいぜい『チャクラム』への執心が、『幻影チャクラム』を投影するのが関の山であり。
こんな『幻影チャクラム』では8級C.V.はもとより、中級シャドウにも通用しないだろう。
しかしシーフブレイバーの拠点は、恐慌の波にのみ込まれつつあった。
「・・:~っ」「こうなればっ!」「おのれ魔女めがっ!」
「よせっ、落ちTu・;/」 「ヤメっ!*」 「何とかする!だからチャnN/*:」
何故ならマイアが急襲を仕掛けたその時、シーフたちは仲間割れをしている。もしくは“魔女狩り”を行っているから。
マイアが仕込んだ『魔術の楔』により、シーフ兵の『影』から『幻影チャクラム』が放出され。
連中はそれらを〔『発生源』ごと消そうとする者〕と〔『幻影』だけを消そうとする者〕たちで反目し。〔時間を稼ぎ、分析を行おうとする者〕と〔『チャクラム』を放出している『影』を持つ者〕とで熾烈な追跡劇をくり返し。
シーフブレイバーの拠点は、収集のつかない混乱に陥りつつあった。
「いったい何が起こっている!!」
「「「「「・・:^`・・」」」」」
シーフブレイバの本拠地と言える。『古代遺跡』を改築して建てられた、『地下要塞』の最深部に頭目ヴァープスの怒声が響く。それに対しスノルチたち側近たちは視線をそらし。重苦しい沈黙が部屋を満たした。
その理由は複数あり。一つは“幻影チャクラム”が、この『地下要塞』で猛威をふるっており。それに対しシーフブレイバーたちは何ら有効な対策を取れていない。
高い戦闘力を誇るC.V.に対し、まともな迎撃ができないどころか。そもそもC.V.マイアに対し戦闘を挑めていない。
チンピラ同然に混乱するという、醜態をさらしているためだ。
「ご報告いたしますっ!」
「何事だ・・!」
「“チャクラム発生源”の7割を処分しました。このまま処分を続けていきます」
「よし・:・」
伝令の報告を聞き、室内にいる大半の者が胸をなで下ろす。
“チャクラム発生源”とは、各地の拠点から集められた『精鋭シーフ』であり。この本拠地の戦力を強化するはずだった。
しかし連中は既にC.V.の“呪い”によって汚染されており。『影』から『幻影チャクラム』を出現させ、本拠地を危険にさらす。にっくきC.V.の“使い魔”にすぎない。
戦闘部門を統括する者として、兵隊が減るのは残念だが。ヴァープスは“呪い”にかかったシーフブレイバーに自害を命じ。拒否する者は、“裏切り者”として抹殺するよう指令を与えた。
「これでこの混乱も収まるだろう。あとは『チャクラム』への対抗策が成功するかだが・・・」
「「「「「・・-;・`・」」」」」
「この機に“魔女C.V.”どもが襲撃を仕掛けてくるかもしれん。警戒を・・」
「「「-~!;っ!?」」」「ひィっ!」「なぁっ・`!?」
指示を出そうとしたヴァープスのセリフをさえぎり、側近たちの悲鳴が響く。
それと前後して伝令役のシーフがいる方向から、円形の飛び道具が複数出現し。
ヴァープスの視界で、様々なチャクラムが縦横無尽に狂騒を開始した。外枠だけの片側車輪が、大きく跳びはね走り出し。その横を床と水平に『円盤形』が螺旋を描くように、部屋中へと広がっていく。
さらに〔空中はチャクラムの領土だ〕と言うように『回転する刃』が飛び交い。壁に消えて、現れる『チャクラム』は、〔激突して“自滅”する可能性はゼロだ〕とわかりやすく知らしめた。
「愚か者がっ‥消え失せろ!」
「っ‼、¡」
『サンダーストンプ!:!』
「そんN*・;〝--」
当然、そんな“チャクラム”を誘導した、“愚か者”などギルドに必要な人材ではなく。
参謀スノルチの怒声と共に、放たれた『魔術』によって黒焦げになる。
“C.V.勢力”という、盗賊ギルドの存亡を左右する難敵と戦争しているのだ。愚か者・足手まといに、事実上の“裏切り者”は速やかに処分するしかない。
無駄な会議を開くまでもなく。本拠地の最深部にいる幹部たちは、その意思を同じくして。
『やはりC.V.勢力にとって大事なのは、シャドウ一族しかいない(シーフ連中など不要な存在だ)』
死神C.V.の宣告が、ヴァープスたちの耳に響いた。
『何者だ!』『どこにいるっ、姿を現せ!』『『『・・`:・』』』
無駄と知りながら、誰何の声を放つ。拠点の最深部にこもる、シーフブレイバーたちの策士たちに答えることなく。マイアは盗賊戦士たちを殲滅するべく、意識を切り替え。
「もう試練は必要ないな。
『砂礫の旋盤は、水車の霞と同時に沈み
陽炎の舞台は、旋風をもって幕をおろす ブレイクホイール』」
先程まで猛威をふるっていた、『恐怖の戦輪』を停止させる。
続けて『チャクラムホイール』で製作した、『魔力の戦輪』を具現化・浮遊させてから、編隊を組ませ。
「これよりシーフブレイバーの殲滅を開始する。『回れ!私のチャクラムたち:‥』」
そうして地下要塞の攻略を開始した。
ネタバレ説明:フューリーホイールについて
様々なチャクラムの『幻影』を作る。車輪・旋盤や水車に糸車まで。本来は各種チャクラム・雑多な車輪?の『幻像』を製作し、研究データを集めるための『魔術能力』です。
そのため今回のように、敵をかく乱して恐慌に陥らせる。そんな任務は初めてであり。C.V.のマイアとしては成否など、どちらでもいいと思っています。
なお犠牲者のシーフたちは〔吸血鬼がかみついて、下位吸血鬼の眷族を増やすのと同じように。魔女に呪縛された者は、『幻影チャクラム』を投じる“使い魔”にされてしまう〕・・と『誤認』しています。
実際、マイアは地下要塞をパニックに陥らせ、崩壊させるため。そういう誤解を生むよう、『幻影チャクラム』の発生地点をシーフの『影』に設定しており。
魔術素人のシーフたちは、“魔女狩り”ならぬ“使い魔狩り”を行ってしまい。凄惨な同士討ちをするよう、誘導されています。
まさに悪魔の所業であり。〔魔力で精製された、自決用の毒に干渉して。暗殺者たちに自滅を強要させる〕魔女C.V.にふさわしい術式と言えるでしょう。
ただしマイアは命令されて、この恐慌を引き起こした。チャクラムの試行錯誤に使う『幻影』を流用・アレンジしたにすぎず。
急造の三流幻影なので、シーフ連中は逃走も可能だった。協力すれば『幻影チャクラム』をダガー他の武装で破壊することも可能であり。
せいぜい『目印』をつけられたにすぎない。『幻影チャクラム』の発生地点にされたシーフたちが、同時にアクロバティックな動きをすれば『目印』を解除することも可能でした。
そうしてマイアの上司に実力を認められれば、マシな条約?を結んで生き長らえるチャンスもあったのですけど。
〔(幻影でない)チャクラムを放つのは、無能で役立たずだから。弱いから『使い魔』にされたのだ。そういう足手まといは抹殺する〕・・・という判断をしてしまい。
〔そういう判断をするシーフはいらないかな。頭数は別のところでそろえよう〕、という判断を上位C.V.はしています。
なおマイアに限らず。6級C.V.はイセリナの『ソロモンゴールド』のような、魔導を使えない。人間を『無意識に情報提供をする使い魔』に変える類の、『魔導能力』は持っていません。
今回の物騒な『フューリーホイール』の正体は、『古代遺跡?』の装置にマイアが干渉を仕掛けた。『目印』をつけたシーフを、『魔術装置』の力で位置情報を把握し。攻撃力の無い『幻影チャクラム』の発生地点として利用したという。
欠点だらけの『幻影チャクラム』が戦果をあげた・・というのが真相であり。
〔シーフブレイバーたちは、いくつかあったチャンスを棒にふって破滅した〕と言えるでしょう。
要人の殿様には当然、『毒味役』がいますが。一定量を飲まないと、“酒毒”の症状は出てこないわけで。“酒毒+酒乱”がもたらす凶暴性・判断の誤りは、かなりシャレにならない。毒味をすり抜けてしまう。
“骨肉の争いをして痛飲した。付き合いで(体液で発酵させた酒を飲む)酒宴を開いた。めったに酒を飲まない者が、飲むペースをわからずアル中になった。食い合わせの知識など無い!”
戦国時代にはアルハラ・酒乱のリスクは無数に転がっており。それが軽いか否かは、勢力の趨勢を左右しかねない。
身も蓋もないことを言えば。〔『良質の酒』を供給できるか、否かで。人物の成長・育成の成功率が変わる。骨肉の争いが発生する、確率・リスクが『酒の品質』で左右されてしまう〕
そもそも『毛利』・『上杉』に『織田』の三大戦国大名に、“酒の問題”が存在したなら。他の戦国大名・豪族たちも、『酒』の品質によるアルハラ・酒乱のリスクはあったと推測します。