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水蛇の姉妹~双竜咬::

 以前にも書きましたが。わかりやすく忍者だとわかる『忍者装束』は、実際にあったと私は愚考しています。理由はバカ殿・脳筋武将たちに対し、忍者の有用性をアピールする必要があるから。


 武士の衣装を着た忍者が情報を集めても、『浪人・傭兵』あつかいされるならマシであり。下手をすると、単なる“裏切り者”あつかいされる。最悪、身分の低い者(忍者)が〔無礼にも武士の服を着ている〕などと“生意気な卑賤の者”あつかいされかねない。


 そのため雇い主にアピールしつつ、〔武士・浪人とは違います〕と視覚に訴える。『忍者装束』はとても重要であり。


 その上で『隠し通路』『城の仕掛け』について考えると。『アレ』は別の意味を持つと思うのです。

邪悪な妖術のチカラにより、わずか数日で山砦は建てられた。


 しかしそれを遙かに凌駕する。姫長様と直属部隊の力により、山砦は次々とその戦力を失い。



 「行くぞっ、オレに続け!!」


 「「「「「承知っ!」」」」」「「っ・・--」」「「「ハイッ!」」」


 下級シャドウのイスケは配下を引き連れて、山砦に向かうルートを巡回・・していた。


 封鎖・・ではない。そちらは直属部隊のどなたかが、担当しており。イスケが行っているのは、牽制目的の遊撃?だ。

 “穴だらけの封鎖”“オトリ”など、『いくつかの任務』を並列で行っているとも言う。



 〔〔〔〔〔・・`;--*ッ!〕〕〕〕〕


 「ッ!?」「ひィっ:」「;+っ--ーー」


 “ナニか?”の断末魔が響き、部下たちが動揺する。大気が唸り、冷たい風が吹きすさぶ。

 十中八九、姫長(扇奈)様が『魔導能力』のどれかをふるわれたのだろう。その御力はイスケ程度の理解が及ぶところではない。

 しかしシャドウの一員として、その心情を馬鹿正直にさらけ出すわけにはいかなかった。


 特にこの配下たちに、悟られるわけにはいかない。


 「隊長・・今のはいったいっ!?」


 「姫長様が『風術』を放たれたのだろう。逃げる連中を足止めする!」


 「「「ハイッ」」」「「「「「・・`--」」」」」


 イスケの指示に対し、速やかに応じたのは数名だった。 


 何故ならイスケが率いている部下は、一種の“囚人部隊”であり。油断すれば後ろから、刺されかねない。



 聖賢の御方(イリス)様は、基本的に“盗賊ギルド”から捕虜はとらない。連中を捕らえることはもちろん可能だが。


 〔奴等を収監し、見張り、食事を与えるコストをかけるくらいなら。まっとうに生きる人々への、食い扶持を稼ぐべき〕・・・というのが幹部様たちの考えだ。


 そもそも“盗賊”どもは、牢獄の中でおとなしくしている連中ではなく。常に脱獄を狙い、復讐の機会をうかがう。『牢番』を脅迫・買収して共犯者に仕立て上げる。あげくに“囚人ルール”とやらで互いに“暴行・不審死”を発生させるなど。やりたい放題であり。

 その癖、〔捕虜に虐待している。魔術の実験材料にしている〕・・・と自らの悪行を棚に上げて、さえずることは悪辣に行う。 


 人数の少ないシャドウ、裏社会に疎い陸戦師団のどちらも。そういう捕らえた“盗賊”どもに、かけるコスト・情けなど無い。


 それが聖賢の御方様に仕える者たちの総意なのだが。


 〔そろそろ外聞を気にする必要がある。中立・日和見している勢力に、“捕虜を虐殺している”と見られるのはまずいでしょう〕

 〔〔〔〔〔・・:+^--〕〕〕〕〕〔〔〔団長の仰る通りです〕〕〕


 こういう『外交』上の理由により。“盗賊ギルド”にやむなく従っている者たちを捕らえ懐柔し。

 イスケが率いる部隊に組み込んだ。彼らが本当に“盗賊ギルド”から離反するかは、わからない。

 

 それでもシャドウ一族が、次の段階に成長するためには必要な人材であり。イスケは彼らを率い、功績をあげ、生きて帰還させねばならない。


 それが戦闘力に劣る下級シャドウ(イスケ)が、一族に貢献できる唯一の方法だ。




 『・・+//://・:///・:~~~』


 「っ!?」


 首筋に冷たいものが流され、イスケは『彼女』から危機を知らされる。


 「死ねぇ!」「トったぞ!」「「「--:ッ!!」」」


 その瞬間、イスケに伏兵の攻撃が殺到する。短弓・投げナイフが逃げ場をふさぎ。三人の兵が押し包むように、イスケに殺到する。その攻撃をさばき、そらして弾き返し。

 イスケは『術式』を発動すべく、魔力を高める。


 それは以前なら『旋風閃歩(切り札)』で反撃していた状況だろう。

 だが部隊長に任じられた、今のイスケには別の『術式』がある。


 『shaa~-////・:~〔氷霧幻〕』


 ユリネの義妹である水那(魔竜鬼)の『分身』が、その姿を現す。幼馴染みユリネとのつながりで、『水那(分身)』は護衛に同行してくれており。

 その水色半透明な『蛇体』が鎌首をもたげ、『冷たい霧(氷霧幻)』を展開していく。山中の不安定な足場を白色の霧が覆っていった。


 「噛み切れ・・『双竜咬そうりゅうこう』!」


 『氷霧幻』に重ねるように、イスケはアヤメ様に『賜った術式(双竜咬)』を発動する。『敵の攻撃を受ける・さばく』という条件は既に満たした。後はエモノを噛んで破壊するのみ。


 「「「・・・^:??」」」「不発かっ・・バカめっ!」

 「もう一度だっ・・・今度こそ仕留めるっ・・/!?」


 再攻撃の号令が、驚愕によって断ち切られる。敵の凶器に『双竜咬(衝撃波)』が襲いかかり。刃がはじかれ、『条件を満たした(イスケが受けた)』武具が破片となって舞う。

 その間隙をイスケと『水那(分身)』がこじ開けて、致命の一撃をたたきこんだ。


 「これはっ!?」


 「『双竜咬』:術者オレがさばき、攻撃を防いだ武装に対し。(限定的に)『風術』の狙撃を行い、武装解除を行う。

   もはや、こいつらは丸腰に等しい。全員かかれっ!!」


 「「「「「「「「オオッ!」」」」」」」」


 イスケの指揮により、部下たちが伏兵に逆襲を仕掛ける。兵士にとって、武装解除は敗北・降伏への一歩であり。それを強制された動揺は大きい。

 一部のものは必死に、予備の武器を取り出そうとするものの。


 『Sah\^\Ggu!』『shaa~--//』『Gyu~~ー//a~--//~~』


 「「「ヒッ!?」」」「「ぎゃブっ!?」」「やめっ、ヤメでぇー~:+*/*」


 『蛇の群れ(魔竜鬼)』と化した『水那』によって、戦意を失わせられる。

 既に展開された『氷霧幻』によって、足場はおぼろげにしか見えず。山砦を防衛する側の地の利は失われており。


 もはや勝敗は明らかだった。


 


 





 ネタバレ説明:『双竜咬そうりゅうこう


 上記のとおり。〔術者が敵の武器攻撃をさばき、受ける〕という条件を満たし。武装にのみ(・・)『風術』を放つ。武具を払いのけたり、武器を落させる。武装解除を行う『術式』です。


 防御力はともかく、体重の軽いシャドウ一族が盾役タンクを務める。『風術』を併用し、変則的な盾役を務められるよう。侍女頭のアヤメが編み出した『術式』です。


 集団戦闘なうえに、経験不足なためイスケは行いませんでしたが。発動条件を満たしさえすれば、『風術』を放つタイミングは任意で決められる。

 跳躍して足場のない襲撃者を、武器ごと墜落させたり。つばぜり合いをしている剣のつかごと、手をまきこんで狙ったり。


 〔以前に武具を受けて、発動条件を満たし。後日、再戦することになった敵の武装を、いきなり『風術』で狙う〕などという使い方も、術者の『性格・適性(執念深さ)』によっては可能ですが。


 

 イスケの場合、あくまで盾役・護衛の際に、『武装解除』のサポートを行う。そのための『双竜咬』だと思っており。防御を行い、発動条件を満たしたら。ほぼ間を置かず、敵の武装に『風術』を放ってしまいます。

 今回は部下を守り、手柄をたてさせるため。例外的に丸腰・動揺している敵を襲わせました

 

 『アレ』というのは、『忍者屋敷』のことです。


 『刀隠し』『掛け軸の後ろにある脱出路』に『どんでん返し』など。『忍者屋敷』を初めて知った、子供のころは『和風遊園地』を連想し。探検したいと思ったものです。


 しかし残念ながら、『忍者屋敷』はそれほどロマンのあるものではないと愚考します。地震などで建物が歪めば、せっかくの『仕掛け』も使えなくなる。同業の忍者に通用するかは厳しく。


 何より戦国の武将・兵士に“賊”は、屋敷に放火するのが当たり前であり。

 〔屋敷に仕掛けがある〕〔忍者屋敷だ〕とバレた時点で、火を放たれかねません。金と手間をかけて建てた『忍者屋敷』が、放火を早める原因になるとか。目も当てられないでしょう。


 そのため『忍者屋敷』は『忍者装束』と同様に、雇い主にアピールする役割があった。

 〔うちの忍者は『忍者コンナ屋敷』を建てられる。だから敵の城砦・屋敷を調べるのもお手のもの〕・・・という感じに雇い主の武士にアピールする。戦国版『モデルハウス』が忍者屋敷の役割だと愚考します。


 他にも『忍者』の訓練として、建築技術をたたきこむ『修行場』というのはどうでしょう。いくら忍者が速く走れ、強くても。大工さんの『知識・技能』がなければ、〔敵方の拠点施設がどうなっているかわかりません〕・・・などという漫才が始まりかねません。


 そういう滑稽なことにならないよう。『忍者屋敷』で修行を行い、『建築』について忍者は学んだと愚考します。

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