表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
211/423

金輝のコイン~合法的な争い

 海魔鳥の『セイレーン』。そのオリジナルとして推したいのは、やはり冠をかぶった妖女と鳥を融合させた『セイレーン』です。

 検索サイトの『セイレーン』だと、綺麗な『海上ハーピー』が主流のようですが。私は妖怪先生の辞典を信じており。先日の展覧会で、〔伝承された妖怪を忠実に伝えるのがモットー〕だとのこと。ファンとしては一安心です。


 それに比べ、検索のほうは『凶悪な河童』『アラクネにアテナが敗れた』という物語を紹介してくださり。小生としては『某一神教』のフィルター・アレンジが入っていると愚考します。


 もちろんタダで読める資料に、文句をつけるのはお門違いというものであり。不満なら自分で資料を集めて、サイトを開くべきでしょう。

 あくまで〔そういう傾向がある〕くらいに考えるよう、お願い申し上げます。

娼館で情報収集を行おうとした下級シャドウたち。彼らは娼館の主(マリーデ)によって、娼婦を身請けさせられる。それは少なくない男たちの夢かもしれないが。


 マリーデが下級シャドウたちを“罠”にはめて『身請け』をさせる。しかも娼婦たちは全員、『借金奴隷』であり。出身地が全員ばらばらで、各領主の本拠地から連れてこられていた。

 

 それらの情報を得たウァーテル上層部(イリスたち)は“盗賊ギルドによる策謀”と判断し、即座に臨戦態勢に入る。




 「マスター、マリーデを呼び出して、事実確認をなさいますか?」 


 「一応、『借金奴隷』の故郷が領主の本拠地(裕福な町)なのは偶然だった。マリーデの部下が勝手に行った可能性も、万に一つぐらいはありますが」


 扇奈とイセリナ。2人の腹心の確認に対し、イリスはわかりきった返答を行う。


 「それはないよ。遠征している想い人(サヘル君)が帰ってきたとき・・・


  〔お仲間の男子シャドウをハニートラップに嵌めていました、テヘッ‘:^〕・・なんて言えるおバカさんがいたら。歓楽街から追い出されるだけ(・・)ですむはずないからね~」


 そもそもマリーデは高級娼館の主であると同時に。C.V.遙和の『魔導能力』によって、人間を辞めた最下級C.V.だ。当然、C.V.の理不尽(恐ろしさ)は身にしみており。愚か者がどうなるか、娼婦ニンゲンの時からよく知っているだろう。


 シャドウ一族を束ね、事実上の上位C.V.である扇奈を本気で怒らせる。サヘル君から愛想を尽かされる愚行をするはずがない。

 もっともマリーデからすれば激怒して来襲した、シャドウの幹部を押しとどめ。現状の報告(イイワケ)をする覚悟もあるのだろうが。



 『敵勢力が何らかの魔術水晶・神の託宣(ノゾキミるチカラ)を所持してる以上。常道の対策では、足元をすくわれかねません』


 『そうだね。悪いけどマリーデには音沙汰がない、不安にさいなまれてもらおう』


 『光術信号フォトンワード』でイセリナと内緒話をしつつ、イリスは思考加速で『対策』をまとめ。


 『光術導線フォトンコード


 扇奈が『会議用の光術信号(フォトンコード)』を展開していく。

 

 そうして3人は『舌』で侵略の侵略(ヨタバナシ)の作戦を転がしつつ。

 『借金奴隷』が大量に流入してくる件への、『合法的』な対抗策ホウフクを練り始めた。






「大変です会長っ!」


 「どうした・・何があった!」


 ウァーテルの一画。その大通りで店を構える、マネス商会に急報が入る。それは長年、続いた商会をゆるがす一大事なのだろう。

 同時に会長のマネスにとっては勝負どころだ。危険なことは百も承知している。だが盗賊ギルドとの『裏取引』を成功させれば、商会は飛躍的な発展を遂げるに違いない。


 そのための準備は既に完了している。


 「倉庫・金庫の『鍵穴』に“何者かが”薬液が流し込み。扉の鍵が使えなくなる事態が発生しているとのこと。


  都市ウァーテル政庁からは〔倉庫・金庫の『鍵』をかけずに、盗難への警戒をせよ〕・・・との通達が出されました」


 「・・ハァッ!?」


 それは想定外の通達だった。


 マネスの計画では〔貴様の商会は『借金奴隷』を大勢、扱っている。その理由を説明せよ〕・・・という。政庁から『詰問』が来るハズであり。


 その『詰問』への弁明・言い訳()、準備万端だ。正当な取引きによって『借金奴隷』を扱っており。〔やましいことは一切ない〕と証明するための『契約書』も完璧なものを用意している。


 

 だがそれ以外の事態については、想定しておらず。従業員の報告に、マネスの頭が追いつかない。


 「〔被害があった商人は、速やかに報告を行うこと。捜査を行うのと同時に、損害をいくらか補填する〕・・・とのことです」


 「・・・・・っ」


 「さらに『シャドウ様』たちが、犯人の捜索に当たるとのこと。これで解決したも同然でしょう」


 「ソレはっ・・・確かにカイケツしたも同然だな・・・」


 「ですが、その間の街道警備は『陸戦師団』が代行するとのこと。

  〔街道の安全は保証する。だが万が一に備え、護衛を雇うように〕・・とのことです」


 『鍵穴』封じを行う、謎の存在。それに伴う、シャドウと重騎士隊の配置異動。

 それらの情報は値千金であり。護衛の人員を都合すれば、一儲けできるだろう。あるいは警戒・防御用の装備関係が、売れるようになるはずだ。


 本来ならば。


「商会長?」


 「・・・ッ」


 〔商売はスピードが大事〕〔先手を取れれば。好き放題に、販路を開拓できる〕


 常日頃から、マネスはそんな内容を声高に言っている。だから側近の従業員は、マネスが迅速に指示を出す・・・と期待しているのだろうが。


 〔どうすれば・:どうすれば、いいのだっ!〕


 しかし今回は下手に動くわけにはいかなかった。マネスは盗賊ギルドと契約して、〔『借金奴隷』を都市ウァーテルに流入させる〕という計画に加担しており。


 〔コレは魔女C.V.が仕掛けた罠ではないのか〕・・という警戒心を抱く必要がある。

 さらに〔仮に罠でなくとも、『借金奴隷』の流入に不備があれば。盗賊ギルドに制裁される〕というリスク・不安を抱えているわけで。


 「大変です会長!」


 「今度はなんだっ!」


 「広場で不届きな“盗賊”が処刑されるとのこと!さらにその場で、金庫の『鍵』部分を切る剣技を披露されます」


  〔『鍵穴』がふさがれた金庫・倉庫から、どうしても重要物品を取り出す必要がある〕


 その際は『魔剣』で『鍵』の部分を破壊し、扉をこじ開けてくださる。

 基本無料だが、扉を修理するための様々なコストを考えれば。極力、避けたい最終手段だろう。


 否、それよりも不届きな(・・・・)盗賊が処刑されるとは、どういうことだろう。C.V.様は処刑を見世物にするのはお嫌いなはずだが。


 今回・・からは宗旨変えなさるのかもしれない。不届きな(・・・・)商会マネスを見せしめにする下準備として、シーフを見せしめにしてから。


 本命のマネスから全てを奪い、なぶり、さらし者にしてから、じっくりユックリ・・・・・


 「商会長?」「商会長っ!」「マネス様っ!」


 「わかっている!まずは関連の情報を集めて・・:」


 「お客様です!シャドウの藤次様が、来訪されました!!」


 「--ーー’`・:+;!!」


 

 どうして盗賊ギルドと契約しようと思ったのだろう。それよりもまずはこの場を乗り切る・・・じゃなくて。藤次様をお迎えしないと。

 確かスラムに関連するシャドウ様だから、喜ぶ贈り物は・/?/^*・・・・ーーーー!?


 「マネス会長っ!?」


 情報の濁流に流される。巨竜の身じろぎに右往左往し、財宝の山に押しつぶされる。


 そんな幻をかいま見ながら、マネスは客間に移動していき。






 半月もたたず、一つの商会が消えることになった。



 商人が『借金奴隷』を売買するのは自由であり。それは『法』によって定めら、保証されている。



 だが同時にC.V.は戦争種族であり、断じて正義の味方などではない。


 難癖をつけ、無理難題を押しつけ、法律を歪めていない(・・)。魔術・武術でのぞき見もしてない(・・)し、暗殺工作の類も行っていない(・・)


 ただ合法的に、『情報』を早く多方面から流しただけであり。その情報を確認するのも、対策に手間をかけるのも。マネス商会の勝手だろう。

 その結果、取引相手や有能な従業員たちが『不穏』を感じ離れていっても。 



 『借金奴隷』の不自然な流入対策のため忙しい。そんなC.V.勢力が一商会マネスのため、動く理由などあるはずが無かった。

 海魔鳥『セイレーン』。耳栓をすれば雑兵海賊(オデュッセウスの部下)でも、誘惑の歌を防げるとのこと。

 他のギリシャ神話に登場する海魔『スキュラ』『カリュブディス』と比べ、格落ちする感じがします。〔犠牲者の髑髏どくろが積み重なった島を作った〕という伝承もあるそうで。それはおぞましく怖いですが。


 〔神聖な海に穢らわしい“賊のしゃれこうべ”を積み重ねていいの?〕・・・とその凶行をやらかした『セイレーン』に問いたい。


 たとえ人食いの怪物でも、『海魔』は『海神ポセイドン』の眷属であり。まともに『海神』を信仰している船乗りは、『海魔』の棲む海域に近づいたりしないでしょう。


 しかし口先だけの海神信仰をしている連中。例えば沿岸都市トロイアを襲った“海賊兵団(ギリシャ人)”などは、『海魔』の餌食になったわけで。


 筆まめなギリシャ人が、怨み重なる『海神』『海魔』へ誹謗中傷を行った。そうして『セイレーン』による悪趣味な“髑髏の積み重なった島”の伝承をねつ造したと愚考します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ