表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
209/424

青色の酒場~副業の誘い

 様々な姿を持つ海魔鳥セイレーン。まずはその種類を整理してみましょう。


1)かんむりをかぶった女人面の魔鳥。オリジナルの最有力候補。

2)群れで活動する女人面の魔鳥。ほぼ海上のハーピーで、オデュッセイア(ギリシャ神話)に登場する。

3)海精霊ネレイドや人魚と混同されたタイプ。鳥ではなくなり、『歌』の能力が残る。

4)海の『淫魔サキュバス』という感じで、水辺で女が男を誘うタイプ。西洋絵画に登場する。


 大まかにこの4種類が『セイレーン』と呼ばれる魔物でしょうか。


 このうち4)『海淫魔』タイプは〔どうぞ“芸術エロ”を楽しんでください〕・・と言いたい。

 トロイア戦争の発端となった『パリスの審判』を描いた『西洋画』。それはギリシャの三大女神が全裸・もしくはそれ以下の風体で人間パリスを誘惑するという。“破廉恥”絵画だと愚考します。

 「違うというなら、聖母・聖女を題材に同様の絵を描け」・・と言いたい。


 『セイレーン』の西洋画も、それと同レベルであり。

 〔本物のヌードは描けない。あるいは制限があるから、ファンタジーのヌードを描いた〕・・・とシンじています。


 とはいえ『翼』どころか羽根一枚すらなく。『誘惑の歌』どころか、『海』にいるかも不明な西洋画。

 やはり『セイレーン』の名を借りた?流用した。“水中淫魔”だと推測します。

シャドウの汐斗様と結ばれるため、C.V.アンは都市ウァーテルを訪れ。多少のトラブルはあったものの、上級シャドウのアヤメ様に話を通し。


 今度こそ汐斗様への想いを遂げる、段取りをつけた。

 まあ善良な兵士の皆さんには、大変なご迷惑をかけしてしまい。彼らには何等かの迷惑料を払う必要がある。


 とはいえ都市ウァーテルはイリス様が戦闘力で侵略した、元悪徳の都でもあるわけで。

 今後、イリス様が行ったように、都市の支配権を簒奪しようとするC.V.は、必ず襲来する。


 〔私は正義のために悪徳都市を攻めました。だけど他のC.V.は力に訴えては駄目です〕


 こんな理屈が通るはずが無い。

 よってそののことを考えれば。アンのような戦力(C.V.)だろうと、都市ウァーテルの上層部は受け入れざるえない。


海魔の警鐘(ブルーサイレン)』には、それだけの力がある。






 「そういうわけで、これからよろしくお願いします」


 「「「「「「「「「「よろしくお願いします!!」」」」」」」」」」


 都市ウァーテルの練兵場。かつては血生臭い“見世物”が行われていた闘技場で、アンは下級シャドウたちの指導を行っていた。



 〔この者たちはいかように扱ってくださっても、かまいません〕


 そう告げてアヤメ様が連れてきた下級シャドウの皆さん。彼らは〔食糧事情を調べなさい〕という命令を果たすため、歓楽街で景気よく金を使い。娼婦たちから『情報』を買おうと試みた。


 しかし海千山千の歓楽街の住民に対し、密偵としては素人のシャドウがかなうはずもなく。

 彼らはまさに夢のような一夜をすごし。


 年若い娼婦を身請けする羽目になる。もちろん情報収集のために渡された軍資金・彼らの全財産をかき集めた所で足りるはずもなく。


 〔このまま制裁を受けるか。試練をくぐり抜け(アンの訓練を受け)て、生まれ変わるか。好きな方を選びなさい〕


 こうして彼らはアンの訓練を受ける・・・という名目で『ブルーサイレン』の練習台及び、『ブルーサイレン』の情報を集める役を仰せつかった。



 

 「蒸気・液体に氷という『水の三態』を、同時に組み合わせて使う。それが私の『魔導能力ブルーサイレン』です。


  とはいえ言葉で説明するより、実際に体験してもらったほうがわかるでしょう。

  私は『ブルーサイレン』を使うので、皆さんはそれを突破して私に一撃を与えてください」


 「っ!承知しました。私から行ギばぁ・:!?」


 一歩を踏み出そうとしたシャドウの足下が崩れ、派手に転倒する。


 あらかじめ地中の水分を凍らせて『霜柱()』を作り。その『霜柱』の一部を液化して崩す。

 それにより『霜柱』で持ち上がっていた闘技場の地面を陥没させ。即席の落とし穴に訓練中のシャドウを落としたのだ。


 「くっ、まだだっ!『旋風・・」


 『ブルーサイレン』


 「・閃』`・:!?」「「「「「「「「「ッ!?」」」」」」」」」


 身体強化(旋風閃)で加速しようとした。それをのんきに見物していたシャドウたちに、アンは『ブルーサイレン』を披露する。

 それにより彼らの足場シモバシラが崩れ。さらに崩れた『霜柱』を『水流』が押し流し、『霧』が闘技場の空間に展開する。それらは加速寸前だったシャドウの聴覚をくすぐり、視界をふさぎ。


 見物するつもりだったシャドウ全員に、訓練の開始を告げた。


 「くっ。足場がメチャクチャだっ!」「跳べっ!まずは跳んで/^!?」

「「「ウオオォーー!!」」」


 『霧』で覆われた闘技場に、シャドウたちの怒号が響く。


 地面に水流が走り、空中に無数の水玉が舞い踊る。それらをシャドウたちは『旋風閃カソク』でかいくぐろうとするも。『霧』で覆われていく闘技場で、加速するのは互いに激突するリスクを伴い。


 「五名、脱落です。『ブルーサイレン』」


 「くぐっ!?」「冷たっ!」「身体が‥凍る+`*」


 水流・水玉に当たってもダメージはほとんどない。だが濡れた服は『ブルーサイレン』の冷気で氷結し、『加重付与』の障害デバフがかかる。

 当然、加速状態を維持できるはずもなく。動きが止まった者たちに、水流・水玉の追撃が行われ。そこから『氷結』により完全に動きを封じられていった。




 そうして『ブルーサイレン』の紹介をすませてから。

 濃霧・氷上での移動訓練を行い、アンは初日の教官役を終わらせた。




 午前中の訓練を終わらせ。『ブルーサイレン』によって水びたしになった、闘技場の整地をシャドウたちに命じてから。


 アンは誰も住んでいないハズの川岸を訪れる。そして優しい声で『唄い』始めた。


 『可愛く愚かな人魚の姫  嵐の海に泳ぐ人魚姫 


  暗雲の下で王子を見つけ  綺麗な王子に一目惚れ・・・』


 『人魚姫』の物語をアレンジにして、魔術を見出す。『人魚姫』を柱にして、様々な可能性マジュツを想像する。


 そんな『人魚姫』の詩は、C.V.アンの最も得意な歌唱であり。ただ唄うだけで、周囲の魔力に干渉する。


 『優しく鈍い王子様 人魚の姫に気付かない  勇んで船乗る王子様  船のお宝、何かしら?


  金銀財宝、波間に沈み  海図と契約はお城の部屋に』


 そんなアンの『詩』にかれ、人々が集まってくる。通りを行く商人が歩みを変え、住民たちが家から顔をのぞかせた。


 そして誰も住んでいない事になっている、川岸の草むらから小さな頭がのぞく。その小さな頭は徐々に増えていき、アンの『詩』を聞く観衆となった。


 『続く船には御馳走がたくさん 海の地図みて、エールはまわり  沈んだ金銀忘れて消える


  かくして人魚の姫は宮殿に  隣国の姫はお后になる』




 「皆さん、本日は私の『歌』をお聞きくださり、ありがとうございます」


 アンは感謝の念をこめて、言の葉をつむぐ。それに対し普通の身なりの聴衆は、ふところからコインを取り出し。ボロをまとった観衆はバツが悪そうに顔を背ける。


 ここに集まった者たちはアンを吟遊詩人の一種と考え。珍しい『歌』に対価を払ってくださるのだろうが。川岸に住まう浮浪児はもちろん、スラムの住民たちが金銭を出せるはずもない。


 そんな彼らにC.V.アンはにこやかに告げる。


 「さあさあ、小さな子供たち。お駄賃集めに、働いてね」


 「「「っ!?」」」


 「優しく(お駄賃を)集めてくれた子には、スープをあげる。塩の入った美味しいスープ。

  パンをひたして食べられるスープ。


  王子様・・・の沈まない船が運んだ、食事と交換しましょう」


 「「「・・・っ」」」


 アンの言の葉を耳にして、貧富に関係なく聴衆が動く。

 そうしてアンの『副業』は、ここからが本番だった。

 

 一方で『オデッセア』に出てくる『海上ハーピー』は、十分『セイレーン』と言えます。


 『誘惑の歌』を歌い、海難として舟に襲いかかる。まさに『海魔鳥』そのものでしょう。


 正直、群れて知性が低そうな『海上ハーピー』は残念でカッコ悪いですが。海賊に等しい英雄『オデュッセウス』一行からすれば、自分たちを襲う『海神の眷属』など邪悪以外の何者でもなく。醜い『ハーピー』あつかいしたと愚考します。


 そんな海賊オデュッセウスの偏見・中傷は置いといて。群れる『セイレーン』にはある可能性があります。


 それは海鳥・水鳥モンスターの存在について。鳥型モンスターは、そこそこいますが。鳥モンスターは少なすぎると愚考します。

 そこで『セイレーン』を原点に、水鳥モンスターを創ってはどうでしょう。新しい扉が開くかもしれません。


 なお私が創った水鳥モンスターは、“海上カラス・ハゲタカ”の群れでした。とても人様にお見せできるものではなく。もう少しきれいな『水鳥幻獣』を考えたいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ