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シャドウたちの分岐

 江戸時代の鉱山=江戸幕府が領有する天領の鉱山であり。それは徳川幕府の前後の時代である、戦国以前・明治~現代の鉱山ではまずあり得ない。独特な鉱山だったと推測します。


 一例として、〔江戸時代の鉱山はとてもきれい(・・・)だった〕と愚考します。その理由は〔川に鉱物・砂金を流したらトラブルになる〕から。


 江戸幕府は要衝・肥沃な土地を、天領にして富を得ていました。とはいえ明治の『廃藩置県』のように、全国を支配していたわけではなく。鉱山の下流には、自治権を持つ藩・大名家があるわけで。


 鉱山から鉱毒・汚染物質を垂れ流せば。江戸幕府と言えど、諸藩フクスウからつきあげをくらうでしょう。

 逆に砂金など価値があるものを川に流せば。『桃太郎の桃』のように、拾った藩・住民が自分のモノにしていたはず。


 どちらにしても、鉱山を領有する徳川幕府の不利益になる。江戸時代の鉱山はキレイに採掘していた・・・可能性は高いと愚考します。

 ちなみに戦国時代の場合、『水争い』がシャレになりませんので。『鉱物』より水を優先するのは当然であり。江戸時代の鉱山と比較はしていません。

 任務を成功させた褒賞金ボーナスとして、下級シャドウたちは数枚の金貨を渡され。

 姫長(扇奈)様から〔都市ウァーテルの料理・食糧事情を調べるように〕と命じられる。うまくいけば褒賞金が倍近くになるかもしれない。〔失敗を恐れずやってみるがいい〕と言われた、調査を始めるにあたり。



 〔〔〔〔〔〔いったい、どうすればいいんだーーー^~〕〕〕〕〕〕



 ほぼ全員が頭を抱えていた。


 魔術を使い、複数の諸芸スキルを修めた中級シャドウ様と違い。下級シャドウたちは身体強化の『旋風閃』を会得・維持するのがやっとという有様だ。そんな彼らにとって、食事とはエネルギー補給と身体維持が最優先事項であり。ごく稀に狩りの獲物を、勝利の美酒と共に楽しむくらいだ。


 どこかの戦闘民族のような爆食をするなど、狂気の沙汰に等しく。兵糧を食いつぶす、利敵行為とすら言える。

 唯一、身体能力が高まった際に、大目の食事を摂るものの。あくまで修行の一環であり、儀式的な意味あいが強い。極論『肉体改造』に必要な、素材を取り込んでいるようなものだ。


 そんな下級シャドウたちが、都市住人イッパンジンの料理・食糧事情について調べる。畑違いもいい所で、極めて困難な任務だ。


「まずはやってみないことには、始まらない。手分けして取りかかるぞ」


 「「「「「おおっ!」」」」」


 勇ましいかけ声とともに、シャドウたちは散開していく。露店・酒場にレストラン。

 それぞれの担当を決めて、食事をとりに行き。




 「・・・協力者に頼もう」


 「「「「「「…おお--^~」」」」」」


 〔畑違い〕どころではない、現実に打ちのめされていた。シャドウたちの訓練法に、苦い薬草・塩無しの肉を食べ。行軍・野外活動の際に、粗食に耐えられるようにする修練がある。


 そんな訓練で鍛えている自分シャドウたちなら、どんな食べ物でも美味しく食べられる。冷静に公平な舌で、料理を解析できると思ったのだが・・・


 「脂が重い‥」「焦げ臭かった‥」「出汁だしをとらないのかよ・・・」


 シャドウたちが普段、食べている料理はとても美味しいという結論に至った。


 無駄に鋭い味覚・嗅覚が、人々の作る料理の粗探しを行うのはともかく。

 聖賢の御方(イリス)様が伝えた錬金・術式その他C.V.文明の調理法が、人間の料理技術を圧倒したとも言う。


 そもそもイセリナ様が言う所の〔満足できない饗宴〕が行われた際に、わかっていたことだが。

 “盗賊ギルド”の悪徳の都は、〔生かさず殺さず搾り取る〕という政治手法だ。民を飢えさせないだけマシとはいえ。〔飼い殺しの“エサ”を提供してればいい〕と考える連中に、美味を期待するだけ無駄であり。


 「その影響はまだまだ、払拭されていないと・・・」


 「しかしコレを〔食糧事情です〕などと伝えたら、完全に“失敗”だろう」


 「ああ。〔失敗してもかまわない〕と、姫長様は仰ったが・・限度がある!」


 【饗宴】の時に判明している。ライバルの陸戦師団が、とっくに知っていることを伝えれば。

 “失敗”以前に職務怠慢だろう。手柄を立てる、褒賞を倍増するどころではない。

 姫長様はもちろんだが、ソレを聞いた侍女シャドウ様たちの反応が怖い。心底、恐ろしい。



 「こうなったら、非常手段をとる!」


 「オイッ!?」


 「大丈夫だ。軍資金はまだ充分にある!メドは立っている!!」


 「「「「「「・・・・・」」」」」」


 「やってやる、やってやるぞ!」


 こうして下っ端シャドウたちは、無謀な賭けに出た。






 「それで、ワシのところに来たと」


 「「「「「「よろしくお願いします!」」」」」」


 「ご面倒をおかけします。これは些少ですが、お納めください」


 そう告げて、下級シャドウの汐斗せきとは酒場の主に小袋を渡す。その中身は『岩塩』に近い組成になるよう、『結晶化』させた『塩』であり。港町でもあるウァーテルの海からは、取れそうで取れない。料理人にとっては、そこそこ価値のあるものだった。


 「まあ普通に客として料理を楽しむなら、こんなモノはいらんが・・・

  お仲間はオマエが来たばかりの時と、同じくらいにヒドイのか?」


 「・・・多分、もう少しばかりヒドイかもしれません」


 「っ・・・・・」


 汐斗の返答に、酒場の店主ブラムスは半眼でシャドウたちを見据える。だが汐斗の仲間たちは、その意味がわからず。


 「とりあえず、人手が足りてない店を紹介してやる。そこでしばらく働いてみろ」


 「「「「「「お世話になります!」」」」」」


 こうして汐斗の友人たち()無謀な賭けを行わず。酒場・食堂で得難い経験をする。

 社会常識というモノを学ぶことになった。




 


 都市ウァーテルの歓楽街。その通りを派手な服装をまとい、金持ち貴族(お大尽)に変装したシャドウたちが歩いていた。


 「ここが色街・・・」「一夜の夢を楽しむ所・・・」「・・・初めて来た」

 「イカン!こんな所で(キョロキョロ)フシダラ(ドキドキ)な行為をするなど・・・」


 そんなつぶやきも、会得した武術の技によって隠蔽され。シャドウたちはある娼館を目指して進んでいく。

 少し見れば武術の心得があると。丸わかりの集団が、お大尽のつもりで通りのど真ん中を歩き。

 道いく人々は誰もが目をそらして、関わり合いになるのを避け。


 「ここだ・・ここで情報を得る!」


 「ようこそおいでくださいました。この娼館の主、マリーデと申します」


 「予約をしていた、フォルカだ。例の部屋に案内してくれ」


 「承知いたしました。貴女たち、お客様たちをご案内して」


 「「かしこまりましたーーー」」


 変装の服を脱いだ、シャドウたちを下働きの娘たちが先導する。その後ろ姿を、若僧シャドウたちは追って。


 「大事なお『客』様です。くれぐれも失礼のないように!」


 下級C.V.と化したばかりの、マリーデの視線に気付くことはなかった。



  

 “詐欺師”=“山師”の由来は何でしょうか?

 〔成功すれば大儲けになる鉱山開発。これを口八丁手八丁で推進し、鉱山の採掘が失敗すれば姿をくらます。事実上、山師は鉱山“詐欺”を仕掛けているに等しい〕


 こんな感じで“山師=詐欺師”という、意味になっていると考えていました。


 しかし妖怪伝承・創作の多い江戸時代に、有名な『鉱山妖怪』がゼロに近い。鉱山の情報封鎖を江戸幕府がやっていた可能性がある。そう考えると『鉱山技師ヤマシ』=“詐欺師”ではないかもしれません。


 ヘイワな江戸時代。戦国乱世のように捕虜を鉱山奴隷にするわけにはいかず。罪人は極刑が多いので、囚人を鉱山に送り込むのは難しい。罪人を護送するコストを考えると、安定した数を鉱山で強制労働させるのは手間がかかる・・・と愚考します。

 付け加えると。幕府のお役人ともあろう者が、“人買い”を大っぴらに行うのは外聞が悪い。“人買い”商人・・の真似事をして、鉱夫を調達すれば評判が悪くなる。


 そのためもっと“悪辣”なことをやらかした。

 〔儲かる出稼ぎ場所がある。借金をチャラにする。罪を軽くする〕こういう“詐欺”を仕掛けて“鉱山奴隷”を確保した。『鉱山』の実態ジゴクを知らない者を、騙して酷使した。“山師=詐欺師”の由来は、コッチなのではと妄想をしています。


 もちろん浅はかな私では考えつかない、鉱山の事情があったなら大歓迎なのですが。

 最高権力を持つ徳川幕府という組織が、『鉱山』の情報を秘匿する。平和な江戸時代なのに、鉱山関連の街・妖怪を聞いたことがない。そもそも時代劇のネタにすらイメージできない。


 そのためこのような邪推をしました。歴史資料の一つもあれば否定される、あくまで“妄想”にすぎませんので。悪しからず。

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