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神様とおにぎりカフェはじめました!  作者: 鈴羽えりか
高校デビューより異世界デビュー
6/15

2-5.問題

女子生徒のみならず、男子生徒ともうまく話せずおどおどしっぱなしの私だって、男性が嫌いなわけじゃない。ちょっと恐いと思うけど。


ゲームのような恋愛に憧れていた。


故に今私は、イケメンな神様たちに囲まれて、不安や恐怖という感情より、ドキドキやワクワクとした感情のほうが勝っている。


これは、高校デビューより、すごいデビューをしたのではないか!



となると、これからどんな課題を言い渡されるのかが問題だ。

『魔王を一緒に倒そう!』なんてのは無理だけど。



「私たちの世界、この"ディユマ"は、人間と神が共存する世界です。人間は私たち神に日々感謝して過ごし、神もまたそんな人間を愛し、感謝しています。……ですが最近、我々米の七ノ神は、危機に陥っています」

「……危機?」


聞き返すと、ルイの栗のように丸くて愛らしい瞳が、哀しみに揺れた。


「……先程話した、米の言い伝えに話は戻るのですが、いつしか人々はそれを語り継ぐことなく、米をあまり食さなくすらなってしまったのです」

「私も七ノ神の話は聞いたことないけど、米は日本では主食だし、毎日食べてるけどな……」


そう言うと、少しばかりルイの表情に笑みが戻る。

見た目とは違い、とても大人びた口調の子だけど、やはりその愛らしい小さな身体には、笑顔がよく似合う。


「そうですか、あかねは毎日米を食してくれているのですね。ありがとうございます。やはり、あかねを召喚してよかったです。ねぇ、ヴァン?」


そう言って、ルイが笑顔をヴァンに向けると、彼は「……フンッ」と小さく鼻を鳴らした。


バカではないと、わかってくれたと思っていいのだろうか?

それ以上なにも口にしないヴァンから視線を戻し、ルイが「フフッ♪」と笑ったので、そう思うことにしよう。


「私たち神は、人間から感謝されなくなったり、存在を忘れられたりしてしまうと、とても弱い存在になるか、存在すら消えてしまいます。ディユマでは、米の消費量が減って米の恵みに感謝しない人々が増えたことで、私たち七ノ神は危機感を抱いているのです」

「……このままだと、俺たちは消えてなくなってしまう」


ポツリと、フラムが言った。


「そんな……っ、神様が消えてなくなるだなんてっ」

「起こり得ることなのです」

「…………」


こういう相手が悲しい状況のときに、なんて言ったらいいのかわからない。


沈黙が流れる。

それを最初に破ったのは、フラムだった。


「それを回避するために、あかねを召喚したんだろ、ルイ」

「あぁ、そうですね。すみません、なかなか本題に入らなくて」

「いえ、ゲームの導入部分が長くて眠くなるのは結構あるので」

「ゲーム?どう、にゅう?」


ルイは、きょとんとした顔で小首をかしげた。


しまった!


私は慌てて訂正しようと、両手を要らなく胸元でわちゃわちゃさせる。


「あ、いやっ!えと、ちがくてっ、きゃっ……!」


いつの間にか側まで来ていたヴァンが、慌てる私の胸ぐらをぐっと掴んで引き寄せた。


「おい、てめぇ、寝てんじゃねえぞ」

「ねねね、寝てないですっ!ごめんなさいぃ〜……っ!」


かっこいい顔面が鼻が擦れるんじゃないかというほど、近くにある。


だけど、かっこいいと思う余裕はない。ヴァンは苛立ち露に、眉間にシワを深く刻んでいた。


(恐い〜っ!)

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