2-1.おじさんvs女子高生?
眩しさを感じなくなり、私は瞼をゆっくりと開けた。
「……どこ……ここ?」
目の前に広がるのは、桜の木がある川沿いの通学路ではなく、石畳にレンガの壁、白いテントが奥までずら〜っと立ち並ぶ街並み。
そのテントの下では、フルーツや野菜、武器など様々なものがテントごとに置かれている。
いらっしゃいませ〜とか、安いよ〜とか、テントの下にいる人が、たくさんの行き交う人々に声をかけているから、どうやらここは商店街のようだ。
……私の知っている商店街とは、見た目がまったく違うようだけど。
ここはまるで、
「……異世界みたい」
そう、ここはまるで、ゲームに登場する中世ヨーロッパ感漂う街並み。
私とはまったく違う、現代的とは言えない服装。
その違いぶりに、私は困惑してその場から動くことができない。
現地民であろう人々も、突如現れた得たいの知れない私を見て驚いたり、怪しんだ目を向けたりしてきた。
こちらをチラチラと見ながら、おじさんたちがヒソヒソと話す。
「おい、なんだこいつ?急に現れやがったぞ?」
「見たことない格好をしているな……それに若い女だ」
「……もしかして、供物か?」
"供物"
その言葉が耳に届き、声のする方に思わず視線を向けてしまった。
(あ、目が合っちゃった……怖い、どうしよう)
おじさんは私を見定めるかのように、じっと眺めてくる。
そして、言った。
「供物なら、神殿に持っていかないとな」
「え?供物……って、生け贄ってこと?!ちょっ……ちょっと待ってください……っ!全然私、知らなっーーー」
怯えた私の言葉など聞く耳持たないと言った感じで、おじさんのごつい手が私の腕に迫る。
怖い、逃げたい、でも足が動かない!
おじさんの手がすぐそこにっ!
「嫌っ……!」
少しでもその手から逃れようと身をよじった瞬間、私に影が落ちる。
「バカ、こいつは供物じゃね〜よ」