1.プロローグ
「よし、これで大丈夫」
桜舞い散る木の下で、新しい制服に身を包んだ私は、緊張とわくわくした気持ちに、頬を少し紅潮させていた。
私の名前は、須藤あかね。
今日は高校の入学式、高校生活が始まる。
紺のブレザーに、白いブラウスと胸元には赤いリボン。それに、赤と白のチェック柄のスカート。
スカートの丈は、2回ほど腰の部分で折り曲げて膝上に。
中学まで三つ編みおさげだった髪型は、おろしてストレートロングに。
手には、入学祝に親から買ってもらったスマートホン。
今しがた、若者に人気だというSNSアプリをダウンロードしたところだ。
「これで、写真を投稿して世界中の人と交流ができるのか……地味な格好はやめたし、若い人に人気のあるアプリもダウンロードしたし、これでクラスメートと仲良くなる第一歩は完了!」
私は両手に力を込め、拳をぎゅっと握った。
今日から私は生まれかわっーーーーピロリンッ♪
「もう、なに?新たな学校生活に決意を新たにしている時に……メッセージ?」
ぎゅっと握りしめていた左手にあるスマートホンの画面に目をやると、先程ダウンロードしたばかりのSNSアプリ"フォトグラム"から、メッセージが届いたというお知らせの音色とマークが現れていた。
「まだ投稿もしてなくて、フォローもフォロワーもいないのに……誰からだろう?運営側からのあいさつかな?」
そう思い、なんの躊躇もなくメッセージマークに人差し指で触れ、メッセージ画面を開く。
そこには、
「『ようこそ、神々の世界へ。あなたには、こちらの世界で我々を助ける義務ができました』?」
神々の世界?助ける義務?え、なにこれ、なんか間違ってゲームアプリでも取っちゃったのかな?
なんて考えているのもつかの間、途端にスマートホンの画面が激しく光出す。
「うわっ!まぶしっーーーーー」
私は、目を開けていられないほどの眩しさに、瞼をぎゅっとつむり、スマートホンから顔を反らした。