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ーーー39---

「というわけなのでお許しください。」


俺の前には土下座で謝るおっさんBと受付嬢がいる。


その脇には素っ裸で縛られた冒険者と気絶したまま縛られたおっさんAがいる。


「そこに転がってるのがババンガ商会の会頭の長男であれば罪は無くなるというルールがこの街にはあるんですか?」


抑揚のない声で返事をする。


許す気?


なんでいきなり監禁されて襲われてその犯人を許さなくちゃいけない?


『右の頬を打たれたら左の頬を』


馬鹿言っちゃいけない。


『目には目を、歯には歯を』


もまだヌルい。


『倍返しだ』


ならまだ理解できる。


  1)もう二度とそんなことする気にならない程度に痛めつける。

  2)もう二度とできないように物理的に排除


のどっちかだろ普通。常識で。


もちろんそれをできる実力あっての話だが。


おっさんBが言い訳したのは、


 自分(おっさんB)は、この街の商人ギルドの役員でババンガ商会の会頭の三男。

 縛られているの(おっさんA)は、商人ギルド支部長でババンガ商会の会頭の長男。

 昨日俺が売ったツノツナの残りの独占買い付けを目論んだ。

 断られたら無理やり奪い取ろうと用心棒を連れてきた。

 自分は反対した。


ってとこだ。


うん。謝罪が無い。


後悔はしていても反省はしていないんじゃないかな。


おっさんBは言葉につまっている。


そりゃそうだ。


少し考えればわかることだ。


「まあ、昨日のジジお嬢さんの件も考えれば、領主とは弦んでるんだろうから、どうせ引き渡しても罪には問われないんだろうし、めんどくさいから処分するのが良いよね?」


うん。後腐れは無い方が良い。


映画とかで、襲ってくるJソンを倒したと思って安心する奴らを『なんで息の根止めるまでやらないかな』とずっと思っていた。


あんなんは、四肢切断して首を落としてそれを数百メートル以上離して埋めてようやく安心できるレベルだろ。


やるならとことんだ。


まあ地元の大商会を敵に回すのは良くない手だが、ここに居なければいけない理由なんて何もない。


「それから、今夜オタクの会頭に夕食招待されてたけど、こんなことがあったんじゃ行けるわけないから、今すぐキャンセルの使いを出して。ほら早く。」


俺を襲ったおっさんAが長男ってことは後継ぎさんでしょ?


そんなんの実家に行くなんて自殺行為でしょ。


むしろこっちから襲撃(魔法でドン)するのが正解じゃないか?


逆らったら事態が悪化すると思ったのか、おっさんBが受付嬢になにか言いつけ、受付嬢が部屋を出ていく。


そこに恐る恐るといった感じで、別の受付嬢さんが「お茶をお持ちしました」と入ってくる。


土下座の役員と縛られて転がってるギルド支部長。


ドン引きだ。


そのままぎこちない動きでテーブルにお茶を置いていく。


「ちょっと待って。」


まあこんなんは定番中の定番だ。


お茶を鑑定する。


『お茶:睡眠薬、痺れ薬入りの最高級カトゥー茶』


うん、やっぱりね。


「俺要らないから、ここで飲んでって。」


持ってきた受付嬢に言う。


ついでにいくつかある湯呑の一つを中身ごと亜空倉庫に頂いておく。


今後何かに使えるかもしれないしね。



「飲みたくないならそこの土下座してるおっさんに飲まして。」


返事も聞かないうちから追い込みをかける。


おそらく、計画としては話し合いをしているうちは持ってこなくて、こじれたタイミングで持ってきて俺を無力化して。


ってとこだったんだろうけど、会って早々に魔法の音が聞こえてきて何か問題があったと考えて偵察がてら計画どおりお茶を持ってきたんだろう。


「ほら。早くその薬入りのお茶を飲んでよ。」


全部お見通しだよと告げる。


「飲みなさい。」


おっさんBが命令する。


「飲む前にそのお茶を準備したのが誰かを話してから飲みなさい。」


「し、支部長が大事なお客だからこのお茶を出せと直々に持ってこられました。」


震える声で返事をするとお茶を一口飲む。


薬入りのお茶って言ってるのに飲ませる&飲むなんてこの会社ブラック過ぎだろ。


ほどなくお茶を飲んだ受付嬢は当然のように意識を失い崩れ落ちる。


おっさんBは信じられないとでも言うように目を見開いている。


「おっさんは、証拠不十分兼証人だから、まあ今は何もしないでおくけど、まだ俺をここにとどめようとするなら同罪だよ?」


そう言って気絶しているおっさんAらを引きづってギルドを後にする。


応接室から受付カウンターの前を通ってだ。


当然職員も少しだけいる客もドン引きだ。


自分とこの社長さんが気絶して引きずられていくんだから、まあ当然だ。


そのまま街の門を出て、街の北側にある森に到達するまで俺達を遮る者はいなかった。


まあ後ろを付いてくる斥候みたいな奴は気配察知で気づいていたけど、手を出してこない限りは放置だ。


しかし、商人ギルドで派手にやらかしてしまった以上ツノツナを商人ギルドで売ることは難しくなってしまった、というか不可能だろう。


社長をボコボコにしておいて商品を買い取れなんて、地球の押し売りよりまだひどい。


暴力団よりもひどいだろう。


森と草原の境目にある大木の枝におっさんAらを吊るす。


吊るすロープは異世界通販で買ったワイヤーだ。


街の要人が誘拐された。って感じでSWATみたいなのが出てくるかもしれない。


そう考えて、吊るした木の周りは土魔法で空堀を掘り、水魔法で水を生んで足場を無くしておく。


そうそう、吊るす作業に合わせて、おっさんらが持っているスキルを軒並みスキルコピーで貰うことにする。


剣3、長柄3、斧3、槌3、弓3、投擲3、盾3、格闘3、回避3、受け流し3、戦闘指揮3、威圧1、魅了1、騎乗2、マッパー1、狩人1、気合い、船乗り1、酪農1、農業1、裁縫3


俺が持ってないスキルを全てコピーする。


が、裁縫3?


顔に似合わないボボサップが裁縫3を持っていた。


超ウケるんですけど。


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