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ーーー1---

アルファポリスからの引っ越しです。

「知らない天井だ。」


気が付くと革張りのソファーに仰向けに寝ていた。


「君達に謝らなければならないことがある。」


どこからともなく声がする。あたりを見渡しても誰もいない。


「担当神が君達に加護をつけ忘れてしまって、人の倍の努力でようやく同じ成果にしかならない人生を送らせてしまった。

私はそのミスをした神の上司といったところだ。」


「君達?」


「君と同じ日に生まれた同じような環境の子達すべてなのだ。」


「うるう年の二月二十九日生まれの双子ってことですか?」


「正確に言うのならば、君と同じ日に日本の某地方で生まれた一卵性多生児で最初の子じゃない子だ。」


三つ子の二番目三番目もありってことか。


「何人位いるんですか?」


「およそ百人だ。」


「意外といるんですね。それで謝るとは?」


「君達は、全員とある事故で死亡した。

そこで普通は輪廻の輪に戻るのだが、こちらのミスで迷惑をかけたので、別世界への転生を選ぶ機会を与えようと思う。

それも多少恵まれた環境でだ。」


「具体的にはどんな感じになるんでしょうか?」


「君達の言い方で言えば、『ファンタジー世界でチート転生』といったところか。」


「やります。やらせてください。」


「話は最後まで聞いたほうが良いと思うが。」


「君達の住んでいたところほど治安は良くないし、命の価値は軽い。

魔物もいるし、ほとんどが専制君主制の国だ。

奴隷制度もある。」


「チートの内容はドラフトで決めてもらう。」


「ドラフト?」


「各種類のスキルをドラフト形式で取り合ってもらう。」


野球のドラフトと同じか。


駆け引きや順番でえらいことになるな。


「ドラフトで得たもの以外は与えられたポイントで別に入手することになる。」


「五人ずつリーグを分けたから20リーグがそれぞれ五人程度になる。

そうしないと人気のスキルは競合するし、すぐになくなっていくだろう。」


「それでは始めるぞ。」


今までとは違う声がする。


「ドラフトで、第七位まで選んでいただきます。」


「重複した場合はクジを引いてもらいます。

残念ながらハズレた場合は他の人が一位で選択していないスキルからハズレ一位を決めてもらいます。

そこでも重複した場合は再度クジで決めてもらいます。」


「ドラフト外では、後で配られるポイントでスキルを入手してください。」


「ドラフトスキルはレベル3となります。

ポイントでも同じスキルは入手できますが、レベルを上げるごとにポイントが必要となります。

ドラフトスキルへの上乗せもできます。」


説明のアナウンスが流れていると、いつの間にか大きな円卓に俺も含めて五人が着席していた。


「なお、鑑定、言語、各人の固有スキルは自動で最低限付与されます。」




「スキルの中から第一回希望指名スキルをお選びください。

制限時間は五分です。」


目の前にパソコンの画面のようなものが現れた。


左上に『参加者A』、全面に魔法や剣、料理にメイドといったスキルの一覧表が表示されている。


しかし、スキルの詳細は表示されない。どんなスキルかは名称だけでしか判断できない。


それにさっきポイントがどうとか言っていたが、獲得に必要なポイントは表示されなかった。


おそらく強力なスキルほど必要獲得ポイントは多くなるのだろう。


ってことは、強力なスキルから獲っていったほうが良いのだろうか。


いろいろ疑問は湧く。


スキルの最高レベルはいくつなのか?ドラフトで得られるのはレベル3と言っていた。


あとで配られるポイントはいくらなのか?


スキルの獲得数に制限はあるのか?




「とりあえず魔法だろうな。回復系は必須だから『光魔法』か。」


光魔法と表示されているところを指で触れると『決定・やりなおし』のポップアップが現れる。


決定を選ぶと画面のようなものがブラックアウトする。



全員が選び終わったのか、画面が点滅し始める。


『A ○ 光魔法』

『B・C 競合 火魔法』

『D ○ 風魔法』

『E ○ 水魔法』


と表示がされた。


どうやら俺が参加者Aで、B君とC君が同じ火魔法を選んだようだ。


急に円卓の上に棒が二本入れられた箱が現れる。


「先に選択されたB様からお引きください。」


B君が棒を一本引くと棒の先には『○』と書かれており、同時に箱自体が消えた。


「火魔法はB様が獲得されました。C様はハズレ一位を指名してください。」


なるほど、本当にドラフトだ。


C君は少し考えてから目の前の画面を操作した。


「第一巡目、A様:光魔法。B様:火魔法。C様:闇魔法。D様:風魔法。E様:水魔法。」


こうして俺は、誰とも競合することなく一巡目で『光魔法』。

二巡目で『スキルコピー』。

三巡目で『時空魔法』。

四巡目で『土魔法』。

五巡目で『ポイント増加』。

六巡目で『ポイント減少』。

七巡目で『魔改造』をゲットした。


二巡目で俺がスキルコピーを選ぶと、他の四人はやっと気づいたようで、三巡目で四人ともスキル強奪を選び、くじ引きになっていた。


そうして、ドラフトの結果は、


 A:光魔法、スキルコピー、時空魔法、土魔法、ポイント増加、ポイント減少、魔改造


 B:火魔法、斧術、スキル強奪、付与魔術、身体能力強化、戦闘指揮、魅了


 C:闇魔法、剣術、盾術、格闘術、精神力強化、回避、探査


 D:風魔法、刀術、召喚魔法、モンスターテイム、詠唱短縮、気配察知、売値増


E:水魔法、弓術、投擲術、鞭術、詠唱省略、危険察知、相性(水)


となった。



Bは二位で刀術、四位で格闘術、五位で詠唱省略、六位で回避を選ぶも外れて、それぞれ斧術、付与魔法、身体能力強化、戦闘指揮となった。


七つのうち全て競合して四つ外れた。



Cは一位で火魔法、三位でスキル強奪、五位で詠唱省略、七位で魅了を選ぶも外れて、それぞれ闇魔法、盾術、精神力強化、探査となった。


七つのうち六つが競合して四つ外れた。



Dは三位でスキル強奪、五位で詠唱省略を選ぶも外れて、それぞれ召喚魔法、詠唱短縮となった。

七つのうち三つが競合して二つが外れた。


Eは三位でスキル強奪を選ぶも外れて投擲術となった。

七つのうち二つが競合して一つが外れた。


ほぼ俺の狙った通りの展開となり、俺は一度も競合することなく欲しいスキルを得ることができた。


特にポイント増加とポイント減少を選んだのは、一種のバクチだった。


詠唱省略は魅力だったが競合するのが目に見えていたので回避した末の結果だ。


「第一回ドラフト会議はこれにて終了いたします。

これより後は、個別に担当とともに別室での作業となります。」


アナウンスとともに今日に周りの景色が変わり、俺は八畳ほどの白い部屋にいた。


部屋には一畳ほどの大きさのテーブルと椅子が四脚置かれていた。


さっきのアナウンスの話どおりなら、これから『担当』とやらと『作業』とやらをするんだろう。





「光明神ライティア」

「時空神クロノア」

「大地母神テライエ」


この担当はドラフトで獲った魔法と関係してるのかな?


「まずは、自分のキャラクターを決めてください。」


キャラクターってゲームじゃ無いだろうに。


「どうやって?」


「モニターに向かって「スタート」と言ってください。」


ますますゲームチックになってきた。


言われた通りにしてみると、モニターに


  『転生or転移』


と表示された。


「違いが判らないんですけど。」


同じじゃないのか?


「転生は姿形や種族も変わりますし、記憶もなくなります。

転移は基本的に今のままです。

転生は別世界に生まれ変わる。

転移は世界を移動するということになります。」


なるほど、文字通りってやつか。


記憶がなくなるんじゃせっかくドラフトで獲ったスキルもうまく生かせないと思われる。


「転生したら今の記憶っていつか取り戻したりできるんですか?」


「できません。」


「じゃあ転移で。」


転移の文字を触ると


「種族▼」


に表示が変わった。


『▼』部分に触れてみると、


  ・純血、ハーフ、クォーター

  ・陸人族、海人族▼、森人族▼、地人族、翼人族▼、獣人族▼、その他▼


に変わった。


「種族について詳しく教えてもらえますか?」


「陸人族はいわゆる人間。

海人族はいわゆる人魚やタコ人間等。

森人族はエルフ。

地人族はドワーフ。

翼人族は翼のある飛べる人間。

獣人族は動物の特徴を持った人間。

その他は、巨人や魔物などです。

選んだ種族によって寿命やステータス、見た目等おおよそのことが決まります。」


魔物もありなんかい。


あとタコ人間ってなんやねん。


「ドラゴンや吸血鬼にもなれるってことですか?」


「そう望むのであれば可能ですね。」


「その種類を選んだ場合の利害損得ってあるんですか?」


「地域や見る立場にもよりますので一概に説明は困難です。」


「繁栄の度合いや敵対関係、力関係を第三者の目で見た感じでは?」


「人口などの繁栄度で言えば、陸人100:海人80:森人5:地人5:翼人1:獣人80:その他多数。」


「一般的に個人としての力関係で言えば、物理では、

その他(強)>地人≧獣人≧海人≧陸人≧≧翼人>森人その他(弱)。

 魔力的には、

その他(強)≧森人>陸人=翼人≧獣人=海人≧地人≧その他(弱)

といった感じでしょうか。」


「種族としての関係で言えば、その他は全種族から敵対。

場所によって陸人が自種族・他種族を差別・奴隷化している。

海人族はほぼ他種族と没交渉。

と言ったところでしょうか。」


『▼』を触れてみるとリストが表示される。


海人族には、鮫やタコ、イカ、鯨など海生生物が大量にあった。


タコ人間・・・どっちかが上半身だったりするのだろうか?


森人族には、白と黒の二種類があった。


エルフとダークエルフってことだろう。


翼人族には、大中小の三種類があった。翼の大きさだろうか。


鷲、カラス、スズメとかか?


獣人族には、動物の種類が獅子、虎、鰐、狼、狐、熊など多数。


獅子と虎のハーフにしてライガーとかできんのかな?


その他には竜種、巨人種、動物種、昆虫種、鳥種・・・・・ザコ種。 


おいっ。ザコ種ってなんだ?


ゴブリンやコボルトか?


「あと、陸人族以外を選ぶとポイントが減ったり増えたりします。

例えばその他の竜種を選ぶと最低でも所持ポイントの100%を使用します。

逆にザコ種を選ぶと100%増えます。

激振りってやつですね。」


ちょっと違うと思うが・・・


陸人族の純血を選んでみると『P±0%』と表示された。


言われたザコ種のコボルトを選んでみると『P+100%』と表示された。


増えたポイントでスキルを獲ってザコ無双もできるかもしれないけれど・・・コボルトは無いな。


逆に竜種の一番強そうな金龍皇を選んでみると『P―1200%』と表示された。


どうやってマイナスポイントを払いきれるんだろう?


「手持ちポイントで足りない場合は選べないの?」


「いえ、ツケが効きます。

しかしレベルアップ時にもらえるポイントがそれに当てられますので、成長の実感がなくなるかもしれませんし、利息も付きます。」


どこの金貸しだよ。


ブラック過ぎるだろう。


ポチポチといろんな組み合わせを試してみているが、


  陸人族±0%

  白エルフ-5%

  獣人族(虎)-5%

  白エルフと陸人族のハーフ+4%

  黒エルフと陸人族のハーフ+6%

  黒エルフとドワーフのハーフ+8%

  ハーフエルフと陸人族のクォーター+2%


が候補で残った。


ポイントに-が付く理由は、能力的に有利になる場合が多いため。


逆に+が付く理由はハーフや黒エルフは迫害対象であるためということだ。


そのため後で決める出生で『王家の跡取り』などといった、恵まれた環境になる可能性が大幅に減るということだ。


あと、種族特性が良く出る場合と悪く出る場合があるという。


力もあって魔力もあるドゥエルフになれるかもしれないが、力も魔力も無く迫害対象になる恐れもあるってことだ


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