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彼女の終わらない独白

作者: 星川 彗

どこか心当たりがあるのではないでしょうか?

死にたい、そう思った。今回はいつもより本気で思った。


そして、昔に読んだ本に泥酔状態で布団を被って寝ると、眠るように死ぬ。そう書かれたことを思い出した。


今はちょうど、泥酔という状態にある。そもそも酔っていなかったら、もっと冷静に確実に死ねる方法を考えたはずだ。後から冷静に考えても、計画性の無さに呆れる。

そう、結論から言うと失敗したのだ。


布団を被って目を閉じると、前日の徹夜もあって睡魔はすぐに襲ってきた。どれくらい、時間が経ったのか、あるいは1、2分の話だったのかも知れない。ふと、自分が呼吸をしていない事に気付いた。手足は痺れ、視界は白く煙り、頭は心地よく痛かった。このまま死ぬんだ、そう思った瞬間、呼吸をしようともがいた。必死で酸素を求め、全身に力が入り固く目を閉じる。そこからは、覚えていない。次に意識が覚醒した時には、携帯電話は次の日の午後を指していた。誰からも連絡はなく、ただいつも通りのメルマガとアラームが鳴っていた事だけを表示されている。


私は、絶望した。


絶望とは、まだ若く、世間も知らず、幸せな環境で育った私には無縁の言葉である。しかし、絶望した、と一言で言い切りたいくらいには驚き、嫌気がさしていた。癖のように大量に飲む薬は、死にたいという願望を代弁してくれているが叶えさせてはくれない。そんな風に、いつも通り死ねなかったのなら、まだこの世界に溜息をつき、仕方なく生きることを選択したかもしれない。しかし今回は望み通り死ねる状況までいった。いつ死んでもいいと本気で思い、豪語していた。そんな、私が死ぬことを拒んだ。生きることに、しがみついたのだ。




そんなことをしたためてるうちに、刻刻と出勤時間が近づいてきた事に気付く。あぁ、死にたい。やっぱり、そう呟きながら体を起こした。




読んで頂きありがとうございました。

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