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千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
5歳の女の子と獣人さんのお話
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94回目 寄生惑星バターゴ

「今度の新人は使えるんだろうな」


「前のヤツは勝手に前線に突っ込んで数日で死んだからなー」


談笑しながら資料室にたむろする無骨な男達、

その中にリス獣人、とはいえ人間の一回りは大きい体格の彼はいた。


彼らは異星侵略部隊『バダーゴ』の外人部隊、

そのほとんどが犯罪者で構築されたこの部隊は生還率一万分の一のほぼ死刑にも匹敵する環境におかれている。


「失礼します」

そういって入ってきた人物はバダーゴにはあまりにも不釣り合いな華奢な体躯の少年兵(5さい)だった。

「はじめまして、今度から皆さんの統括指揮をさせていただくことになりました」

「「はぁ?」」

その日から激変する生活を誰も予感しないまま、物語は始まった。


「いくつか戦場は経験してきたけどこのフィールドは初めてなので様子を見させて頂きます」

そういっていきなり戦場に出ようとした少年を全員で引き留め

リス獣人に邪魔だと言われてしょんぼりした隙に彼を仲間が指揮車両に押し込む


戦場は半径3kmの拡張を続けている街で行われる

定期的に襲ってくるエイリアンを追い出すのが彼らの日常的な仕事だ

その日の敵も数は多いとはいえ戦い馴れた個体ばかり8人しかいない部隊でも十分相手には困らなかった

「こりゃ隊長なんていらねーよな」

無駄話を交わす余裕すら持つバダーゴの面々

そんな中モニターを眺めながら少年はある事に気付いた



少年からの通信が入り、その内容がもう少しで殲滅出来そうな敵を回り道してわざわざ放置し、

その中の街破壊特化型の行動を見逃す

という物だったため誰も耳を貸さない中

リス獣人は友人の人間の男と地図を見て違和感に気付きかける

それを確かめるため部隊を離れる二人

護衛のエイリアンを殲滅し建物破壊型エイリアンに対して

総攻撃をかける陣形になった瞬間

そこへ突然上空から無数の衛星が落下して次々に倒れていく隊員達


その様子をモニターしながら机を叩く少年

その時通信が入る


「配置についた、指示を頼むぜ隊長さん」

通信の声はリス獣人の物だった

「今部隊は壊滅状態だ、君たち二人に全てを賭ける。スナイパー経験はあるか」

『訓練でならあるんだがなぁ』

『少々、昔取った杵柄やらせていただいても?』

「よし頼む、人間の体の方が精密射撃には向いているしね。あの化け物の頭をスコープで見てくれ」

『どれどれ……なんだこりゃ、あいつ頭に花が咲いてやがる』

『脳天気って事か?』

「アレは群体生命の一種で普段は成層圏にコロニーがある種類だ、共生してるんだよ。

 隕石の正体は身の危険を感じたあの花が仲間に救助を頼んだ結果だ」

『なるほどなぁ』

そういいながらリス獣人はバズーカで化け物の足下を撃ち動きを止める。


ライフルの標準に花が入り、花に目玉が生まれてこちらを見た。

「あばよかわいこちゃん」

人間の男がそう呟くとライフルが吼え、花びらが散る。


花のあった所から脳髄が飛び散り倒れる化け物、隕石も次第に収まって消えた。


『状況終了、直ちに仲間の救助に向かってくれ』

「了解チーフ」

「人使いの荒いおぼっちゃんだぜ、ったく」

そう愚痴るリス獣人の顔はにやけていた。

「まぁそう言うな、お手柔らかに頼むぜ俺の子供だ」

「ああ、・・・ああ!?」


実はリス獣人の友人の子供だった少年。

仲間は三人死亡、一人は重体で意識不明、二人怪我でしばらく戦線復帰は無理だ。

実質二人と子供一人で戦わなければならない状況になり、

口では軽く言うが内心リス獣人と友人の中で死を覚悟する気持ちが芽生え始めていた。


友人はリス獣人に

「自分の子供だけは地球に帰してやりたい、手伝ってくれ」と頼む。

リス獣人は「言われなくたってそのつもりだ」

と答え二人は友人の隠していたとっておきの酒を飲む。


不眠不休でなんとかみんなが生きて帰れるように、

地球の知人とも相談しながら作戦を練っていた少年の元にリス獣人が現れた。

「よう、あのーなんだ。太陽風とこの惑星のリングの作用かなんかで敵もしばらくこねぇんだろ?

ちょっと息抜きしねぇか」

「いや遠慮しておく、君もやる事がないなら武器の整備を。

 この状況で廃弾不良なんて起きたらそれこそ命取りだよ」

「あーったく、人が気使ってやってんだいいから来いよ!」

「おいっこらっ書類が、ああっ」


行き場に困ったリス獣人は基地の中を彼に案内しながら、

彼がここへ来た理由をそれとなく聞く。

状況が状況なだけに少年はあっさりと口を開く。

「犯罪者の刑や刑期の短縮を条件にこの基地が運用されている事は知ってるね」

「ああ」

「ここにいる兵士はみな重罪人ばかり、

 君は死刑判定を下された人間がここでの任期を終えたあとどうなるか聞かされているか」

「一応帰還ロケットに乗って地球へ行くんだろ」

「そしてどうなる」

「途中で事故に見せかけ爆破」

「その通りだ、僕はその不正を許さない」

「はっはっは!そんな事のためにここへ来たのかよ。

馬鹿だなぁ、俺だって気付いてるんだ他の連中もとっくにわかってんだよそんな事」

ちゃかしながら少年の目を見たリス獣人はその毅然とした眼孔に息を飲む。

「お前みたいな子供がどうこうして覆るほど甘くない、

それだって理解してるだろうに」

「僕は個人的な復讐のためにここにいるんだ、

ここで物的証拠を掴み、地球で暴露してヤツを失墜させる」

少年の母は軍の将軍の娘で、彼の暗躍で顔も見た事もない父は死地に送られ

母は将軍の秘密を知ってそれを明かそうとして事故死扱いで殺された。

将軍に育てられ従順な犬を装う事でコネと権力を手に入れた少年は、

復讐する事で母の死から止まってしまった自分の時間を元に戻そうとしているのだとあかす。


「いいのか、そんな大事な事俺なんてゴロツキに話しちまって」

「ああ、おかしいな僕とした事が口が滑った。ナイショにしてくれ」

片目を閉じてないしょのポーズをする彼のあどけなさ躊躇しながら、

リス獣人は友人と計画した事を実行に移す。

「ん、なんだ」

いきなり腕を掴み上げられ少年はきょとんとした顔をする。

そのまま壁に叩きつけられ何がなんだかわからないという目でリス獣人を見た。

「ど、どうしたんだいきなり、なにか気にさわったなら……」

「うるせぇ!むかつくんだよテメェみたいな金持ちのおぼっちゃんはッ」

リス獣人は少年の胸ぐらを掴み持ち上げる。

「大体お前は……あれ?」

少年の服が裂け彼がある事に気づきぴたりと動きを止めた瞬間、

少年は彼の股間を思いっきり蹴りつけた。

「うぐっがぁあああ!!??」

ぴょんぴょん跳びはねるリス獣人急いで破れた部分をかばう少年。


「お前女だったのか?」

「うるさい!馬鹿!」

大声を聞きつけ基地の管理スタッフに見つかりリス獣人は反省室へ閉じこめられた。


一人部屋で着替えをしながら胸に触れて、その時抱いた不思議な感覚を確かめようとする少年。

基地での問題はすぐに上層部へ報告され、

半ば強制的に少年の地球帰還は彼の意志は関係なく決定された。

計画通りとはいえ気まずいリス獣人、

それに友人が父親だと気付いてない事もひっかかっていて

友人はどうも自分が父親だと明かす気も無いようでもやもやしていた。


少年が帰還する当日、最後だし侘びに造花を一つ作って少年に持っていくリス獣人。

通路で出くわした二人、キッと嫌なヤツを見る目で自分を見る少年に彼は心を痛める。

そんな中突然爆発が起こりアラームが基地中に響き渡った。

敵の新型、ステルスタイプの来襲だった。


今戦えるのは二人、街の中であったならまだ戦いようはあったが

心臓部へ来られたなら全く打つ手無しなのは明白だった。

敵の攻撃で崩れる基地の中を一緒に走る二人だったが、

落ちてきたガレキに少年が下敷きになってしまう。

彼を助けるためにリス獣人がガレキを持ち上げていると、

ステルスタイプの敵が二人に襲いかかってきた。

「俺が時間を稼ぐ、急げ!!」

彼らを助けるために友人が飛び込んでくる。

ガレキをどかし、足をくじいた少年を小脇に抱えるリス獣人を見ると

「後から行く、早くロケットへ!!」

血塗れになりながら友人は叫ぶ、

その姿を振り返る事もなくリス獣人は走る。

背中には友人の断末魔の声、そして彼の隠し持っていた爆弾の炸裂音がした。


「もういい、僕は足手まといだ、置いていってくれ頼む」

「うるせえ!!」

少年はリス獣人の声が涙声なのに驚き顔を見上げる。

彼のいつも不機嫌そうに歪んだ顔に涙の光が赤く輝いている。

「お前は帰るんだ、俺達がただの一人も生き残らなくてもお前だけは帰るんだよ!」

その瞬間少年は彼のした事が自分を帰らせるためにした事だと気付く。

「なんだ、君だって十分馬鹿じゃないか」

彼の首に腕を回して彼の毛皮の匂いをかぐ少年、

それはたくましく頼もしく勇ましい戦士の匂い。

「手はまだ残されてる。行こう、生き残るんだ二人で」


戦闘員以外の人員が乗った脱出ポッドが空高く飛んでいく中を一機のロケットが降りてくる。

上空で脱出ポッドが次々に破壊されていく。

空に見える惑星のリングが基地の上空まで移動して、

無数のエイリアン達がバリアのように基地を取り囲んでいた。

少年の案内でロケット内部のコクピットに向かうと途中に数機のパワードアーマーがあった。

「脱出ロケットって設備じゃねぇな」

「暴君の敵は僕だけじゃないってことさ」

というと少年は彼にコクピットに差し込まれた for my friends. という手紙を見せる。


「将軍が攻めてきた時のための装備みたいだけど、

 これを使えば千に一つくらいのチャンスは掴めそうだ」

「低い可能性だなぁ」

「可能性十倍、だろ。余裕さ」

そういうと少年はロケットを発射させる。

ロケットは飛びながら戦闘用のマニピュレーターやらが飛び出してきて、

一目にロケットとは言えない形状に変化していく。

自分のサポートはある物の襲ってくる敵を最小限の火力最小限の動きで

次々にいなしていく少年の腕前に舌を巻くリス獣人。


残された全火力を目の前のエイリアンで出来た壁に集中砲火、

躊躇うことなくブースターを全開にする。

「うぉおおおおおおおおおおおお!!!!」

煙の中かすかに開いた穴に向かいきりもみながらロケットが飛び込む、

穴が塞がる間一髪で壁を抜け成層圏を飛び越えるロケット。

一安心した二人は一つ大きくため息を同時につき、互いの顔を見て大笑いをした。


ゴンッ

衝撃がロケットを襲う。

何度も何度も続く衝撃、機体の損耗箇所、危険を告げるアラームが鳴り始める。

「敵が、まだ外にいるのか」

船外カメラでその姿を捕らえると、それは現段階の人類の技術では倒せないとされている

レッドコードタイプのエイリアンだった。


そう呟くと席を立つリス獣人。

「どこへ行くんだ」

「ちょっと掃除にね」

その顔はあまりに静かで、裏打ちされた決意に

ゾクッとしたものを感じながら少年は逃げずに見据える。

「僕は君のこと嫌い……嫌いだ、大ッ嫌いだよ。

 だけど絶対に死なないって、約束してくれ」

「帰ったら今度はお前が地球を案内してくれ、行った事ないんだ地球って」

そういうとリス獣人は優しく微笑んだ。


パワードアーマーを装着しリス獣人は船外へ出る。

慣性力が働いているためアーマーのブースターでも十分敵の場所へ向かう事ができた。

祈るようにコクピットで待ち続ける少年。

音がしなくなり思わず今まで音のしていた場所を見る。

リス獣人の名前を呼ぶ少年。


ガオォオオンッ

今度の衝撃は凄まじい物だった、

おそらくロケットの燃料タンクの一つが破壊されたのだ。


堰を切ったように化け物の足音が凄まじい速度である場所へ向かっていく。

装甲の一番薄い場所、ハッチだ。

それに気付いた少年は急いでパワードスーツの場所へ向かいそれを装着する。

スーツの腕には超重量火器、戦車でも一撃で破壊出来るガトリングガン。

しかしそれすら心許ない銀ダマ鉄砲程度にしか思えないのは仕方のない事だった。

ハッチの入り口で化け物を待ちかまえる少年の手は震え、

息は凍って、鼓動は張り裂けそうだった。


こじ開けられたハッチの外から血塗れの姿でパワードスーツの片腕を

リス獣人の腕ごとくわえている化け物が現れた。

「うぅううわぁああああああああああああ」

ガトリングガンを狙いすらつけずに撃ちまくる少年。


その弾はことごとくはじき返され、

その現実が一瞬一瞬少年の精神から正気を奪い去っていく。


弾を撃ち尽くしてもトリガーを引かれるままに回転を続けるガトリングガン、

化け物はゆっくりと少年に近づき、

もてあそぶようにいたぶり

その醜い口が少年の頭に覆い被さった。

「悪い、遅くなった」

その声とともに鋼の刃が化け物を串刺しにする。


断末魔の叫び声を上げる化け物、

刃から無数の返し刃が飛び出して化け物の体をホールドする。

化け物の体が何かの力で無理矢理押しのけられると、

そこにはリス獣人のボロボロのパワードスーツの背中があった。


「定員2名だ、お帰り願うぜ」

リス獣人がトリガーを引くと宇宙空間に刃ごと打ち出された化け物は

刃に内包された小型高性能爆薬で大爆発。

同時に機能を再開したロケットのブースターの炎で細かく残った肉片まで焼き尽くされた。


それから気を失ったリス獣人を泣きながら必死に介抱する少年とか、

途中でレジスタンス組織に助けられて不正を暴いて身の危険を回避して

地球でまずした事がキスの続きだったりいちゃいちゃデート。


リス獣人は片腕を失ってやる仕事もなくて絵を趣味で描いていたら、

なんかそれがあまりにも下手すぎて逆に認められてそこそこ食べていけるようになり、

少年も軍人辞めて二人でいちゃいちゃした。

年齢とかなにそれって感じで末永くいちゃいちゃしたとさ。

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