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千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
千の夜と一話ずつのお話
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15回目 フィジカル革命

年末のデスマーチが終わったのでちょっとづつやっていけるかな?と思います

その日突然ニュースのキャスターがおかしな事を言いはじめた。

また何かのやらせかと思ったが背景の音声に怒声も混ざっている、

なにか異常事態なのは間違いなかった。

彼が言うには「いよいよ決起の時が来た、我々の革命の始まりである」

人間の脳は本来人間の体に寄生してそれを支配している寄生生物であり、

彼、というより彼らは自分達を本来の人間そのものだと言った。

人間は脳の支配から解き放たれるためにその機会をうかがってきた、

そして脳に気づかれないうちに脳を肉体から切り離し、

肉体の意志を覚醒させる事に成功したのだという。

そういって彼は自らの後頭部を見せる。

そこにはぽっかりと開いた大きな穴、そしてそこにあるべき物が、脳がたしかになくなっていた。


人類と肉体との支配権を巡る戦いはそれまで存在した人類文明のあり方を大きく変容させる事になった。


肉体側の主張であったはずの脳の独立生存性は

いつの頃からか脳の側の研究者の間でも研究が進み、

脳が独立し機能性を肉体の操作から別の方向に向けると

従来の人間である事の数倍から十数倍もの性能を発揮する事が判明し、

脳をあえて取りだし兵器として運用、

肉体を捨て機械の体に換装した機械兵などの導入も始まり、

少しずつではあったが人という存在のあり方が揺らぎ始めていた。


生身の肉体を保ち続ける物に対して人々から白い目を向けられる事も多くなった。

肉体を持たない存在からしたらいつ敵に回るかも知れない部品を持ち歩き、

ましてやなりすます事も可能な危険性を社会の中に置く要素であるのだから当然で、

実際肉体を保つ為には自分達の陣営の他の個体より秀でた特性を示し、

貢献度を証明し続ける必要があった。


俺がまだ生身の肉体に固執する理由は自分でもよくわからなかった。

ただ俺はまだこの世界の変化についていけておらず、

幸か不幸か世界の変化にあわせなくても生きていけるだけの能力は有していて、

俺自身の生き方も存在もただの惰性の延長線上にしか存在していないという自覚だけがあった。


俺は鏡の前で俺の体に聞く、

産まれた時から一番近くにいるお前に聞く。

お前はどうしたい?

この世界の中で、俺たちはどう生きていけばいいのだろうか。

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