14回目 アンリアルワールド
近未来の世界では人々は自分の肉体から心を切り離して生きるのが流行していた。
電子サーバーの中に作られた世界で生活していた青年は、
現実の肉体にプログラムで作られた人格を乗せて、
仮想世界での人生を他の電子サーバーの住人達と人間関係を結び、
恋人もでき人生を謳歌していた。
しかし青年はある事故からしばらく現実世界の肉体に戻らざるをえなくなった。
しかし現実の世界の自分を動かしていたプログラムがバグを起こしていて、
アメリカから日本に入り込んできたギャングの新興勢力の一戦力として
ヤクザな世界でものすごくダーティな生活を送っているらしい事を知る。
生死と隣り合わせな環境で内心気が休まらない思いをしながらなんとか青年が生き延びていると、
仮想現実世界での知人と現実世界でも顔合わせする機会が増えてきた。
仮想現実では気の良い人物を装っていた相手も、
現実世界では自分を利用して生きている事を知り、
まだ自分がプログラム人格だと勘違いして同じように接してくるのをいなし。
ネットでの恋人にも現実で再会する。
ネットでの恋人は今では死語に近い清楚で可憐な女性だったが、
現実の彼女、正確には彼女も青年と同じようにプログラムに
肉体を全面的に任せるタイプのユーザーのため、
現実の彼女を動かしているプログラム人格もバグを起こしていて
腕利きの殺し屋として生きている事を知る。
闇の世界で頭角を現し始めた青年とのコネクションをエサに
彼女に近づいて彼女を危険から遠ざけるため、
なんとか殺し屋家業から足を洗わせようと画策する青年だったが、
プログラム人格の彼女に好意を持たれるようになり、
そんな日々を送る中でプログラム人格の彼女に心惹かれるようになっていってしまう。
そんな中で彼に通知が届く。
三週間後、彼の精神は再びネットに返される。
彼は決断を迫られる事になった、
現実に残るか、ネットに帰るか。
青年は選ばなければならなくなった。