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千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
千の夜と一話ずつのお話
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11回目 生命保険

近未来、病気や怪我をした人間は他者に迷惑をかける罪人として裁かれるか、

サナトリウムに閉じこめられる世界になっていた。


みんな病人を疎ましがりながら病気にならないために莫大な金と

労力をかけて生きていた。

そんな中、生命保険が流行し始める。

最初に一度注射をするだけであとは企業に金を払うだけで、

絶対に病気にかからなくなる。

みんなその保険に夢中になった。


青年はサナトリウムに送られた恋人に会うためにあえて生命保険に入らず、

ついに都市から追放され彼女と再会するが。

そこにあったのは破滅に向かって加速を続ける地獄そのものだった。

彼らにも希望と呼べる物はあった、

その世界のあり方に叛逆する者達が集まり各国を回る医療団を組織し、

医療団さえそこにたどり着く事ができれば病人達は救われる。

しかし医療団はサナトリウムにたどり着く前に政府により追跡され、

八方塞がりの状態で政府の目から逃れ停滞を余儀なくされていた。


青年は医療団を助け出すための選抜隊の一員として志願し、

恋人やサナトリウムの人々を救うために命をかける覚悟を決め、都市へと向かう。


都市へやってきた彼らが目にしたのは変わり果てたかつての故郷だった。

そこには死者がいなかったのだ。

病気にもならず、死ぬ事もない、もし死んだとしてもゾンビとなって生き続ける。

生命を保険する、完全な生命保険。

しかしいくら生きているといっても肉塊ではしょうがないと、

ゾンビの中にかつての知人友人を見て青年は顔をしかめる。


ゾンビによって埋め尽くされた都市の中を犠牲を払いながら医療団を探し出す青年達。


医療団の目的の一つは生命保険に使われたある特殊な薬剤の危険性を政府に訴える事だった事が明らかになる。

ついにはそれは果たされず、危険を訴えるために医療団は見つかり包囲され、

サナトリウムでも数え切れないほどの被害者を出してしまった。

その現実に打ちのめされ、刹那的な感情に支配されていた彼らに檄を飛ばし、

青年は暴走した政府の残骸と死ぬ事の出来ない生者の群れから医療団を守り、

ついにサナトリウムにたどり着いて大切な人達を守る事に成功する。


政府によるサナトリウムからの脱走者を閉じこめる壁が、

逆に都市からのゾンビの群れの侵入を防ぐ事に役に立った。


青年と恋人は医療団に参加し、海を渡る。

恐らく人類の文明が滅んでいく時代の始まりに、

かすかにでも生命に希望を見出すために。


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