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馬鹿な後輩
あいつは昔から馬鹿な後輩だった。
折角持ってきた傘を振り回し、壊れた傘を片手に途方に暮れるなんて日常茶飯事だ。
私はそんな情けない姿を見る度、近所のよしみで傘に入れてやったもんだ。
あいつは馬鹿だから感謝の言葉も口にせず、自分が濡れまいと必死に傘を自分へと寄せようとしやがる。
私たちは暫く奪い合いを続け、結局は私が折れて、傘を譲ってやる。
片手を濡らした私の姿を見ると、あいつの母親は頭を下げて私を家へと招き入れ、温かい飲み物とタオルを出してくれた。
私は家も近いからと遠慮をするのだが、結局はいつもお邪魔をすることになる。
考えてみれば、あいつの妙に頑固なところは母親譲りだったのかもしれないな。