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教会とマーク

他にも子供がいる中、マークは何か違和感を抱いていた。

だが、その違和感はぼやけているように感じてその正体は今のマークにはわからなかったが、でも何故か他の誰かには話してはいけないような気がしてならなかった。

ーー前世のあの経験がもしかしたら影響したのか?

と、一瞬思い当たった記憶を見つけたが、その記憶を思い出すことを拒むかのように頭痛がしたマークは、記憶を思い出すことを諦めて赤ん坊の仕事である睡眠を取ることにしたのだった。


次に目が覚めた時には、窓の外はオレンジ色に染まっていてマークはとても驚いた。

半日は眠って過ごしていたのだ、驚くのは当たり前かもしれない。だが、その割には衣服に不快感を感じることはなかった。

ーー眠っているうちに誰かがおむつを替えてくれたんだろうか?

マークはそう思うことにして、

「あう〜」

そう言って、自分が起きたということを知らせた。

当たり前かもしれないが、半日も眠っていれば空腹を感じ始めたマークは話せないことに対してむずがゆさを感じながら、目で空腹を訴えることにした。

良く、あうの一言だけで気付いたものだ。

思わず感心してしまうほどの早さで青年ことユリアはやって来て、起きたんですね? と優しい声でそう言って、マークを抱っこした。

あーうーと不服そうに訴えれば、

「お腹が空いたんですね?」

訴えることを思わず心を読めるんじゃないかと思うくらいに、ユリアはマークの言いたいことを察してくれ、彼はとても驚いていた。


人肌までミルクを冷やし、マークが飲みやすいように手慣れた手つきでミルクを支えてくれていることに有難さを感じながらも、やはり拭えない自分とユリアが何か違う違和感を感じつつ、満腹になったことでゲップをした後から抗えないくらいの眠気に無駄な足掻きをしつつも意識が何処かに引き込まれそうになるくらいの眠気に勝てず、気絶するかのように眠りについた。

「魔力があるのに、魔法を発現出来ない体質とはこの世界で生きるのはこの子にとって厳しすぎます……」

「守り続けることはワシらには出来ん。養子に出して、武術を習わせるのが得策かもしれん。側に居させたいが、その思いがこの子を殺してしまうような気がして、ワシらが苦い思いをしてまでもこの子を側におくことは我々の勝手な都合だ。この子が幸せに暮らせる養子先を探そうか、ユリア」

「では、ここはどうですか? この方ならマークを安心して預けることが出来ます」

そう言って、とある人物の資料を渡しているなど爆睡しているマークは知るはずもなかった。


「この子は僕達と流れる時間が違うんです、だから……同じ時を生きる可能性がある方に出会える所で過ごせた方が幸せなはずです」


そう悲しそうに言うユリアの肩を叩き、コツンと一回軽やかに杖を鳴らしたのだった。





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