【7】 謝礼金と視線
もうサブタイトルが全く思いつかなかったのでこれで良しとしてください。
<(_ _)>
そろそろ動き始めたいけどあと二部くらい必要なんだよな・・・。(フラグをこれを書くまで忘れていた作者・・・)
さて、どうしたものか・・・。
周りは唖然とし先の女冒険者は私の行動を見逃すまいと警戒している。
少しだけ女冒険者と目があったが気にすることもないだろう。
とりあえず。
私はフードの頭を軽く引っ張り、先の受付嬢の所に向かった。
「済まない。あれ以上放っておくには行かなかったものでな」
「い、いえ」
「で、昨日の件のことは報告したほうがいいのだろうか?」
受付嬢は少し考えてからあっと感じで気がついた。
「では、少しお話をお聞きしたいためついてきていただけますか?」
「わかった」
私は頷くと居心地の悪いこの空間から離れた。
女冒険者side
私はこの町に仲間とともに次の町に向かうための食料などの追加のために立ち寄っていた。
その都合で私はギルドで魔物の異常が無いかその情報集めに来ていた。
もちろんのこと他の仲間にも情報収集はしてもらっている。
私たちがたとえネーワースだとしても複数の魔物に襲われればすぐに全滅してしまう。
だから集めた情報の総合的な判断はリーダーの責任となる。
手始めに簡易型の連絡版に慎重に目を通し気になった情報を受付嬢に聞きに行く。
話を聞く限りだと多少だが魔物の行動が目に付くようになっていることや西の方で魔物のが集まりだしていることがわかった。
突然、ギルドの扉が開かれると同時に魔力の反応を感じることができた。
そこにいたのは魔法士ギルドの人間二人だった。
冒険者ギルドと魔法士ギルドの中が悪いのは知れ渡っていることであるため私はすぐに警戒する。
だが用があるのはギルドに出はなく隣にいた。
(なんだこの怪しい奴は)
禍々しいほどのローブを被りフードで顔は見えないが声からして若い男らしい。
すぐに魔法士の奴から魔力を感じ取ることができたため魔法を撃ってきた瞬間に剣を抜き闘気を纏わせ魔法を斬った。
それに合わせるようにだが仕方なさげにもう一人は水魔法を放ってきた。
縦横無尽に飛来する弾を腕に力を少し貯めすべて切り裂いた。
その瞬間、第一級災害種の魔物以上に危険なものを感じ振り返ると怪しい奴の手に四角い黒い箱がそこにはあった。
体が硬直している。背中に冷たいものが走る。今力を抜いても崩れ落ちることはできず剣も手から離れないだろう。それでもこいつからは絶対に警戒を解いてはだめだと本能が伝える。
フッとそいつが消えた。
(消えた!?)
後ろからぐっとうめき声が聞こえるとそこにいた。
すぐに魔法士が気絶したほうを背負い逃げて行った。
フードを被っていて何を考えているかわからないが敵意は無いように感じる。
一瞬だけ目があった。
黒い目だ。少なくともこの大陸の人間ではないと思われる。
スタスタと私の横を通り過ぎ受付嬢と一緒に奥の部屋に入っていった。
sideout
奥の部屋に案内されると高そうなソファーと机があり部屋の隅には何かしらの魔道具が設置されている。
受付嬢と私は対面するようにソファーに座り少し落ち着いてから話し始める。
「では、まず先ほどの件ですが貴方はギルドに所属していないため器物が破損した場合、かなりの額の賠償金が請求されるので注意してください」
なるほど、冒険者ギルドと魔法士ギルドの間は仲が悪い、その上違うギルドなのでこんなことがよくある。そして歯止めが効かない。そんな時に一々賠償金などと言われれば普通に狩りをしたり町のアルバイトをしていた方が結果的に自分の利益は上がるためか・・・。
「そうだな。わかった気を付けよう」
「それでは昨日の件に入りますが・・・・―――
私はこの町に来てからの行動と傷だらけだった女冒険者がどんな状態だったのかを詳しく話した。
―――・・・では、パーミスさんはレイナに対して謝礼金などの要求は一切ないのですか?」
この受付嬢・・・名前は・・・そうルヤだ。ルヤは信じられないと言う表情をしていた。
「だから、さっきからそう言っているだろう。私は善意から治療を行ったまでだしそのまま放っておいたら二十分ほどで死んでいた。生きる可能性のある奴を放って死んでもらっては目覚めが悪いだろう。あっちも長生きができてこっちは人助けができた。損はしてはいないし迷惑をかけたわけではないだろう?」
「いいですか、魔法が使える人はそれだけでも食べていけるんです。しかも治癒魔法なんかは特にです。そしてその治療にはすごいお金が請求されるんですよ。何せ、治癒魔法士は少ないですし貴重です。・・・・あぁ、もう!。つまり他のモノが請求されると困るのでおとなしくお金を貰ってください!」
もう、投げやりになってきたな。つまりレイナとか言う女冒険者の貞操やらなんやらを請求されることが怖いのでとりあえずお金を貰ってチャラにしろと。
「では、少しだけでいいから貰っておこう。そうだな・・・銅貨五枚でどうだ」
ルヤはずっこけそうになっていた。
「子供のおこずかいですか!!」
「いや、こっちはいらないと言っているのに貰え貰えと言うからだろう。契約書とかもあるのだろう・・・早くしてくれ。こんなにも拘束されるとは思っていなかったのでな」
何か言いたげだったがルヤは部屋の外に出て行き、銅貨五枚と細かい文字でびっしりと書かれている紙を持ってきた。
「では、こちらにご自身の名前を書いてください」
渡された紙に名前を書いていきルヤに返した。
「では、銅貨五枚になります。この度はギルドのメンバーを助けていただきありがとうございました」
「では、私はこれで帰らせてもらう。長い間ご苦労だった」
私はフードを取り頭をさげた。
「い、いえ。お疲れ様でした」
部屋から出てフードを被り直しここまでの通路を戻って行った。
ギルドの広間に出ると警戒心がむき出しになっていた女冒険者はいなかった。
あれだけむき出しに睨んできていたので襲われる覚悟はしていたのだが杞憂に終わったようだ。
だからと言って注目が減るわけでもない。
まぁ、そのほとんどが敵意をむき出しにしているのだが・・・。
「なぁ、あんた。魔法士・・・なのか?」
正面にほかの奴と比べて思い入れが違うのか何割か確実にデキる奴が話しかけてきた。
「いや、魔法は使えるが魔法士ギルドに所属はしていない」
「んあ?ち、違うのか?」
魔法が使えるから魔法士ギルドの人間と考えるのは当たり前になっているのか・・・。
「あぁ、私は奴らが嫌いでな。昨日も一人宿屋で問題を起こしていたのでな追い出してしまったのだが・・・先ほどの魔法士は昨日私が追い返した輩だ。迷惑をかけた」
私は頭を下げる。
男は少し困ったように頬をかきバツが悪そうな顔をした。
「そうだったのか・・・いや、こちらこそ済まない。俺たちはお前さんが魔法士だと思っていたからよ」
「それに、魔法士なら冒険者ギルドに頭を下げないだろう?」
そう言うと周りの空気が少し和らいだ。
これだけのことで気が緩むとは・・・魔法士はどれだけプライドが高いのだ・・・。
「あぁ、そうだな改めて済まなかった。まぁ、万が一、あんたが本当は魔法士だって言われても剣を抜いたりはしないだろさ」
「・・・・本当に魔法士ではないのだが・・・まぁいいだろう」
こいつのおかげで周りの空気は緩和し少しはこのギルドに入りやすくなった。
そうだな、お礼に少しアドバイスでもしてやろうか・・・。
「あんたは今・・・そうだな。筋肉の付き方と姿勢、その手を見てわかることだが剣の腕はかなりあるがまだ闘気が弱いことが感じられる。一度、剣だけを構えて血液の流れを感じてこの胸の中心で練り込むように想像しつつ体全体に流すことを思い浮かべればそこそこはできるようになるだろう。動き出せば霧散してしまうだろうがあとは慣れの問題だ。上達すれば剣にまで闘気を流し込めるようになるから・・・」
「す、少し待ってくれ。急になんだ。なんで闘気が弱いことがわかるんだ。・・・・それにその方法で俺は強くなれるのか?」
男は目を白黒させている。
「普段から闘気を使っているやつはもっと流れが早く力強い。あんたの場合、闘気は剣を振るうことで多少強くなっているのだが魔物にはその程度では効かない。闘気は練るほど強くなり流れる速度が早いほど消費量も持続力も違ってくる。
時間はかかるがこれなら街中でもできるし安全だろう」
「いいのか?俺になんか教えて・・・金なんか持ってないぞ」
「いや、ただのお礼だ。しかも口頭だけで教えて金をとるなんてできるはずがないだろう。あとは頑張り次第だな。一週間ほどで少しだけだが違ってくるだろう。騙されたと思ってやってみることだ。では私はこれで」
「あ、ありがとな」
何とも言えぬ顔つきになっていた男は少し面白かった。
ギルドから出ると何かの視線が自分を見つめていた。
―――ぞくっ―――
背筋に冷たいものが電撃のように響き渡り
何十何百何千・・・数えきれないほどの視線が突き刺さる。
背筋に冷汗が流れ呼吸が止まりこれが”神”なのだと理解ができた。
こちらを見つめる視線の先を追う。
だがしようとしたところで気配が失われた。
「・・・・・きさ・・・」
何かを調べようとしたのはわかった。
多分、本来いないはずの人間がいたから障害となりえるかを調べようとしたのだろう
「・・・・おい」
でもあんなにも強い気配を出してまで?
自分はここだと知らせる危険まで冒すだろうか・・・。
「おい、貴様。私を無視をするな」
「ん?なんだ?私か?」
呼びかけられたことに気がつかなかった
そこにいたのは敵意をむき出しにしていた女冒険者。
だが後ろに重心が後ろに向きうまく隠しているようだが闘気を循環させ敵意と警戒心をむき出しにされてはどうしようもない。
「さっき、貴様は何をしようとした?」
「何を?と言うと?」
「とぼけるな。あの禍々しい黒い箱を出した時だ。あれはもう一級災害危険種で作られた武器でもあれほどにはならない」
あれを武器だとはわかるのか。普通の奴から見ると黒いただの箱なんだが・・・。
あれを出した時もう一人の魔法士はかろうじて”ヤバい物”と認識した。いわば警告、みたいなものだった。
「・・・出した理由としては魔法士の奴らに対する警告、とでも思っておいてくれ。では」
面倒事はごめんだと言う風に言葉を返す。
私は後ろを向いた瞬間に魔力をローブに通す。
後ろを向いた瞬間、剣を抜き放つ音が微量ながら聞こえたからだ。
闘気を纏い、ある程度の強者の斬撃は鋭く周りに突風が吹くほどの威力がある。だがローブに傷一つなく完全に受け止められていた。
「なっ・・・」
「危険だろう。私でなければ確実に真っ二つになっている。しかも、その程度では私には勝てんよ」
「くっ!」
「パーミスさん?」
後ろからユリアの声がした。
悔しそうにしている女冒険者の後ろにユリアの姿があった。
「あぁ、ユリアか。どうした?」
「いえ、買い出しの途中にパーミスさんを見かけたもので・・・」
手には布の袋を下げている。
「こちら方は・・」
「いや、ただの知り合いとでも言っておこうか。その荷物を持つから貸してくれ」
女冒険者は剣を抜いているためその追及を避けるため意識を多少ながらそらす。
「あ、はい。・・って、悪いですよ」
「少しの間だとは思うがお世話になるんだ手伝わせてくれ」
気にはなってはいるだろうが露骨にそらすのも強めにそらすのもそっちに意識が向いてしまってはそらす意味がない。
ユリアはう~う~と迷ってから
「うぅ、わかりました。お願いします」
「あぁ、任された」
そう言って空間魔法で作られた空間に入れておく。
「え!消えた!?」
「あぁ、済まない。断ってからすればよかったな。空間魔法で作られた空間にいれたので鮮度は経持たれるうえにこっちの方が身軽だろう?」
「空間魔法が使えるんですか!?宿屋にも結界を貼ったって言っていたから・・・結界魔法も使えるってことだから・・・パーミスさんってすごい人だったんですね」
「私はただの物探しをしている旅人だよ。そろそろ行こうか。できれば少し案内をしてくれると助かる」
ユリアは満面の笑みで「はい!」と頷いた。
はぁ、もうそろそろヒロイン出したい・・・。
ユリアとかは今の所ヒロインの枠ではないです。はい。
それでは、何回も言いますが作者は鈍足投稿なので長い目で見てください。お願いします。