改造
「お姉さま、おはようございます!」
「おはよう、カスミ。」
ここのところ毎日、カスミちゃんが嬉しそうに私を起こしにくる。
動きたくて仕方がないらしい。私と同じ顔で微笑状態のまま表情は変わらないけど、最近仕草などもかわいく思えてきた。髪の色と髪型は変えといて正解だったわ。
今日はメープルシロップで味付けしたクレープのようなモノが朝ごはん。
いつものように水を飲んで、同じく食べ終わって、工房で作業用人形を作り始めたカスミちゃん。
私は、『白雲』に海上偵察と測量を命じて、倉庫と管理棟の建築に向かう。
この島を出たときのことを考え、セキュリティはしっかりしておこう。
あと、私専用のボディパーツも。
すでに大人に見えるように腕、脚とボディ、顔の追加パーツは自室の棚においてある。ふざけて天使の羽パーツも作ってあるけど試してないんだよね。
そうこうしているうちに日は高く登り、倉庫の建築もあと少し。
建築が終わったら、パーツの実験をしてみよう。
私も回復魔法が使えるようになったわけだし。
あれ、カスミが呼んでる?
「お姉さま~!工作人形の作成が終わりました!」
「あら、お疲れ様。早かったわね。」
本当に早い……。
「はい、お姉さまに喜んでいただきたくて……。」
「ありがとね、カスミちゃん。」
「お姉さま、ところでこの羽はなんですか?」
あ、試作品の天使の羽がバレた。少し恥ずかしい。
「私のオプションパーツですわ。」
「お姉さまは、天使なのですか?」
「いいえ、違いますわ。私は人形ですもの。」
そう、表向きは人形姫ね。実際は元人間の人形なんですけど。
「そうですか。良かった。ふふふ……皆の者、お姉さまを抑えて!」
工作人形と見えるモノが何十体も私の身体を抑え付けた。
何体か吹き飛ばしたものの、すぐに他の人形が私を抑えつけ、組み伏せられた。
「ちょっと…何をしますの?カスミ?」
「お姉さまを改造したくなりまして……全てはお姉さまの為なのです。」
「え……ちょっと。改造?」
ヤバい、変なギミックが私に載せられる?
「そうです。お姉さまはお姉さま。賢くて強くて可愛いのはお姉さまだけなのです。その為にあたしはお姉さまに他の人形で実験した新機構で強化します。」
「いや……ちょっと待って下さいまし!」
「待ちません。」
カスミちゃんがキスすると同時に私の意識は暗闇に落ちていった。
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はじめまして、皆さま。
カスミです。
あたしは今、世界一可愛くて、賢く強いお姉さまの妹としてお姉さまの改造を行っています。
お姉さまの身体の中にはあたしのわからない機構がたくさんあったので、それには触れず、お姉さまのボディパーツや脚、腕パーツの中にいろいろとあたしの特性の機構をいれてみました。
補助人形メモリーを4つ載せて、聖属性の凝固魔導石を頭部の空いたスペースに入れる。お姉さまの記憶能力はあたしを含む人形よりも遥かに多いのですが、いずれ使うはずです。
あとは、魔法陣をたくさん書いて……あ、ここもこうして、これをこうして、変化ギミックをいれて……
気がついたら、あたしはお姉さまの改造で3日ほど使ってました。
もちろん後でお姉さまに怒られました。
うう……。