開拓史
「お姉さま、10体の作業用人形の作成と配備を完了しました。お姉さまの改良のおかげで私のスペックも向上しています。」
「今日も一日、ご苦労さま。キチンと体を洗うのよ。」
「はい、お姉さま。」
私たち『姉妹』は人間のように眠る(「ふりをする」んだけどね)。
作業用人形たちはマネキンのようにのっぺらで額に番号を書いている。
顔を作ると私そっくりになるから嫌だしこうした。
今日も私はこうしてパルプ紙で作った紙に日記をつづる。
もうすでにこの世界に来てから5か月と3週間が経つ。
そういえば、今日はカスミのステータスを確認したんだっけ。
これも成長記録として記しておかないとね。
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妹人形「カスミ」姫
種族: 人形姫
職業: 妹
称号:【マホの妹】
スキル:[人形制作]極・[火魔法]普・[雷魔法]普・[氷魔法]普・[姉様Love]極
武器適正:銃・弓・身体・短剣
装備:人形メイド服『専用』[運搬]極・[料理]極・[掃除]極
カチューシャ『国宝』級 [髪型固定]極・[擬態]極
妹のピアス『国宝』級 [表情固定(微笑)]・[奉公]極・[魅了]極・[馬鹿力]
手製の竹箒 『コモン』級 [掃除]普
特性:人形姫 [試作品]毒などの状態異常が効かない
人形姫 [模造品] 主人のスペアボディ。第2の身体として使用可能。本体よりも性能は下だが、発展の余地あり
人形姫 [妹] お姉さま大好き。お姉さま以外の指示は聞かない。
【種族特性】人形:食事も呼吸も必要がない。睡眠もとらなくてもよいが、人間と同様の行動をとることが出来る。また、様々な姿の人間に化けることが出来る種族。
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ちょっと変な属性がついたけど、あの自称『女神』の嫌がらせを考えると変な属性をまたつけられることになるからそれに比べると遥かにカスミは優秀。
今日は柵と壁を自宅と畑の周り、川に桟橋の建設と港の設置を行った。
明日はこの島『ホワイティ島』の測量。正確な測量は三角測量をすればいい。
港は静かな湾で水深が深いから、大型船の係留や潜水艦などの入港に使える。
今までやったことをまとめながらこの島の情報を書いてみるとこんな感じかな。
港から少し小さめの平野があり、その後方は森林地帯。森林地帯の中を通り、私がたてた家につながる道を整備してある。
道は大幅に改良して、今や石ころ一つもないぐらい整理されている。
明日はその道にパルプ紙と漆コーティングの木の小さなお盆で作った提灯の設置で明かりをつけるようにするつもり。
自宅はカスミちゃんが『椿御殿』とか呼び始めた。
確かに椿御殿の周囲には椿の木がたくさん植わっているけど……これ、種の採取の為なんだけどね。
あの子のセンス、大丈夫かしら。私も人のこと言えないけどね。
自宅周りの開拓時の木材を使って柵を作り、さらに椿の木が大きな木の壁となっているので侵入するのは難しいかも?
港近くの平野に倉庫と管理棟を作ることも明日の仕事の一つ。
椿御殿から小さな水路を挟んで畑がある。畑の横にため池も作った。
ここの畑で、麦・麻・ケナフを栽培している。
畑を抜けて、山の方へ向かって行くと冷たい湧水が出る井戸がある。この井戸から水を引いてため池に流している。この井戸のそばには漆の木が自生している。
それにこの井戸水には生体を強化するような魔力が含まれているみたい。
私自身も魔力の強化がされているみたいでこの水を毎日飲んでいたから『人形姫【神祖】』になってしまったみたい。本当はあの原黒女神は私を『玩具人形』とかいう恐ろしい種族に変えてしまうつもりだったらしい。その種族はもう魔物と呼んでいいレベルらしいけど、あの女神に玩具として扱われるのは堪忍してほしいわ。ホントに危なかった。
その井戸から半月山側へしばらくのぼるとメープルシロップの生産可能な楓の木が自生している。
そのすぐ後ろあたりの山壁に穴があり、そこは私が掘削した坑道で多くの鉱石が取れる。
作業用人形を畑に2体、椿御殿前の詰所に2体、倉庫予定地に1体、椿油エンジン搭載・20ミリ砲搭載 護衛駆逐艦 『白雲』(しらくも)の艦橋と機関室に各1体づつ配置。
半月山坑道に2体を配置、道整備に1体を配置したし、あとは工房作業人形の整備よね。
もうすぐ半年になるけど、だいぶ開拓を進めたわ。
さて、明日も頑張るわよ。
執務机から離れ、行燈の火を消して私は自分のベッドへともぐりこんだ。