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Lovemaking Quest    作者: 人形大好きっこ
拠点作り編
6/9


私は、カスミを作ってから一か月をかけて、カスミに私の妹として、そして影武者としていろいろと教えた。

人間の作法とか教えたら、それは人形の私たちに必要がないことではないか、と言われた時は非常に困った。

だって、私は呪いで人形になっている人間で、人形の神様じゃないんだけど、余計なことをいうと混乱させることになるうえ、「人間社会に行くときに人形ということがばれると困る」ということにしておいて、私が人間であることは敢えて教えなかった。まあ、今の人形の体だけどさ。



そして、カスミが私と一緒に暮らし始め、仕事を手伝ってくれている為、以前よりも仕事が減り、他のことに手を回せるようになったのでパルプ紙の生産・障子を自宅に取りつけて、島の川岸で見つけた葦を編んで畳を作り、パルプの繊維を編んで敷布団・掛布団・座布団を作成。後は中にガマっぽい植物から取って、天日干しをした綿を詰め、そこそこ気持ちいい布団を作れた。

近くから切ってきた木材を組み合わせてベットを作成。

窯を強化し、陶器を作成。

粘土をこねて、焼いて何個かオカリナを作り、時々、私の部屋で演奏した。


そんな充実したある日、木材の種類を分別するために新しい種類の木を探していた私はついに見つけた。(うるし)の木を。

漆の木をナイフで軽く傷をつけて樹液を採取する。本来の日本で取れる物はとても少ないのだが、この世界の漆は非常によく取れるようだ。


銅を含んだ『辰砂』や酸化鉄を含んだ『弁柄』を含んだ釉薬は川岸で辰砂をいくつか見つけ、弁柄を砂鉄などから作成したものを釉薬に入れる為にストックしておいたものだ。


漆の樹液を陶器の中に入れ、加熱。加熱したものをガマの穂で濾過をして精製、ゴミを取り除く。

撹拌してなるべく均一になるように木べらで混ぜて、天日干しをする。

こうすることでようやく漆の完成だ。

本来であれば、原液に綿を加えて遠心分離するほうがいいのだが、ここには道具がないから仕方ない。

『辰砂』や『弁柄』を細かく砕いたものを精製した漆の樹液に加え、塗料としての漆を作成。

残った漆は小麦粉を加えて陶器などの割れたものを修理するための接着剤として使用できるので糠床を入れるぐらいの大きさの壺の中に保存。

漆があったことで木製の器を作ることが出来る。

漆を塗料として塗ることで木材であっても腐ることがなくなり、軽量の器を作ることが出来て非常に使い勝手がいい。


私はいつの間にか、種族がただの人形から人形姫になったカスミを呼ぶ。


「カスミ、作業用人形づくりはやめてこっちに来て漆づくりを手伝ってください。」


「マホお姉さま、手伝います。しかし、漆とはなんですか?」


カスミが手を止めて、私の呼びかけに答える。

私は漆の説明をする。

理解したカスミをもとの作業用人形作りに戻した私はひとり呟いた。


「日本人の御先祖様、すごいですわ。」

と。





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