神さまが激怒した!
この作品には神さまが登場しますが、宗教とはまったく無関係です。
神さまは激怒した。
宇宙のうちの、地球のうちの、日本という国のうちの民と政府に。
なんて政治センスのなさなんだ、と彼はいらだたしげに頭をかく。
日本の政府は動きがのろい。
これでは国民が怒ってしまうのも仕方ない。
しかし、国民も国民だ。
言い方が悪い。
ただ一方的に批判したところでいいことは無いだろうに。
自分たちの生活を良くしたいのならば、政府に伝わるように言わなくてはならない。
それなのにただ政府をバカ扱いしていたら、子どものケンカみたいではないか。
「ワタクシにも参政権を与えてくれればよかったのに。結局神さまなのになにもできないではないか。ああむしゃくしゃする」
神さまは考えた。
「ようし君たちがみんな子どもなら、ワタクシが先生になってやろう。いいか君たちは学校に行ったことがあるかな。そこで最近習ったことや一番覚えていることを思い出すんだ。自分が理解できる問題でいい。よし、では質問だ。それを自分よりも歳下で勉強が大の苦手な子に教えてやるのと、大人で賢い人に説明し直すの、どっちが大変かな?」
しかし神さまは返事が聞こえなかった。
「うむ。ワタクシも説明下手だったかな。それでは答えを言おう。勉強が苦手な子に教える方が大変だ。賢い人に説明するときは、多少間違っていても、大抵言いたかったことは理解してもらえる。しかしたし算も知らない小学校一年生にわり算を教えて、理解してもらうのは大変だろう。それでは二つ目の質問だ。どうやって教える?」
神さまはまた答えを聞けなかった。彼のいらだちは少し強くなった。
「うむ。だいたいの者が言葉とか図、ジェスチャーと答えたはずだ。少なくとも暴力はないよな。殴ったり、バカとわめいたところでそいつは理解してくれないぞ。自分の都合で覚えてもらったり、教えてもらったりしているんだから、お互い礼儀はわきまえろよ。そのうえで言いたいことを言うんだ。そうすれば政府も理解してくれるし、国民がわめき散らすこともないだろう。自分たちで政府は頼りないって気づいているなら、それを変えるためにうまく動かなくちゃだめだろう。その原因をつくっているのは君たちなんだから」
神さまは疲れきっていた。
「怒るのは体に悪いな」
神さまは眠りについた。
御一読、ありがとうございました。
なんだかすぐにいらだつところや、参政権が無いなど子どもらしい神さまが主人公の小説です。
作者が子ども……ですので大人びた考えなど持てるわけもなく、子どもっぽい神さまの視点を借りさせて頂きました。いかがでしたでしょうか?