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三題噺もどき5

轟音

作者: 狐彪
掲載日:2026/09/18

三題噺もどき―きゅうひゃくさんじゅうきゅう。

 




 ガシャン!!!!!!!!!!!!


「――!」

 校舎全体に響き渡ったのではないかと思う程の音が聞こえた。

 明らかに硝子が割れるような音。

 小学生の頃にその音を目の前で聞いたことがあったが、アレはかなり衝撃的だった。

「――」

 まだ若干心臓がバクバクしている。

 勢いで、口内で転がしていた飴玉を飲み込んでしまった。

 おかげで若干息苦しい。

「――」

 とりあえず、水を飲もうと水筒に手を伸ばす。

 水筒のカバーがいつもと違って一瞬戸惑ったが、洗濯に出していたのだったと思いだし、手に取りなおす。

 同じタイミングで隣に置いてあった水筒も回収される。

 机を挟んだ隣には、いつものように、当然のようにあの子がいる。

「――飴のみこんだ?」

「――ん、飲み込んだw」

 いつもの昼休み。

 いつものように弁当を食べ終え。

 掃除の時間までの時間つぶしをしつつ、飴を舐めていた。

 今日は昨日から持ってきているフルーツ系の飴玉。

 比較的小さなサイズだったからよかったものの、大玉とかだったら喉に絶対つまっている。……その場合は喉にも入らないのか?

「……なんだろうね」

「ねー」

 水を飲み、お互い落ち着いたところで、そんなことを言ってみる。

 正直まぁ興味はないが、廊下が騒然としているので、若干気持ちが浮ついている。

 それと、先も言ったが小学生の頃の記憶があるので、なんというか落ち着かない。

「……」

 何があったか、詳しくは覚えていないが。何せ、小学校1年生の頃の記憶だ。

 まぁ、それなりに体格のいい男子生徒がいたのだけど。その彼が、何を思ったのか、教室にある廊下に面した窓に、思いきり頭突きをしたのだ。

 それが私の目の前で、ものすごい音と共に割れて砕けた。幸いガラスが刺さったりはしなかったが、間違っていれば失明でもしていたかもしれない。その男子もたいした怪我はしていなかった気がする。

 トラウマという程のものではないが、それなりに記憶に残っている程度には、強い衝撃を持った記憶だ。

「あ、先生」

「……」

 そう言う声が聞こえ、廊下を見ると、呼ばれたのであろう教師が速足で廊下を通り過ぎた。割れた音が聞こえたのかもしれないが、ここから職員室まではかなりの距離がある。

 響き渡るほどの音だったとは思うが、あそこまで聞こえたとは思えない。

「どーせ、男子がボールでも投げたんでしょ」

「ま、そうかもね、」

 聞くところによると、校舎と校舎の間にある狭い場所で遊んでいる人が居るのだと。

 それがまぁ、硬球を投げて遊んでいるらしいのだから……これはまぁ、起こるべくして起こった事故な感じがある。どこからその球を持ってきたのかという感じだが……。

 大人しく校庭で遊んでいればいいモノを、そんなところで投げているからだ。

「わ……」

「すーご……」

 案の定というか、なんというか。

 割れた先であろう、廊下の奥の方から。

 先程通った教師の、ものすごい怒声が聞こえてきだした。

「……」

 あまり、こういう声を聞くのも。

 好きな奴は居ないだろうが。

 ただでさえ、変に浮ついている心臓が、更にドクドクと言いだす。

 他の教師も呼ばれたのか、次々と廊下を走る音が聞こえてくる。

「……」

 どうやら、怪我をしたような人はいないようだ。

 学校の硝子って結構な強化ガラスだと思っていたのだけど、そうでもないんだろうか。

 まぁ、でも硝子って点の力には弱いとも聞くし。当たり所が悪かったんだろう。

「ん」

「あ」

 騒がしい廊下と教室の中に、チャイムが鳴り響く。

 気付けば掃除の時間になっていたようだ。

 それぞれ、気にはしつつも、移動し始める。

「じゃ、」

「うん」

 私は持ってきたモノを持ちつつ、掃除の場所へと向かう。

 あの子とは別れ、私は図書室へと行かなくてはいけない。

「今日部活は?」

「んーわかんない」

「いつも通りかw」

「いつも通りですw」

 ひらひらと手を振り、別れる。

 廊下に出ると、まだ騒然としていたが、人混みは晴れつつある。

 廊下の奥で破片をかき集める生徒と教師の姿を見やり、私は図書室へと足を向けた。











 お題:洗濯・飴玉・硬球

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