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創造力  作者: 昆布
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創造力

アドバイスお願いします


「起きて~!」


俺は聞きなじみのない声で目を覚ました。

周りを見渡すと真っ白な空間にいた。

井も床も壁も、すべて白一色。ここがどこなのか、まったく見当がつかない。


「どこだ、ここ…?」


混乱する俺に手を差し伸べる黒いジャージ姿の少年がいた。

白髪で小さな顔、澄んだ青い瞳、そして優しい声。まるで天使のようだ。


「やっと起きた!」


俺はその手を取った。まだ夢の中にいるかと思った。布団の感触もアラームの音もなく、真っ白な空間に閉じ込められているのだから。


「すいません、ありがとうございます。これは一体どういった状況ですか?」


「いや~、それが僕にもわかんないんだよね。ざっと100人くらい?この部屋に閉じ込められている」


少年は困った顔をしている。どうやらこれは夢ではないらしい。

ざっと100…周りを見ると、同じ黒いジャージを着た中高生くらいの人々が所狭しと立っている。


「デスゲームのようなやつですね…」


「うん、そうっぽいね。あと敬語はいいよ。ここにいるみんな近い年齢だからさ」


やっぱりか…………。

目覚めたらデスゲームに参加しているという展開は、何度も想像したことがある。漫画やアニメで見ていたものが、目の前で現実になった。


「わかった、タメ語で話すよ」


「うん、そうだね。僕はルーラ!一ノ瀬ルーラ、中一だよ。よろしくね」


「俺は堀はると、同じく中一。ルーラはハーフなの?」


「そうだよ。だから日本だと目立つんだ」


特徴的な髪と目で他の参加者と比べたら浮いている。

でも日本語は完璧だし、話しやすい。話しやすさも含めて、なんだか安心する存在だ。


「ここにいる人たちは、全員同じ年齢なの?」


「いや、さっき聞いてみたけど、最少は小学3年生で最大は高校3年生みたいだよ」


小学生もいるのか。年齢の差で不利になりそうだが…………。


「もうそろそう、始まるんじゃ…………」


ルーラが言いかけた瞬間、大きな機械音声が響いた。


〈創造者の皆さん、こんにちは。想像の世界、創造力テストへようこそ!〉


「想像の世界…………?」


確かにこの白い空間が、何か他のデスゲームと違うのはわかる。


〈実は皆さんがいるこの空間では、想像が現実になります〉


「え、本当に?」


ドラゴンを出したり魔法を使ったりできるのか?…………胸の高鳴りが止まらない。


〈ですが全てが自由にできるわけではありません。制限の中で創造力を測定します〉


なるほど制限付きか。だからこそテストとして公平にできるかもしれない。


〈あなた達100人は、日本で最も想像力が豊かなランキングトップ100の方々です。これから、行うのは最も想像力のある一人を決める五日間によるテストです。脱落者は当然死亡します〉


急に死って…………。

怖いがどこかでワクワクしている自分もいた。中二病的思考のせいだろう。

未知のデスゲームには少し興奮してしまう。


〈長話はほどほどに。目の前のモニターに表示されるルールとランキングを確認してください〉


さっきまで他の壁となにも変わりのなかった壁が、黒いモニターとなり情報が提示される。

〈ルール〉

1,毎日0時からテスト開始

2,テストに失敗したものが脱落者

3,ゲームや運営に関する想像は禁止

4,空間から逃げる想像は禁止

5,他者の想像を覆すことは不可能

6,同時に想像できるのは2つまで

7,脱落者は想像能力を失う

8,他者が想像できなくなる想像は禁止

9,他者を攻撃する想像は禁止

10,最後に生き残ったものがこのテストから解放される。


〈ランキング〉

1位月森一颯、つきもりいぶき2位一ノ瀬ルーラ、いちのせるーら3位篠原真白、しのはらましろ 4位綾瀬澪音、あやせみおん5位如月灯月、きさらぎとうづき…………………………………………………………… …………………………………………………………………50位堀悠翔、ほりはると…………………………………………………………

〈説明は以上です。5分後に0時になります。0時になりましたらテストを開始しますので、目の前のモニターに表示された注意事項や現在のランキングをよく読みお待ちください〉


色々とルールが多いな…………。

あと、ルーラがランキング2位という事実も気になった。

俺は50位で、まあまあ中間くらいか。やる気はあるが、ちょっと不安もある。


「ルーラ、2位だって…!」


「……いやぁ僕も驚きだよ。実は不登校だからね」


「そっか…。でも、やっぱり中身で勝負してるって感じだね」


俺はちょっと感心しながらも、自分の順位を思い出した。50位…。まあ、まだ挽回できる位置ではある。

頑張ればトップも夢ではないかもしれない。

夢だと考えている時点で負けなのかもしれない。

そこにルーラではない別の声に呼びかけられた。


「おい、お前ら。話がある」


見ると、横でダルそうに座っていた、青い美しい髪の女性が立ち上がった。

見た目は未成年なのだろうが、タバコをくゆらせるその姿は、正直いい人には見えない。


「な、なんですか?」


「私は柚葉。まあ、端的に言うと、グループを組んでくれない?」


グループ…? 確かにこういうデスゲームではグループ戦があることも多いが、開始前に持ちかけるとは思わなかった。少し早くないか…?


「うん、僕もそれを言おうと思っていたよ」


「ご、ごめん。確かにいい案だけど、ちょっと早すぎない?」


柚葉さんは少しため息をつき、肩をすくめた。


「今日のテストは3人グループのテストだからだよ」


「え?どうしてわかったの?」


「アホか?誰だって想像が現実になるって言われたら、全知全能とか神とか想像するだろ」


なるほど…柚葉さんやルーラはすでに想像力を活用しているようだ。

よし、俺も試してみよう。全知全能の想像…全体的に神になった気分で、この空間のすべてを把握する。

『想像1全知全能になる想像』

『想像2   』 


「……………これは凄いね」


「そうだね、どうやら想像したことが現実になるっていうのは本当らしい」


俺はありとあらゆる情報に圧倒されていた。未来や起こりうること、宇宙の謎、全てが頭に入る。

だが、すぐに疑問が湧く。


「「このテスト、本当に成立するの?」」


「でしょ?」


ルーラが声を重ねる。なんでだ?俺の予想した未来とは少し違う…。


「大丈夫、運営側もこれをわかっているはずだよ」


「多分だけど、全員が全知全能とか未来を想像しても、結局全員が対等だから意味がないんだと思う」


「あぁ、しかも誰かの想像で私たちの知能を下げてる奴がいるな。全能になっても、疑問や不完全さは残る」


「え?」


開始前から複雑な状況だ。その想像はルール8〈他の参加者が想像をすることできなくなるような想像できません〉に反していないのだろうか…。


「それってルール8に影響されないんですか?」


「多分、洗脳に近いものだから含まれない。知能を0にしたら、それに該当するだろうから、『知能を下げる』にしたんだろうな。あと、敬語は使わなくていい」


ふーん、この人、敬語嫌いなのか…。絶対敬語を使ってほしいタイプだと思ってたが、意外だ。


〈0時になりました。モニター下の扉をくぐり抜けてください〉


アナウンスと同時に、白い壁に扉が出現。人々はぞろぞろと中に入っていく。


「始まったね」


「うん、気を引き締めていこう」











読んでいただきたいありがとうございます

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― 新着の感想 ―
コメントの返し場所が分からなくてこちらに。。 書けば書くうちに物語は自動的に出てくることもあるから、最初の頃は、おしまいまできっちり考えないで気が済むまで書いたら良いと思う。文章は、書いているうちに自…
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