99 レーベンの羽
楽しい物語になるよう心がけています。
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賢者ゴールはガラスの小瓶の蓋をしっかりと閉めた。
「アリアドネ様、爺がお助けいたします。あと少しだけお待ちくだされ」
彼はテーブルの上に用意したかごの上に小瓶を置く。かごの中には妖精から分けてもらったレーベン鳥の羽毛が敷き詰めてある。
妖精の森に住むレーベン鳥は命を紡ぐ鳥。
魂を奪う死神とは対極の存在だ。新たな命に魂を吹きこむ。それがレーベン鳥の仕事なのである。
今回は新たな命ではないが、誤って飛び出してしまった魂を元に戻すため、この鳥の羽毛を使う。
また、この羽毛を用意したのは筆頭魔術師モージ・ブランシェである。
彼は妖精と人間の間に産まれたハーフエルフ。今回はゴールの頼みで妖精の森の長、ギャロンの許可を得てレーベン鳥の巣から羽毛を採取してきた。
「ゴール様、この羽毛をどのように使って、魂を元の身体に戻すのですか?」
モージはかごの中から、羽毛を一枚取り出して、ヒラヒラヒラと振る。
「コラ、勝手なことをするな。アリアドネ様がそこにいらっしゃるのだぞ」
「はっ、失礼いたしました」
モージは慌てて、羽を元の場所に戻す。
――――ここで、廊下から軽快な足音が近づいて来る。
「ゴール、アリアの魂は?」
部屋に現れたのはライナスだった。彼は銀狼の姿のまま、中庭からアリアドネの寝室まで一気に駆け抜けてきたのである。
「アリアドネ様の魂はこのガラスの小瓶に封じております。爺がレーベン鳥の力を借りて、元の身体へ魂を入れ込みますぞ」
賢者ゴールはレーベン鳥のことをライナスに教えた。
「死神と逆のことをする存在か・・・、知らなかった」
「そうでしょうな。殿下は浄化をするのが務め。いわば、死神のようなものですからのう、フォッフォッフォ」
楽しげに声を上げて笑うゴールの前で、ライナスはブスッとする。モーゼはゴールにつられて笑わないように視線を逸らした。
「さて、余り長く魂が身体から離れているのは良くありませんからのう。サッサと済ませますぞ」
急に雰囲気を切り替えて、ゴールはガラスの小瓶の入ったかごを手に取る。
「ああ、宜しく頼む」
「そんなに心配しなくても大丈夫じゃ」
ゴールはアリアドネの胸の上にかごを置いた。そして、アリアドネの身体の上で両手を翳し、古代呪文を唱えていく。
ライナスはアリアドネの無事を祈り、モーゼは賢者の唱える呪文を真剣に聞いていた。
―――突然、ゴールの呪文詠唱が止まる。
「どうした?何か・・・」
ライナスが心配して声を掛けようとしたところで、アリアドネの身体が発光し始めた。ゴールはアリアドネから視線を外さず、ライナスを手で制す。
「お嬢の身体に魂が取り込まれている途中ですからのう。殿下、あと少し待ちなされ」
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