61 ミア到着
楽しい物語になるよう心がけています。
どうぞ最後までお付き合いください!!
ライナスの想定した通り、帝国騎士団は二時間後に土砂崩れ現場へ現れた。――――最後尾の馬車から一人の女性が飛び出して、アリアドネの元へ駆け寄ってくる。
「アリア様~、ご無事ですか!!お怪我は?」
ミアはアリアドネの周りをグルグルと回って、彼女の状態を確認した。
「はい、大丈夫です。ミヤ、こんな山奥へ足を運んで下さり、ありがとうございます」
「何をおっしゃっているのです。駆けつけるに決まってます!!物凄く心配したのですよ」
ミアはアリアドネが他人の好意を受け取ることに慣れていないと知っている。だが、気を遣って遠くから温かく見守るつもりなどない。
継母たちから酷い仕打ちを受けて、自己肯定感が低めのアリアドネに自信をつけさせるためには沢山の愛が必要だ。だから、今日もミアは全力でアリアドネに『あなたのことが大切なの!』という想いを遠慮なくぶつけていく。
「ミア、私のことを忘れていないか?」
(ライナス殿下が遠慮がちにミアへ話しかけているわ。少し前の強気な態度が嘘みたい・・・、ウフフフッ)
アリアドネは顔を伏せ、口元を手で押さえてこっそりと笑う。
彼は一刻ほど前にアリアドネへ妃になれと命じ、それをアリアドネは受け入れた。
(ライナス殿下は本当に優しいお方だわ。皇子の婚約者なんて偽りの話だとしても恐れ多いけれど・・・。あそこまで言わせてしまったら、断るわけにはいかないわよね)
アリアドネは隣国の訪問が無事に終わったら、この婚約話は白紙撤回されるのだろうとまだ何処かで考えている。それは彼を信じ切って裏切られた時に深く傷ついてしまうのが怖いという自己防衛、もとい逃避なのだが、本人は自覚していない。
「殿下、何ですか!そのしわくちゃは・・・」
ミアはしわだらけの服を着ているライナスを見て、嫌悪感を露わにする。
「その顔・・・。ミア、遠慮が無さ過ぎじゃないか?」
「いえ、どうしたら、そんな状態になるのだろうかと思いまして・・・。ハッ!!――――まさか、脱いだ!?」
ミアはチラッとアリアドネを見る。 彼女の言葉を深読みしないアリアドネは素直に微笑みながら頷く。
「信じられません!!殿下、獣でもこんな真っ昼間から・・・フガッ」
ライナスは慌ててミアの口を手で塞いだ。彼女が余計なことを口走りそうだったからである。
「ライナス殿下!?ミ、ミアが苦しそうですよ」
アリアドネはライナスの肩をトントンと軽く叩く。すると、ライナスは直ぐにミアの顔から手を離した。
「ミア、突然、口を塞いですまなかった。だが、お前は大きな勘違いをしている。私は決して・・・」
「――――分かりました。私こそ取り乱してしまい申し訳ございませんでした」
「ああ、気にしなくていい。それより早急にアリアの着替えを頼む。私は騎士団に指示を出さないといけない」
「承知いたしました」
ライナスは後方で整列している騎士団の方へ向かった。
「アリア様、ではこちらへ」
「はい」
――――馬車でアリアドネから重大な話を聞き、ミアが叫び声を上げるのは数分後のことである。
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