19 大聖堂 1
楽しい物語になるよう心がけています。
どうぞ最後までお付き合いください!!
陽もまだ昇っていない午前五時、アシュレイはピートアイランド王国の王都ハーツにある大聖堂の正門をくぐる。
下準備として、深夜に王宮へ足を運び、第四王子ジャイルから紹介状をもらってきた。
ジャイルはライナスの友人だ。
彼に大聖堂への紹介状を書いてもらうため、アシュレイが掻い摘んで事情を伝えると・・・。
『こんな真夜中に何かと思えば、ライナスの女絡みだと!? アッシュ、この貸しは高いからな!』
ジャイルは不機嫌に言い放った。
アシュレイは我に返る。もしかすると自分はお願い事をする相手を間違えてしまったのかもしれない・・・、と。
―――殿下、判断ミスをしていまいました。申し訳ございません。
アシュレイは心の中でライナスに謝った。
―――後始末はよろしくお願いします!!
本人の前では絶対言えない言葉も、ついでに付け加えておく。
♢♢♢♢♢♢♢♢
大聖堂の応接室に通されたアシュレイの前に、白銀の髪を後ろで三つ編みにし、豊かな髭を蓄えている男性が現れた。
「初めまして、ドラクロア帝国ウェーバー公爵家のアシュレイと申します。教皇聖下、貴重なお時間をいただきありがとうございます」
気を緩めたら、声が震えてしまいそうだ。
アシュレイは物凄く緊張していた。
―――まさか、こんな大物(教皇)が出てくるなんて・・・。
第四王子ジャイルの紹介状を受け付けで提出したのが良くなかったのかも知れない。
「初めまして、ウェーバー公爵、ジャイル王子から、貴方様に協力して欲しいとお願いされましたのでね。出来る限り、ご協力させていただきますよ。何かお困りごとがあるのでしょう?」
「はい、ブリシア公爵家の御令嬢について、いくつか教えて欲しいのです」
「―――ブリシア公爵家の御令嬢とは・・・、パシャ嬢のことかな?」
「はい」
教皇が口にした『パシャ』。情報屋クローズで聞いた名前と一緒だった。
「パシャ嬢の何をお知りになりたいの?」
「彼女の魔力について・・・」
アシュレイの質問を受け、教皇は口元に手を当てて考え込む。
大聖堂の中はシンとなり、耳に聞こえてくるのは目覚めたばかりの小鳥のさえずり・・・。
「―――ウェーバー公爵、パシャ嬢は十七年も前に女神様のみもとへ旅立たれた」
教皇はどこか悲しげな表情を浮かべて、淡々と告げる。
「ええ、パシャ様が亡くなられているということは知っています」
「そう」
「はい」
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