アメサーラ-9.9
むかしむかしあるところに、お爺さんとお婆さんが暮らしておったそうな。2人はとにかくラブラブで、人目も気にせずイチャイチャしておった。
そんなある日、2人で川に散歩に行った時のことじゃった。
「婆さんや、婆さんや」
「なんですかお爺さん」
「あそこを見てみんしゃい」
「どれどれ」
お婆さんはお爺さんの着物を暖簾のように開けると、人差し指でふんどしを引っ張って中を覗き込んだ。
「おちんちんのことじゃないからね! あそこだからね!」
お爺さんは恥ずかしそうにそう言うと、川上の方を指さした。
「あらまぁ、なんて大きな桃!」
川上から規格外サイズの桃が流れてきておった。
「お爺さん、アレとっ捕まえて喰っちまいましょうや」
「婆さんや、今日は桃よりポッキーの気分なんじゃが」
「こんだけ大きいんじゃ、切ってみたら出てくるかもよ」
「婆さんがそう言うなら仕方ないのう⋯⋯」
一応賛成ということになったお爺さんはその場に座り込んだ。
「お爺さん、どうして座るんです」
「婆さんが桃とってる間暇じゃからのう」
「何言ってるんです、お爺さんがとるんですよ」
「なんでワシが?」
「男なんだからそれくらいやって当たり前ですよ」
「そんな簡単に言うなら自分でやればよろしい」
「なんじゃクソオスが! あたしゃこんな情けないチンポとくっついた覚えはありませんよ!」
「婆さんや、ここはTwitterじゃないぞい」
「お爺さん、今はえっくすと言うんですよ」
「え? セックス?」
「ガキかてめえ」
「あ、流れてきたよ。欲しいならはよ拾わな」
「クソオスめ! 今日くたばれォ!」
捨て台詞を吐いて川へ飛び込んだお婆さんは、濡れた着物に長細い灰色の乳が透けて、えもいわれぬド淫乱な姿となった。
「婆さん今日は一段とセクシーじゃの」
「お爺さんこそ、ちんちんがしょぼくれててカッコイイですよあばばばば」
「溺れながら怒っとる。わははおもろい」
「桃ゲッツ!!! あばばばばば婆ばばば」
イチャイチャしながら家に帰った2人は早速桃を切ってみることにした。
「せいっ!」
お爺さんが日本刀で桃を断つと、中からそれはそれはかわいい男の子が出てきた。
「婆さんや、この子を桃太郎と名付けよう」
「そうしましょうそうしましょう」
「せいっ!」
もうひと断ちすると、中からちょっと大きめの桃が出てきた。
「婆さんや、この桃を桃と名付けよう」
「せやな」
「せいっ!」
さらにもうひと断ちすると、それはそれは小さな男の子が出てきた。
「そういえば都に一寸法師という若者がおったの」
「せやな」
「でも一寸じゃないからミニ桃太郎と名付けよう」
「ええなそれ」
「せいっ!」
さらにさらにもうひと断ちすると、中から小さな小さなカバンが出てきた。
「婆さんや、このカバンを一寸ポーチと名付けよう」
「ちょっとそれ貸してみせ」
「えっ」
ひったくったお婆さんはポーチを開けると、中からリップクリームを取り出した。
「ンパッ」
ぷるんぷるんの唇になったお婆さんは、その晩お爺さんと夜の運動会をしたそうな。
めでたしめでたし。
しかし、それをよく思わない者もいた。
隣の家に住むジジイだ。
このジジイは牛タン茶屋を営んでおり、メニューは牛タン抹茶のみだという。牛タンを乾燥させてすり潰したものにお湯を加え、あのちっちゃい湯婆婆みたいなやつでシャカシャカやって泡立てた飲み物だ。
そんなバカみたいなことをやっているせいでジジイは婚期を逃し、生涯独身を覚悟している。
そんな中、隣のジジババときたら!
ラブラブラブラブと!
イチャイチャイチャイチャと!
ズッチョズッチョヌチャヌチャと!
ああいやらしい!
まぁ〜いやらしい!!
と半紙に書きなぐっていたところに、インターホンが鳴った。画面を見てみると、見たことのない老人が立っていた。
「セールスならお断りですタン」
「ワシはパチンカスのジジイじゃ」
「パチンカスのジジイがなんの用ですタン?」
「若人よ。その悩み、外まで聞こえておったぞ」
「書いてただけなのに!?」
「大丈夫。次は確変だ」
「えっ」
「ではさらばじゃ」
ジジイは泣いた。
パチンカスのジジイの言葉が心に染みたのだ。
人生、楽あれば苦あり。
パチンコも、確変あれば通常あり。
今が人生の通常なら、これからは確変が待っている。あのジジイはこのジジイにそう伝えたかったのだ。
と、またインターホンが鳴った。出てみると、今度はメガネを15個くらいかけたいかにもインテリですみたいな見た目の青年が立っておった。
「パチンコって独立抽選なんで、前回なに引いたとか関係ないですよ」
「な、なにが言いたいんじゃ!」
「確変を取れずに終わる人生もあるんですよ、ということをお伝えしたくて」
「なんでそんなこというのぉー(;ω;)」
「それが人生です」
「ううううう(;ω;)おおおおん」
「ではさらばじゃ」
「なんで最後だけジジイなのぉー(;ω;)」
初めて揉んだ餅は温かくて柔らかくて、全部手についてきた。
ぼくはそれを隣にいたかずおくんの服にねじくって、それに腹を立てたかずおくんにアメリカンドッグで殴られて、ネチョネチョの手のまま旅に出たんだ。
ぼくのほっぺたにはアメリカンドッグの油がついていて、右の手のひらはいつのまにかカピカピになっていて、それをたまたまそこにいた、背中がやたらザラザラのおばあさんの背中で磨いてみたら鏡になって、ぼくの顔を写し出したんだ。
ぼくは泣いていた。
理由はわかってる。昨日、パマ(両親のこと)にカタツムミのぬいぐるりを買ってもらえなかったからだ。
60メートル歩くと、右手の餅が取れた。
次の餅を揉もう。
公民館の駐車場で、餅つき大会をやっていた。
ぼくは会場の真ん中までこっそり侵入して、杵にくっついてビョーンってのびてるお餅をひっ掴んだんだ。
そしたら一瞬、時が止まって、次の瞬間ぼくは殴られた。
杵で殴るなんてヒドいや。
ぺったん! ぺったん! ぺったんこ!
ぺったん! ぺったん! ぺったんこ!
ぺったん! ぺったんバァーン!!!!
あわわわわわわ!
お餅が爆発しちゃったよぅ!
まぁ、それはそれとして。
ぺったん! ぺったん! ぺったんこ!
ぺったん! ぺったん! ぺったんこ!
ぺったん! ぺったん! ぺったんこ!
ぬいぐるり欲しいよぉー(;ω;)




