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9-6



目を開けると、病院のベッドの上にいた。


痛む腹部には分厚いガーゼが施され、小松は思わずその部分を手で優しくさすった。

小松は気絶する直前の出来事を思い出し、頭の中を整理した――


――小松は意識が朦朧とする中、ナイフを振り下ろす姿を見た。


しかし次の瞬間、男は突然現れた黒髪の男に動きを抑止され、ナイフは直也に振り下ろされる事はなかった。


黒髪の男に拘束されたところまで見届けると、小松は目を閉じた――



「小松先生!!」


目が覚めてしばらくすると、菫が小松の病室を訪れた。

菫は手に持った花と買い物袋をベッド脇に置くと、憂いの目で小松を見る。


「先生、意識が戻って本当に良かった。子供たちのために体を張ってくれたんですね」

菫は、小松が刺された事件について話し始めた。




犯人は、男子バレー部の保護者だった。


校舎が古いのをいい事に、壁に人が出入り出来る程の大きな穴を空けて、ヒビが大きく入った壁のように上手く見せかけていた。

そして、大事(おおごと)にならない程度に女児の下着を盗んでは、ネットで売りさばいていたことが警察の取り調べで確認された。


菫は、訪問に同行した内閣府の職員が()()()()女子更衣室近くを訪れ、事件の加害者である男子バレー部の保護者を取り押さえた旨を説明した。


「実は正直、先生がここまで今回の件について真摯に対応してくださるなんて思っていなかったの。本当にごめんなさい。まさか先生の身に危険が及ぶところまで事態が発展するなんて・・・」


菫は口元に手をあてて、潤んだ目を伏せた。


「まぁまぁ、小橋さん。僕の怪我は時間が経てば元に戻るし、下着は盗まれたけど・・・直接子供たちに、害が及ばなくて本当に良かったです」


小松は笑うと、力んだせいで痛んだ腹を抱え、思わず「いてて」と声を漏らした。


「こんなに素晴らしい先生に出会えて、私は本当に幸せです。私も自分の人生を賭けて、先生たちがより良い環境で働けるように、教育現場の改善に向けて一層努力します」


参議院議員の小橋すみれが、拳を握って小松に宣言した。




――――――


小橋すみれが、国家総合事務局を訪れた。


ショッキングピンクのスーツに身を包み、無敵のオーラを放つ小橋は、今日も絶好調に美しかった。

事務局に入ると真っすぐにマイロの元に向かう。


「聖沢さん。この前はありがとうございました。噂は本当だったんですね。ボディーガードよりお仕事してるじゃない。小松先生も退院したらお礼にあがると言ってたわ」


すっかり打ち解けた様子をみせる小橋に対して、マイロは安定の無表情で「いえ、どうも」とだけ返事を返した。


上機嫌な菫は灯凜と明人のところまで行き、まるで自分の子供と接するかのような態度で、フランクにお礼を述べた。

すっかり国家総合事務局が気に入ったようで、この後も陽臣やケイ、野希羽へ自己紹介を兼ねて絡んで行く。


事務局の空気が菫色に染まった頃、時計を一瞥すると、菫は慌てて事務局を退室した。

帰り際に振り向くと、「また来るわね♪」と無敵の笑みを浮かべ、去って行った。



明人は先日の同行を思い出した――


――校長に見送られながら車に向かう途中で、明人はマイロと灯凜に話を切り出した。

体育館隣の古い校舎、女子更衣室、そしてナイフが頭に浮かんだ事を。


黙って話を聴く2人の様子を窺いながら、明人は更に神妙な面持ちで口を開く。

『それから・・』と話を続けようとした瞬間、マイロが突然目を見開き、古い校舎の方を見た。


「今、聞こえただろ?」

ここから200メートル以上も離れた校舎の音など、常人の2人にはもちろん聞こえるわけがなく、「いいえ、何も聞こえません」と答え切る前に、班長が数十メートル先を走っている姿が目に映った――




「そういえばこの前の事件で、眩暈で頭に浮かんだものの話、途中だったよね?」

明人と同じく灯凜も、菫の出現で、先日の事件を思い出していたようだ。


明人は灯凜の問いかけに少し間を置いて、灯凜の顔をじっと見た。

「いや、何でもない。自分の勘違いだったから」


そう言って灯凜に微笑むと、遠くからこちらをじっと見ているマイロに対しても、笑顔で合図をしてみせた。




――――――


スマホのバイブが鳴ると、『今回はありがとう。お世話になりました。また何かあったら、よろしくね♪』とメッセージが表示された。


後藤は机上のスマホに顔を向けた。

表示された内容を読むと、目を左上に向け少し考え込んだ後、片方の口角が上がった。


大学時代、デートのプランは、菫がいつも当たり前のように立てていた。

何でも彼女任せにしていたのが悪かったのか、クリスマスの直後に別れを切り出され、それ以降会う事はなかった。

今回久々に彼女に会い、相変わらずな菫の様子を窺えた事で、後藤は柄にもなく一人クスっと笑った。




――――――


約一か月の入院生活を終えた小松は、久しぶりに自宅へ戻ってきた。


「ただいまぁ」と誰もいない部屋で呟く。

電気を付けず真っすぐに机へと向かい、PCを開いた。

小松がパスワードを入力する。


パスワードの入力後、小学生くらいの年齢と思われる女児の下着姿や水着姿、きわどいポーズをした女児の画像が何枚も表示された。


PCの照明が、満面の笑みの小松を照らした。


「君たちの事はバレずに済んだよォ♡」と一人呟いた。



------

9話終了


毎日の更新は、ここまでとなります。

最後まで読んでくださり、ありがとうごさいます!


現在10話を作成中なので、近日中にアップ予定です(^^

伏線を回収する話を、どんどんアップしていきますので、今後ともよろしくお願いします。(__)


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