65.「助けて! 厄介なやつしかいない!」
「お……推し、さすがや……これは……スーパー攻め様やでぇ……! う……っ」
生きてたら過呼吸と不整脈を起こしてそうな黒沼さんは置いておいて、この人とアルバートが組んだら普通に厄介だ。
なぜなら、「呪い唄のおみち」は唄によって人を操る怪異。黒沼さんは煩悩の塊なので、それはもう、大変なことになる。
そもそも原作の「呪い唄のおみち」も、世界の破滅を目論む黒幕だったしね。
動機も愉快犯って感じだったし、欲望のままに動いていると言えばそんなに変わりがない……の、かなぁ……。
「この世の男はだいたいが受け……そこに颯爽と現れる雄の中の雄……それがあたしの推しや……」
黒沼さん大丈夫かな。
このまま喋らせると規制が必要にならないかな。
「……何というのか……変な子だね」
アルバート、それあんたが言います???
「……? 受け? が何だか知らねぇけど、アルバートよかエドマンドのが男らしくねぇ?」
そこで自分の名前が出せないの、さすがゴードンって感じするよね。
「ちゃうねん。男らしさとか顔の良さとかは二の次やねん。大事なんはエゴや。史上最強のエゴイストが最強の攻めになんねん。エドマンドは自己犠牲の塊やろ? ほな受けやん」
「……お嬢、何言ってんのかわかります?」
「悲しいけど、言葉の意味は理解できちゃうんだなぁこれが」
内容はよくわかんないけどね!!
少なくとも、エドマンドの喋り方よりはだいぶわかりやすいよ!
「なるほど、面白い子だ。エゴを愛するその価値観……気が合いそうだね」
「ぐふっ」
く、黒沼さーーーーーーん! 気をしっかり!!
だって黒沼さんが意識を飛ばしたら……!
「……あれ? いお、何してたんだっけ……」
ほら!! イオリちゃんが出てきちゃったじゃん!?!?
「ヒヒッ。喰われた『怪異』の人格は、本来は混ざってしまって失われるはずなんだけどねぇ……我が強すぎるとこうなるのかな」
ニコラスが何か言ってるけど、黒沼さんはそこまで言われるほど悪い人じゃ…………
…………いや、どうだろう…………。アルバートと組んだら厄介なのは間違いないし……黒沼さん、自分の欲望にめちゃくちゃ正直な人だし……
いや、でも、それを言うと「怪異喰」だって厄介なわけで、黒沼さんが引っ込むとそれはそれで困るし、かと言って黒沼さんが出しゃばりすぎるのも困る……っていう……
え、えええ……? どうしたらいいのこれ……?




