61.「もう既に大事故」
食堂に辿り着くと、レイラがちょうど「0」を数え終えたところだった。
エドマンドは指示通り、兜を被って壁際に直立不動で立っ……いや、そこまでやれとは言ってないんだけど……
とにかく。
「怪異喰」の覚醒を先送りにするためには、エドマンド、もしくはレイラとラブロマンスしてもらわなきゃいけない。
打ち合わせも何にもできてない状態ではあるけど、頼んだよ、二人とも……!
「レイラ、エドマンド、お客様ですわ」
「じ、城島伊織だよ~! よ……よろ……ぴこっ!」
うーん、この明らかに引きつった表情かつ、明らかにから回ったハイテンション……
やっぱり、無理はしない方がいいんじゃないかな……
「よろぴこ……?」
首を傾げるレイラちゃん。何その可愛い仕草。あざとい。
「…………」
エドマンドは兜を取るか取るまいか悩んでいるらしい。そそくさと近寄り、「血の涙だけ気を付けて」と伝えると、ぎこちない動作で兜を脱いでみせる。
たぶんだけど、普通に話すのも苦手な上に擬態も苦手なのかな……不器用だなぁ。
「おお……イケメン……じゃん!」
おっ、食いついた! 良いね。これは好感触。
取ってつけたような「じゃん」はこの際気にしないとして、やっぱり見た目が好みなのは大事だよね。うんうん。
「……受けかな……いやでも、そっちの人も……」
すみませんボソッと何か聞こえたんですけど。
「ゴードン受けは地雷なので、二度と私の前で口にしないでくださいまし」
あっ。
やばいやばい。口に出しちゃった……!
いやだって! ゴードンがわたし以外に惚れるなんて誰相手でも嫌なんだよね! そこに性別って関係なくない!? BLならアリとか別にないからね!?
「受け……? 地雷……? 何のことスか」
ゴードンやめて! 聞かないで!好きな相手にこんなこと解説したくない!!
「えっ、あっ、あ……」
あぁぁぁぁギャルが引っ込んでる! 素……っていうか、特殊な状況下すぎて適切な人格がわかんなくなっちゃった感じ……!?
「え、エドマンド受けの方は全然平気ですわよ。ゴードン以外に関しては、そういったこだわりはありませんの」
「……それ……解釈一致……って、ことじゃん?」
「概ねそうなりますわね」
よし、よしよし。何とか落ち着いたかもしれない。
ゴードンもレイラもエドマンドも、まったく話題についていけてなくて頭に「?」が浮いてるけど……
「ってことは、ゴードン×エドマンド派?」
「は? ゴードン攻めでも普通に地雷なんだけど。別に受けが地雷イコール攻めが好きってわけじゃないんだよね」
……あっ。
やばいやばい。素でガチギレしちゃった。何してんのわたし。
でも……ここは譲れない。
とにかく!!!!!!
わたし以外に惚れるゴードンは!!!
全部解釈違いなんだってばー!!!!




