表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/83

42.「その設定、原作になかったよね!?」

 わたしの能力を駆使(くし)し、食堂に小さなステージを作り出す。そこで、練習する手筈(てはず)になった。

 楽器や機材はニコラスが用意してくれたし、それなりに様にはなったと思う。

 緊張した面持ちで、ステージを見つめるレイラ。リナの方は「アップしてくる!!!!」と廊下を走り始めてから全然帰って来ない。どこ行ったのアイツ。


 レイラは小刻みに震えながらマイクの前に立ち、おそるおそると言った様子で口を近付けては離れてを繰り返している。

 わたしもメガホンを持ち、用意したディレクターズチェアに腰掛けた。ゴードンに「お嬢何してんスか」って言われたけど、ほら、形って大事じゃん。


「ほらほらレイラちゃん、頑張って! レイラちゃんならできるよ!」


 わたしの激励(げきれい)に、レイラは何とか勇気を(ふる)い立たせたらしい。

 マイクに口を寄せ、声を発し始めた。

 

「──ん──な──えお……」


 あめんぼあかいなあいうえお。

 発声練習の基礎と言えば、やっぱりこれだよね。


 とはいえ、ところどころ聞こえはするけれど、まだまだ断片的にしか聞こえない。


「レイラちゃんもう少し! もう少しだけ頑張ってみて!」

「……──り、──だ──」


 何か言いたいみたいだけど、その言葉も断片的にしか聞こえない。


「ニコラス、マイクの音量上げて」

「ヒヒヒッ、あいよ」


 ニコラスがマイクの音量を上げたことにより、レイラの緊張した息遣いが食堂に満ちる。

 レイラは震えながら、どうにか言葉を紡いだ。ベールで隠しきれなかった口元に、一筋の涙が伝う。

 

「……やっぱり、無理だよ」


 少し掠れてはいるけれど、綺麗な声だった。

 子鳥がさえずるような、小川のせせらぎのような、心地よい声……。


「わ、私の言葉は……呪いになってしまう、から……」


 ぽろぽろと涙が溢れ、レイラは顔を覆う。

 レイラちゃん……

 この子の心には、深い、深い(きず)がある。……分かっていたとはいえ、目の当たりにするとやっぱり辛いものがあるね……。


「……これ、最初からマイク使えば良かったんじゃ?」

「ゴードン、今は空気読んで」


 正直、わたしも同じこと思ったけどさ!!


 ……と、唐突に食堂のドアが開く。

 金髪の男(へんたい)がひらりと身軽に飛び込んできて、軽やかな手つきでドアを閉めた。


「やあ、みんな。楽しそうだね」


 キラキラと輝く笑顔でわたし達の方に挨拶するアルバート。

 誰かが返事をする前に、ドアが派手な音を立てて粉砕(ふんさい)された。案の定、血の涙を滴らせたエドマンドが肩をいからせて現れる。


挿絵(By みてみん)


「復讐の(とき)はきた……! 我が怨嗟(えんさ)永久(とこしえ)の業火となろう!」

「ああ……やっぱりイイね、君。僕の心の虚無も、これで埋められる……!」


 虚無って、もしかして失恋の件? 

 こいつ、エドマンドとの戦闘(プレイ)で失恋の悲しみを紛らわせようとしているの??

 

「……ッ」


 ……と、レイラが苦しそうに息を飲んだ。

 レイラとエドマンドは生前からの知り合いだし、レイラにとっては()()()()夫とも縁深い相手だ。思うところも色々あるんだろう。

 エドレイもまあ、よく見るしね。pixerbで。

 エドマンド、本当はレイラのこと好きだったんじゃないの? という考察もチラホラ見た。とはいえ「亡き主君の妻だから、未だに主君への忠義を果たそうとしている」という解釈も根強い。レイラとエドマンド、二人ともの意思疎通が難しい以上、真実は謎のままだけど……


 なんて考えていると、レイラは意を決したようにマイクスタンドを握りしめた。

 震える声が、食堂内に響き渡る。


「……やめて、兄さん……!」

「……! 奥……方、様……いや……」


 レイラの叫びが届いたのか、エドマンドは目を見開いて彼女の方を見た。


「……レイ……ラ……?」

「兄さん……! あの方は……チャールズ様は、貴方が苦しみ続けることを望まない……!」

「う……ぐ、ぁあぁあぁあっ」


 レイラの呼びかけに、エドマンドは頭を押さえてうずくまる。 

 

 あー、なるほどね。兄妹だったのか。

 そういえば、黒髪どうしだねこの二人。レイラは「夜」って意味の人名だし、エドマンドは「暗夜の復讐鬼」かつ「夜の騎士」だし、怨念とか復讐とか、何やかんや共通項も多……

 

 ……って、待て待て待て!!!

 唐突に衝撃の真実をお出ししないでー!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ