表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/83

29.「おまわりさんこいつです」

「ぐ……ッ、私は……まだ……」


 霧が晴れつつある中、エドマンドは床の剣に向けて懸命に手を伸ばす。

 眼からは血の涙が溢れ、赤く染まった瞳は焦点が定まっていない。……いつもの、「復讐」に取り憑かれた状態だ。

 

「ゴードン! エドマンドを保護して!! 彼、アルバートからわたしを助けてくれたの……!」


 何はともあれ、このままじゃエドマンドの尊厳(そんげん)が大変なことになっちゃう!

 たぶん自分が裸だってことも認識してないし、さすがに放っておけないよ……!!


「……ッ、エドマンド、お前……!」


 ゴードンが唇を噛み締め、エドマンドとアルバートの間に割って入る。


「……おや。君も来たのかい」


 アルバートは眉をひそめ、ゴードンに冷たい視線を向けた。


「良いのかい? 次に脱がされるのは、君かもしれないよ」


 なるほど。この変態、ゴードンのことも……。

 うん、ちょっと期待したのは黙っておこう。

 

「ヘッ……好きにしろ! お前の細っこくてチンケな裸より、俺のが見栄えも良いしなぁ!」


 あー、あんまり恥ずかしがらないタイプね。

 強がってるのかもしれないけど、それはそれでまあ……。

 ちょっと邪念が多すぎるね、わたし。深呼吸深呼吸……。

 

「……ダメだね。全然ダメだ」


 やれやれと首を振り、アルバートは全裸のまま大きく手を広げて見せた。


「そこは! もっと! 僕の裸を徹底的に罵ってくれないと……! 消えろ猥褻物(わいせつぶつ)とか、股間の汚物ぶっ潰すぞとか、そんなふうに!」

「え……無理……」

「どうして!!」

「ええ……どうしてとか言われても……。……キモいから……?」


 ゴードンはドン引きしたまま、どさくさに紛れてエドマンドを助け起こす。

 エドマンドは(うつ)ろな瞳でゴードンを見上げ、途切れ途切れに呟いた。


「……同胞(どうほう)よ。いずれ、暗澹(あんたん)たる……闇の、彼方(かなた)にて……栄光は……貴殿の、手……に……」


 そのまま、エドマンドはがくりと気を失う。

 わぁー、全然シリアスな状況じゃないのに、無駄に綺麗な顔だなぁー。「粉雪@エドマンドの鎧になりたい」さんの次回作(うすいほん)が分厚くなるやつだなぁー。

 

「エドマンド、 何言ってんのか全然分かんねぇぞ! しっかりしろ!! エドマンドー!!!」


 ゴードンの絶叫が部屋に響き渡る。

 茶番にも思える状況の中、ゴードンは大事な部分がわたしに見えないよう、しっかりと自分の身体で(さえぎ)ってくれている。ゴードン、グッジョブ。これでエドマンドの尊厳は守られた……。


「……どうやら、騎士くんは君に後を託したらしい」


 あ、やっぱりアルバートには、エドマンド語が分かるんだ……。

 

「けれど、僕の目的は既に果たされた。……レディ、見ていてくれたね?」

「見せるつもりで脱いだんですの?」


 もしもしポリスメン???

 ここに全裸の変態がいるんですけど???

 

「ああ……そんなに(さげす)まないでおくれ。興奮してしまう」

「何だこいつ、最強か?」


 嬉しそうに自分の肩をかき抱くアルバートを見て、ゴードンがげんなりした顔で呟く。

 うへぇ、厄介だよぉ……。どうしたらいいの、この状況……。


「zzz……」


 エドマンドはなんか、すやすや寝てるし……!

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ