11.「ニコラスP……って、コト……!?」
例の発表から数時間後。
わたしはレイラ、リナと共にニコラスに呼ばれていた。レイラの言葉はわたし達には分からないので、翻訳担当としてエドマンドも連れてこられている。
直前までゴードンのことを考えて悶々としていたけど、ここからはどうにか切り替えないと。
「ヒヒヒッ、とりあえず衣装案ができたんだけど……」
一部の怪異は、迷い込んだ「客人」が持っていた情報によって外部の知識を身に付けていたりする。
ニコラスには、透明になって館のあちらこちらでラップ音を立てる趣味があるし、遺品を収集するなんてお茶の子さいさいだろう。
「どの方向性で行く? ヒヒヒッ」
ニコラスは怪しげに笑い、ぺらりと紙きれを見せつけてくる。そこには、アイドルや芸人風の衣装案がいくつも……
こ、こいつ……作曲だけじゃなくて絵まで描けるの……!? 多才だね!?
「……ンー……どれも面白みないね」
リナが何か言い出した。
彼女の中で、ブリッジ走りで這うこと以外の「面白いこと」って一体何なんだろう。そもそも、ブリッジ走りは面白いのかな……?
「────────」
「失礼。顔を見せるのは恥ずかしいため、隠しても違和感のない衣装にして欲しいとのことだ」
レイラはレイラで、注文が具体的だ……。
「─────」
「苦手な部分を補った上で、他の二人の魅力も引き立てたいと申されておられる」
れ、レイラちゃん…………。
この子は愛した男から手酷い裏切りを受け、呪い殺した過去を持つ。けれど、根っこはすごく心優しくて繊細な子だ。
まあ、ゲームのストーリー上、その優しさはひたすら報われないんだけど……。
「──────────」
「足でまといにはなりたくないが、せっかく機会を得たのであれば、やれるだけのことはやりたいと」
「……良い心掛けですわ。わたくし、感動いたしました」
こんな良い子が足でまといなわけがない。
むしろ、ブリッジ以外に持ちネタがないリナの方がよっぽど不安なくらいだ。
一緒に頑張ろうね、レイラちゃん!
「ヒヒッ。ちなみに、エドマンドくん的にはどの衣装が良いとかあるかい?」
「復讐の日はまだか。常闇の中であれ、我が炎が絶えることはない……!」
「ああうん、ごめんよ。何でもない」




