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再臨のラグナロク  作者: ちさん
一章 神の災涙
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第7話 神話大陸エターナリアス

午後。シアによる今の世界に関する授業が始まった。


俺は朝の激しいトレーニングを耐えた後、休憩を取ったおかげで、何とか起き上がれた。

約束通りに授業を受けるために、シアの家の1階リビングに降りて、そこにシア、ライと舞衣も既に待っていた。お菓子を食べながら。


どうやら二人も一緒に受けるらしい。

そして何故か、シアがスーツ姿に着替えた。


胸のラインがしっかり分かる、サイズぴったりの白いスーツ。黒いミニスカ、さらに眼鏡を掛けてる。


どう見ても彼女自身が考えたコーディネートじゃない。


俺は元凶と思わしき人物に目をやった。ライは目を閉じて、舞衣に至っては別方向に向けて、口笛を吹いた。


「あの、炎…?」


不意に、シアが自分から声をかけてきた。その顔は、何かを心配してる様子。そして全身がもじもじして落ち着かない感じ。


ああ、これは、あれだな。


「…あ、うん。似合ってるよ」

「…うん!」


彼女は、はにかんだ笑顔になって、円卓の前に戻った。


俺はまだヒリヒリしてる体を動かし、リビングの中央にある円卓に歩き、椅子に座った。

そしてライや舞衣と同じように、数種類の菓子から好きなものを取り、取り皿に入れ、授業に臨んだ。


「えっと、じゃあ、午後になったので、午前中で話した通り、この世界のことを教えたいと思います」

「はい、シア先生、お願いします!」

「茶化しないの!」


シアが「コホン」と音を出した、気持ちを切り替えた。


彼女が昨日のように、光のボードを創り出した。


「昨日は神意(プロヴィデンス)のこと、村の事を大まかに説明しましたので、今日はもう少し根本的なことーー世界の地形から説明したいと思います」


ボードに、7つの大陸と広大な海がある映像が映った。


「これが昔…という程ではありませんが、一年前の世界中の大陸です。炎は、この世界地図を覚えていますか?」

「ああ、さすがにそこまで忘れていない」


日本に近い順から言うと、アジア大陸、オーストラリア大陸、ヨーロッパ大陸、北アメリカ大陸、アフリカ大陸、南アメリカ大陸、そして南極大陸。


各大陸の中にある、それぞれの国の場所によって、距離はもちろん変わる。だからこれはあくまでも大体の順番だ。


その上に、南極大陸はどの国の物でもない。距離も13000キロ離れてるということで、位置付けも微妙。


「それじゃ、ちょっと理解しやすいかもしれません。今の世界は、こんな感じです」


シアが指で小さく円を描き、ボードはそれに反応して、映像も変わり始めた。


海だった場所は陸になり、各大陸の位置も元の場所からズレていく。

その動きで一部の大地が繋がり、平地だった場所は圧迫されて、山になるか、逆に消えるかのどちらかだ。


「これは…!」

「神の災涙によって、大きな地殻変動が起こりました。これが、今の世界の各大陸の状況です。もう()()()という言い方は通用できませんが…」


映像が止まった頃に、そこにあるのは、一つの大陸だけ。


「かつて世界創生された時、最初の大地ーー神話大陸エターナリアス。これが私達が今、生きてる場所です」



    ●



「神話大陸エターナリアス…」

「はい、『永遠の大地』という意味を持つ、原初の大陸です」


映像を見て、呆然とした。


画面に表示されたのは、7つの大陸が合体した超大陸ーーそれは、聞いたことあるものだ。


「超大陸パンゲア…?」

「はは、やはり最初はそこに連想するよねーー」


俺の言葉に、舞衣が失笑した。


「違うのか?」

「残念ながら違うらしいよ」

「まあ、シアの話の続きを聞けば分かるな」

「そうだな、ごめん、話の邪魔した」

「いえ、全然大丈夫です。人間の世界に残された歴史と知識だと、パンゲアの存在までしか辿れないはずですから」

「え?」


シアが言ったことに、俺は目を開いた。


「エターナリアスは、この世界が神によって創られた時から、存在していた大地。しかし余りにも古い存在の上に、幾たびの大絶滅もあったから、歴史の断層が生まれました」

「つまり、それを確認できる方法、とっくに世の中から消えたという訳だ」

「そもそもパンゲアも理論上のものだしねー、その時代に生きてないあたしたちにとっては、空想と同じだよ」


舞衣とライの補足に、俺は納得した。ただ、そうすると、逆に一つの疑問がある。


「何故シアがそれを知ってるんだ?そもそも地球が誕生したのは、46億年前の事だろう?」


その問題を口にした瞬間、俺はすぐに「しまった」と後悔した。

女の子に聞いてはいけないことの一つは、年齢だ。


「サイテー」


と、舞衣は汚物を見る目で俺を見た。

ライは必死に笑いを堪えてるが、体が我慢できずに震え出した。


「それはね、天聖界にその歴史に関する記憶水晶が残ってるの。人間の世界で言うと、図書館かな?そういう場所に保管されているの」


シアは俺の失言に何の反応もなく、普通に返事をした。

神だ!


「なるほど。でも大絶滅は、天聖界に影響を与えなかったのか?」

俺はわざと冷静な様子で、話題を切り替えた。

「ありましたけど、人間界よりは影響が少なかったです。なので、そういう昔の資料は、今でもちゃんと見れますよ」

「そうか」


ならシアの年齢が別に、何億歳という訳じゃない可能性もあるな。

いや、何考えてるんだ俺。失礼だ。


「炎、ほんとーー、サイテーだね」

「う…」


舞衣は今度、目だけではなく、言葉にも刃を載せ、俺を軽蔑してきた。

エスパーか?


「と、話を続いてもいいですか?」

「あ、そうだな、ごめん」

「はい、では…このエターナリアスの大きさは、パンゲアの1.5倍ぐらいあります。その上に一つの大陸なので、海と繋がっている場所は、とっても少ないです」

「そうか…水源が大事だな」


海水を聖術で浄化もできるからだ。そうすると、魔物の肉のように、普通に飲めるものになる。


「そうです。それにここは、神の災涙を監視するにも便利な立地でしたので、ここに村を作ることにしました」


シアがボードに、俺たちがいる場所を光の()で示した。

そこは、舞衣が言ってた、昔は日本海の真ん中だった場所。


今は、地図で見る限り、南だけがちょうど三日月の海岸があり、村から5キロ離れてるが、水は基本そこで汲んでるらしい。


東に行くと、結構な距離を歩かないと、海に行けない。

その前に、途中に神の災涙が存在するエリアがある。

誰でも近づけない壁が張られてると、シアから聞いた。


だから東は実質、通れない場所だ。


北と西は、大陸の奥地と繋がってるから、

海ところが、そもそも雨降るかどうかも怪しい。水気あるのか?


「一応これで、今の世界大陸の説明が終わりましたけど…大丈夫でしょうか?」

「ああ、分かり易い内容でバッチリだ」

「…!」


シアが両手で自分の顔を隠した。照れてる?


「はいはい、バカップルは人目のない場所でイチャイチャ()てねー」

「おい、字がおかしくないか?」


俺は舞衣にツッコミしながら、皿にある棒状の菓子を取ろうとしたが、


「あれ?」


なかった。

いつの間に?

そんなに食べた記憶がないけど。


「…炎!あれは…!?」


舞衣が俺の方を見て、突然椅子から立ち上がった。その顔色、お化けでも見たような。


「…炎、動くなよ」


ライも、俺の方を見て、真剣な表情になった。


二人の異常の反応を見て、さすがに普通じゃないと理解した。

俺はゆっくりと二人が見てる、自分の右側の場所に顔を向いた。


円卓の端に、黒いゴキ…じゃない、黒い液体状のものが、俺が取ったお菓子を食べてる。


バリバリバリ。


美味しそうに食べてるな。しかし、あの気持ち悪い蠢きに、人の口みたいなものも付いてる。


何だ、これは?


「うおおおお!!!!??????」


跳び上がった。さすがに怖すぎて逃げた。

だか、黒いものは追い掛けることなく、ただお菓子を食べ続けるだけだった。


「何あれ…」

「知らん!シア!オマエ、知ってるのか?」

「はい、あれが、」


シアが静かに、純白の剣を顕現させた。


()です」


話しが終わった時、シアが黒いものに飛び掛かり、斬撃を振り出した。

しかし、円卓が切られたものの、黒いものの姿もなくなった。


「…逃げた?」と、俺が激しい動悸しながら、シアに確認した。

「いえ、まだいます」


どこだ?


四人一緒で、部屋を見回してる。

しかし、どこにもいない。


あのものが小さいというのもあるが、

そもそも気配?という生物が持つ、妙な感覚を感じられない。


それは俺だけではなく、魔物相手に慣れてる三人も、同じ状態だ。


もしかしたら逃げたと考えた時、俺は自分の右の肩に、何かが動いてる、いや、


()()()()()()感じをした。

そこを見ると、案の定、黒いものがいた。


「うわあああああ!!!!!!!」


反射であれを手で振り払った。

床に落ちたあれが、『ペッチャ!』という音を出し、水のように散らばった。


と思ったが、


【おいおい、酷いな】


話した。黒いものが。

男の声ーーそして何故か、聞き覚えがある。


【それはそうだろう】


…!?気のせいか?俺が考えたことに対して、答えたような…


黒いものが、部屋の中にどこから来たのも分からない、別の黒いものと融合し、少しずつ形を作っていく。途中で俺が気付いた、


アイツが俺の影から黒いものを集めたことにーー


「…お前は、何者だ?」


黒いものが融合し終わった時、一つの形になった。その形は、


()?】


()の形だ。黒い霧を纏うあれが、形ははっきりと見えない。

見えないが、なんとなく人の形をしてると感じた。


【そうだな、もう一人のお前、と言った方が分かり易いだろう】


「「「…は?」」」


俺、ライ、舞衣、三人がその言葉に、フリーズした。


シアだけ、理由が分からないが、今までにない、厳しい顔で、あれを睨んでだ。

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