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再臨のラグナロク  作者: ちさん
一章 神の災涙
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第16話 約束の日、西の遺跡にて~その二~

少年の居界を破るために、ライはグングニルを全力で、居界を標的として突き刺した。

槍と壁が衝突した瞬間、力と力のぶつかりで強い衝撃が発生し、遺跡の地面を翻し、周りをさらに壊していく。

俺もライの攻撃に合わせて、(ほのお)で創った源素の剣を振りかざした。


「はあ…!!!」


ガンーーー!!!


鈍い鈍器の音が鳴った。

俺の剣も、グングニルと同じように居界に止められた。


そして、舞衣の矢の爆撃は止まることなく降り続いてる。

俺たちに当たらないように、自動的軌道を逸らしてる。

敵味方の分別ができるらしい。


三人合わせて攻撃したーーにも関わらず、少年の居界はビクともしない。


「く…!固いな!」


舞衣とライの全力をもってしても、少年に触れることすらできない。

それぐらい力の差が大きいのか?


でも、諦める訳にはいかない。

俺は対策を考える時、


「その程度なの?つまらないな~」


少年は、右手を動かし、人差し指を、横に薙ぎだ。


それは、前回やられた時の…!


俺は急いで体周りに限定して、居界を展開した。

ライも気づいて、グングニルを縦にして、地面に刺し込み、雷源素を現わす紫色の居界を張った。

そして、


「う…!?」


予想通り攻撃された。それも前回切られた時に感じた力より強い。

俺とライは防御できたが、その衝撃によって後ろに吹っ飛ばされた。


「おお~ちゃんと戦いの準備をしてきたかどうか確認したいから、わざとこの前と同じ方法で攻撃したけど。なるほど、対策を立てたみたいね」

「ふん…!偉い口を言えるのは、今だけだ!炎!」

「ああ!」


ライが事前に説明した。少年の横薙ぎの攻撃、あれはおそらく風の刃。源素を帯びてるが、敵に気づかないように自然と融合させてる。だから攻撃が()()()()

見破る方法は、少年の()()()()

ちゃんと見れば、避けることできなくとも、防ぐことは可能かもしれない。


そして今、俺たちは作戦通りに対応できてる。

しかし、次がない。

少年は傲慢だけど、通じない技をずっと使ってくるはずがない。

だからここからは、時間との勝負。


少年が予測付かない技を出す前に、倒す。


俺は右手の火を強く燃やし、ライのグングニルに移した。


「ほお?これは…」


グングニルは俺の火を取り込み、そして、そんなに時間経たないうちに、紅く燃え上がった。


雷を纏った(ほのお)ーー


神意を殺して力を吸収することは今は無理だが、その要領で、自分の力を分けることだったら、できるじゃないか?三人で色々試した結果、何とか成功した。


それが今、爆発する!


「はああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」


ライは、再び飛び出した。

今度は、全速で、音速を越えるぐらいの速さで、最大出力で少年の居界へ突撃した。


二回目の衝突。先より強い力の対抗で響いた音に、耳鳴りする。


パリ…


「!」


そして、少年の居界に、ヒビが入った。


「今だ!舞衣!炎!」

「分かった!」

「待ってました!!!!」


俺は素早く力を集め、ひび割れた部分に、両手で火の柱を撃ち放った。

それと同時に、少年の居界にさらに亀裂が発生した。


「…へぇ、前より力が強くなったみたいね。でも、それだけじゃ、ボクに届くなんて、無理だよ?」


少年はまた手を上げた。今度は指ではなく、掌を開いた。

つまり、単純の線状攻撃ではなく、より避けにくい攻撃だと考えられる。


やばい。でもここで自分たちの攻撃を止める訳にはいかない。

それに、まだ終わってない…!



    ●



森の中にいる舞衣は、サポート役を徹するために、爆撃を維持しながら、少年に攻撃されないように、待機場所を炎たちの斜め後ろに移動した。そこでアルテミスで力を蓄えてた。

自然に漂う源素を限界まで吸い込んだアルテミスが、艶やかな銀色に輝き、準備万端でいつでも仕掛けられるという風に。

舞衣は最初と同じ、アルテミスを少年相手に照準合わせた。一回目と違うのは、この一撃に、必殺の意思を込めた。


「神技…!」


弓の全身が光を放ち、弦につがえた矢の先端ーー(やじり)に銀の光が球状に膨張(ぼうちょう)し、そして、放たれた。


月女神の光(アルティムン・ライト)ーーーーーー!」


銀色の光束ーーそれは前、舞衣が見せてくれた、彼女の神技。しかしその威力、あの時の倍以上はある。

あの時は俺に見せるために使っただけだから、手加減したか、それとも特訓の成果か、分からない。

が、その神技を前に、少年の顔から余裕が消えた。


森からの砲撃は、舞衣の後ろ含めて、周り全体の樹木を吹き飛ばしながら、俺とライの間に空いてるところに、少年の居界に命中した。

一瞬ーー舞衣の神技が当たった瞬間、居界が完全に破壊され、光束はそのまま少年に直撃した。


ドンーーーー!!!!!!!!


巨大の爆発音と共に、煙が舞い、俺たちの視界を遮った。


「…やったのか?」


ライは警戒心を緩めず、煙の中を凝視する。すると、

突然風が吹き荒れ、煙を飛ばした。

そこに、重傷おろか、ケガすらあまりしてない少年が、どこか満足してる表情で立っている。


「いいねー、ボクの居界を破れるなんて、それに先の神技。ちょっと見直したよ。おかげで服汚れた、いやだな~」

「…ここまでやって、キズもあまりないとか、バケモノかよ」


ライは冷や汗を流しながら、苦笑いを浮かべた。


「…ある意味、これも予想通りじゃないか?」


そう。ここまでは予想通り。作戦考案した時、多くの可能性を考えた。

少年が居界を展開している場合は、どんな手を使っても、居界を破るのが先。

これが最優先事項。

なぜなら、少年が言ったように、居界を突破できないようじゃ、少年に触れることすらできない。


問題なのは、ここからだ。

居界を壊した後、もし少年はまた居界を展開しようとする場合、どうする?


それが、


「さあ、続きしよっか。あなたたちの全力、何分持つか試してみようー」

「なら、受けるがいい…!」


ライは先と同じ最高速度を出し、少年に距離を詰めた。


「死ねーーー!!!!」

「…あはっ」


目に留まらないグングニルによる一刺し。空気を切り裂く音を出してるスピード。

だが少年は、それを気に留めずに、簡単に避けた。


「ボクがまた居界を展開しないように、白兵戦で動きを封じようという考えかな?」

「…!」

「その顔、図星みたいだね」

「それが、どうした!」


気付かれた。でもその手しか、俺たちにチャンスはない。

居界を破るために、時間を掛けて力を蓄積した上に、神技を使った。舞衣は今その反動で、源素だけではなく、体力も激しく消耗した状態だ。しばらく全力は出せないだろう。


つまり居界を壊すたびに、戦力が一人減るという換算だ。

そうなると、二回目の居界を展開されたら、勝ち目は絶対にない。


俺はライの後を追い、少年に仕掛けた。


ライがグングニルを振るうたび、雷が迸り、地面を裂く。

グングニルの本体ではなく、その余剰とも言える雷は、それぐらい破壊力を持ってる。

それでも、少年はグングニルも雷も気にせず、距離を離そうする様子はない。

ただひたすら槍を避けてる。


居界を破られても、余裕のままか。ならば、


「食らえ!」


俺は火の剣を形成し、少年がライの槍に注意を払ってる隙に、切りかかった。


「お?よっと」


だが、少年はすぐに俺の動きに気付き、ライの攻撃を躱した後、俺の剣も簡単に流した。


「この…!」


俺は間髪を入れずに、次の斬撃を振りかざした。少年はライと戦う時と同じように、

俺の剣も難なく避けてる。


速度でライに負けてる俺の攻撃は、当たるはずがない。

それでもけん制の意味を込めて、俺は手を、剣を、動きを続けた。


突然、少年は俺の剣を素手で掴んだ。


「な!?」


止められたが、俺はさらに力を入れ、少年を両断しようと思った。

しかし、


「あなたの本気は、こんなものじゃないだよね?」

「…なんだと?」

「呼び出してよ。あなたの中にある黒い力を」

「…!?」

「炎!」


少年の言葉で一瞬、気を取られたが、ライが横からグングニルで攻撃を入れたおかげで、少年は避けるために、俺の剣を離し、距離を取った。


(黒い力…)


でも、考えてしまう。

俺の中の力は、それも「黒い力」で言えば、シャファのことしかない。


(福徳さんに使うなと言われた)


それに、少年の目的が分からない。シャファの力を知ってる以上、むやみに使わない方がいいと、俺は思った。


ライは依然と最高速度で少年と戦ってる。彼の攻撃は当たらないが、少年の攻撃もライに当たらない。

お互い回避の応酬。

俺はもう一回加勢しようとした時、横に数本の矢が少年に飛んで行った。

俺は矢が飛来した方向に目をやると、そこは激しく胸を上下して呼吸をする舞衣の姿が入った。


「舞衣!大丈夫なのか!?」

「はあ、はあ…あたしはいいの!あのガキの話を気にしないで!集中して!」

「…ああ!」


そうだ。敵の話なんか、聞く必要がない。


「ん?」


少年は矢が飛んでくるのを見かけ、ライのグングニルを避けた後に、右手を空に振り上げ、暴風を起こし、矢を消した。


「弱いね…神技を使った後、体力は持ったないみたいだね。今のあなたたちじゃ、一回の神技で限界か」


少年は残念そうな顔で俺たちを見つめた。

それに対し舞衣は、


「あら、時間をくれれば、ニ発目を叩き込んであげるわよ!」


負けじと言い返した。


そんな舞衣の言動に、俺の気持ちがちょっとホッとした。

戦況が悪いことに変わらないが、誰も希望を捨てていない。


俺は気を取り直し、剣をしっかり握り締め、戦闘を再開した。


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