弓秋 ※あらすじのみ
「幸せとは、健康で記憶力が悪いということだ。」
かの有名なアルベルト・シュヴァイツァーが残した言葉である。
確かに記憶力が悪ければ、自分の身に起こった不幸な出来事などすぐに忘れてしまうだろう。
一生トラウマとして引きずるよりは、きれいさっぱり忘れてしまう方が、心理的にはだいぶ楽だ。
しかし、たとえ不幸な出来事であっても、決して忘れられない、いや、忘れてはいけない出来事も少なからず存在する。
特にこの大学4年間の生活には、これからの人生でも二度と味わうことができないであろう、楽しくて、スリリングで、そして悲しい思い出が詰まっている。
不幸な出来事かどうかは、この話を聞く人の判断に委ねることにする。
自分自身では、当時は不幸だと思っていたが、今ではその感情も薄れてきているし、はっきり言って、この話を思い出す時の自分の感情がどうなっているのか表現できないのだ。
風1つない凪のようでありながら、遠くから少しずつ竜巻が近づいているような、そして気づいた時には竜巻が通り過ぎたのか、それとも来る前に消滅してしまったのか、竜巻の存在が消えている、そんな感じだ。
もちろん、竜巻とはあの事件のことに他ならないのだが。
とりとめのない、よく分からない話になるが、それでもよければ、聞いていってほしい。