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・・・・・・やけに長い階段だった。
「これは、これでクるものがあるな・・・」
どれだけ登っただろうか。マンション十階分は悠に越えている。
依然暗闇に飲まれた世界をコツコツと静かに歩く、それは果てしない道のりだった。
どこまで登ればいいのか分からないが、三害はないようだ。
では、どこまで行くんだろう。
僕は途中の踊り場で足を止め、腰を下ろす。
休みたかった。ダメージは大きかった。
頭を抱え込む。その体勢に、さっきの父を少し思い出して、気分を一層害した。
希望が欲しかった。
わずかでも足を軽くするだけの小さな光を。
そう思って少しだけ階段の先を見た。
そして、僕は気づく。
どこかからわずかな光が漏れ出ていることに。
その光が、外気を含んだその光が、頂を意味していることに。
「――――――ッ!」
勢いよく立ち上がり、階段を一段飛ばしで上がっていく。
錆れた体が希望の油を差されたように快活に動き始める。
やっと、やっと。
踊り場に至った。しかし、その先に階段は延びていない。
代わりに光の線が長方形に暗闇を切り取っている。
ドアから外の光が漏れているのだと分かる。
早鐘のように響く鼓動が聞こえる。
僕はドアノブに手を伸ばす。
わずかに軋む音を立て、ドアは思ったよりも簡単に開いた。まるで僕を歓迎しているような、そんな気さえした。




