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「・・・・・・な、んなんだこれは」
僕は一人呟いた。
初めは映画かと思ったが、どうにも作品性を感じないリアルな映像だった。
そして、左上のテロップに目がいく。
『十年前に起こった悲劇!女児誘拐、夫婦焼殺事件の真相解剖!』
十年前・・・?
焼殺・・・?
少しずつざわついていく胸を押し殺し、父と母さんの顔を見る。
二人とも血の気が失せて、完全に硬直して死体のようだった。
「父さん!母さん!」
僕は悲鳴を上げるように呼び掛ける。
ハッとわずかに身震いして二人は我に返った。
「どうしたんだよ。一体これは、何なんだよ。この事件ってひょっとして・・・」
応えることなく、父はよろけてソファに身を預け、今度はさっきより深く頭を抱えた。母さんはソファの横で朧げな目をしたまま、へたり込んでしまった。
そんな。まさか。
混乱した頭が次第に整理されていき、嫌な想像が頭にどんどん浮かんでくる。
その最中に。
ある記憶が、チクリと僕を刺激した。
何か。何かが引っかかる。僕は何か重要な何かを、見た気がする。
応えるように次第に記憶は、どんどん僕を核心に引き込む。
コーヒーを用意しにキッチンに向かう最中、気にも留めなかったが、目の端に、何かがあった。
あれは、一害の部屋で言うところの寝室。僕と彼女が交わっていた部屋に当たる。
そのドアは・・・。
僕は居ても立っても居られなくなって、急いでそこに向かった。
何かを察した父が怒鳴るように僕を呼ぶ声がした。しかし、止まらない。
『しかし、娘さんの行方は依然分かっていません・・・果たして今はどこにいるのでしょうか』
『奴らが連れ去ったんだ!殺したか、それとも・・・・・・』
寝室にあたる部屋。
そこのドアは、不自然に、まるで何かを隠すようにカーテンで覆われていた。
それを勢いよく剥ぎ取る。
『娘はまだどこかで、監禁されているんだ!』
遠くからテレビの音が聞こえる。
ドアノブには幾重にも鎖と南京錠が巻かれていた。




