表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/56

26

光源はリビングの右側からだった。


ドアの構造上首を伸ばしでもしないとそちらの様子を伺えないので、体勢を立て直して静かにリビングに入ることにした。テレビの音は今では鮮明に聞こえる。

『昨日起きた、○○市少女誘拐事件は現在も調査が続いており・・・・・・』

物騒な話だった。

テレビの方に目を向ける。

そうするとソファに座ってテレビを眺めている二つの人影が同時に目に入った。


「・・・・・・っ!!」


思わず叫び出しそうになった声を無理やり飲み込む。

テレビは壁側に据えてあり、画面の光は逆光になって、二人の姿をはっきりと認めることはできない。

僕はなんとかソファに腰掛ける二つの影の顔を見ようと苦心するが、どうしても気づかれないように顔を覗き込むのは無理そうだった。

声をかけようと逡巡する僕に気づく素振りは見えなかった。


「・・・・・・あ、あの」


全く進展しなさそうな状況にしびれを切らしたのは僕だった。

正体不明の人影への恐怖心は薄れ、今は彼女を追いかけたい気持ちが、のどに詰まっていた声を押し出した。


「・・・・・・あの、すいません。ここの住人の方ですか」


その答えは、しばしの間を空けて返ってきた。


「電気をつけなさい」


厳格な男性の声色だった。向かって右側に座っている人影の声だ。

僕は反射的に、そしておとなしく従いリビングの壁で緑に点灯している小さなスイッチを赤色に切り替えた。

今の声は、どこかで聞いたような気がした。それもとても懐かしく、とても心に響きいるような。

蛍光灯が何度か点滅をして、部屋一面を明瞭に映し出した。

それに合わせて、ソファに座っている二人は、同じ動作でゆっくりと振り向き、僕を見据えた。

その顔を見て、僕は唖然とする。ありえないことが起こるマンションだと知っているからなのか、その存在が、僕の目の前にいることに疑いはなかった。


「久しぶりね、ユウキ」



今度は左手に座っている女性が言う。

優しい声だと、感じるのはやはり――――――この人が、僕の母親だからだろうか。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ