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魔法使いの懐中時計  作者: 暁月 オズ
第三章.騎士の同行
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61.迫り来る魔の手

「ありゃぁ、確か……」


 ギルが走り去って行く二人を自分の記憶から呼び起こす。


「こりゃ、つくづく運は俺に味方してるみてぇだな」


 ニヤリと不敵な笑みを浮かべて外に出ようとするギル。それを制止する者が居た。


「おい待て、私を置いて何処へ行くというのだ!?」


 と、カクイが激昂する。


「悪いが他に用が出来ちまった。それに、俺はアンタが力を持ってたから手を貸してやったんだ。今のアンタにその価値は無ぇ。俺が欲するのは唯一つ……純粋な力、それだけだ」


 吐き捨てたギルは、走って行くソールとルナを追いかけるために荷馬車から飛び降りた。


「とんだ救いの手だったな」


 残されたカクイに、キースは皮肉混じりに呟いた。


「……の……めが」


 怒りに震えながらカクイが呟き、そして、


「おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!出来損ないの分際で私を下に見おってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!『教会』の犬めがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 その叫びは渓谷の空まで轟いた。




「な、何だ!?」


 遠くない場所から怒声が聞こえ、ソールは驚いて足を止めそうになった。


「ちょっとソール、何してんの!?早くこっち!」


 その様子を見て、ルナが思いっきり手を引っ張る。


「ごめん、ちょっとビックリしちゃって……」


 その声を聞き、ソールの胸にはある心配が募った。


(ケビンさん、大丈夫かな……?)


 ソールがそんなことを考えていると、


「ようやく見つけたぞ、時計の坊主!」


 声がした方を振り返ると、見覚えのある男が後を追いかけて来るのが眼に入った。


「くっ、またアイツなの!?」


 ルナが嫌そうな声を漏らす。ソールもルナと同じ気持ちだった。


(夢まで出て来て、今度は現実でも追いかけて来るのか!?)


 ソールは歯を食いしばりながら、ルナと共に走って行く。しかし、ギルは次第にその距離を縮めていく。


「くそっ、このままじゃ追い付かれる……!」


「さぁ、大人しく時計を渡しなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 大声で叫び迫ってくるギルに、ルナは恐怖心から手が震える。それが繋がれた手から伝わり、ソールは考える。


(いつも強気なルナだって、本当は怖いんだ……僕が勇気を出さなくてどうする!)


 と、ソールはルナが握る手を放し、急に立ち止まる。


「ソール、何で止まるの!?」


「……ルナ、先に行ってて」


 驚くルナに対し、ソールは落ち着き払った様子で言った。


「何言ってるの、殺されちゃうかもしれないのよ!?」


「分かってるよ。だからこそ、僕がここでアイツを食い止めるんだ」


 ソールは懐中時計をポケットから取り出すと、強く握りしめて目を閉じて意識を集中させる。


(思い出せ、僕!あの夢を、あの時の感覚を……)


 そうしている間にもギルはソールに着実に迫っていく。そして……

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