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魔法使いの懐中時計  作者: 暁月 オズ
第三章.騎士の同行
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56.束の間の団欒

 『微睡みの森』を抜け出た一行は、静かな丘を歩いていた。もうすっかり夜も更け、ソールとルナは眠気と格闘していた。ゆらゆらと馬車の揺れが二人を眠りへと誘おうとする。


「……」


 コクり、とルナが首を下げる。


「ルナ、もしかして眠たいの?」


「……はっ。そう言うソールだって」


 どちらも限界は近いようだった。


「グランさん、そろそろ休息といきませんか?」


 その様子を察してか、近くの騎士の一人がグランに進言する。


「……そうだな、皆も疲れているようだし、ここらで休憩としよう」


 グランは周りの様子を見て言った。


「よし皆。今日はここらで野営を張る!準備するように」


「「「はい!」」」


 揃えるように、他の騎士達が呼応する。




 静かな丘に簡易的なテントを張り、寝床を確保した騎士団は、次に夜食の準備に取り掛かる。ソールとルナも黙って見ているのは申し訳無さを感じ、手伝うことにした。それは野営というには楽し気なひと時だった。


「おい、ソールとやら。こっちを手伝ってくれぃ」


 年老いた騎士ロジャーがソールを呼ぶ。


「貴方、ルナちゃんって言ったかしら?こっちに来てくれる?」


 続いてルナが黒髪ロングの女騎士デュノに呼ばれる。


「なんか、いいね。こういうの」


「うん。私も何だか楽しくなってきちゃった」


 ソールとルナは、久方振りの休息の時間を、準備段階においても満喫していたのだった。ソールは火起こしに、そしてルナは食材を切って料理の準備に取り掛かった。




「さて、こんなものだろう。そろそろ夕食といこうか」


 夕食の準備も終え、グランの号令で集まった一行は、火を囲むようにして円形に並んで座った。


「よし、それじゃ食べるとするか」


 そう言って手を叩くグランの動作を合図に、並べられた皿から次々と食べ物を手に取る騎士達。


「ほら、お前も遠慮せずにどんどん食べな」


 近くにいる騎士に促され、ソールも近くの皿に盛られたチキンを手に取る。


「ルナちゃん、貴方も遠慮なく食べてね」


「は、はい。ありがとうございます」


 ルナも隣に座るデュノに迫られながらサラダを食べ始める。


「あの、僕らも食べて本当に良いんですか?」


 ソールが隣に座る茜髪の騎士ケビンに尋ねた。


「何を今更言ってんだよ。今は同じ旅路を行く仲間同士、遠慮なんざ要らねぇってもんだ。それに、お前さんはグラン団長にだって認められてるんだ。こいつぁスゲェことなんだぜ?もっと堂々としてくれたって構いはしねぇさ」


 そう言われ、ソールは少し顔を赤くした。


「おっ、照れてやんの。可愛いとこあるじゃねぇか」


「ちょっと、からかわないで下さいよ」


 はっはっはっ、と大笑いする騎士達と共に、ソールとルナは先程までの疲れなど忘れ、夜を楽しんだのだった。

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