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魔法使いの懐中時計  作者: 暁月 オズ
第三章.騎士の同行
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49.騎士との旅路

「そう言えば……」


 ふと思った疑問をルナが口にする。


「あの領主達はどうなったんですか?」


「カクイとキースか。彼等なら、後ろの馬車で牽引している」


 そう言われてソールとルナは後方を見た。確かに、グランの言った通り周りの視線から中の荷物を隠すように布の張られた荷馬車が一台、そこにはあった。


「彼等はこれから、俺の部下が責任を持ってカシオズの街まで送り届ける。そしてそこで、彼等は再度拘束されることになるだろう」


「そうですか……」


「ところで、どうして彼らはあんなことをしたんですかね?」


 ルナに続いて、ソールがグランに疑問を投げかけた。


「事の発端は、キースがルーンを手にしたことからだったらしい……」


 グランは言うには、自称魔導士のキースが『教会』に居た頃、魔導を扱えずにいた時に出会った売人から、『天候のルーン』を買った。それを『教会』に気付かれ追われることになったキースは、ルーンをその手に携えながらイーユの町まで逃れて来た。そして、そこで領主になろうと画策していたカクイと出会い、行動を共にすることとなった、ということらしかった。


「なるほど、それでカクイには魔導士って名乗っていたという訳ね」


「あぁ、どうやらカクイ自身そのことには薄々気付いていたらしいがな。全く、何処までも食えない男だよ」


 呆れたようにグランはそう吐き捨てた。


「町を発展させる為に奮闘するというのは見上げた心意気だが、その手段として町の人々を困窮に陥れ、追い詰めるだなんて言語道断。結局は自分の利益しか目に見えていなかったようだな。まぁ、当の本人はそれに気が付いていないようだがな」


「……」


 グランの話を聴いたソールは何とも言えない感情になった。


(まるで、自分自身に呪いを掛けたような人だったんだな……)


 ソールはカクイの一件を自分の胸に強く刻むことを決意した。種類は違えど力を持った者として。


(……でも、どうしてあの時も)


 少年はキースと対峙した時のことをふと思い出す。


(あの時、確かに僕には力を使う意思があった。でも、前と同じように力は使えなかった……)


 少年は悩んでいた。力を持つ者として。


「なぁ、ソール君」


 そんな時、グランが少年に声を掛けた。


「思い詰めるのは構わないが、覚えておくことだ。」


 勇猛なる騎士は、少年に向けて言い放つ。


「君の旅路は、決して独りでは無いということを。その傍らには、いつも君を見ているかけがえのない人が居るということを、な」


 少年はすかさず隣にいる少女に視線を向けた。少女は疲れていたのか、いつの間にか寝てしまっていた。


「……」


 すると少年は馬車の進行方向へと目線をやるのだった。

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