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魔法使いの懐中時計  作者: 暁月 オズ
第三章.騎士の同行
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48.共に歩む者

 ソールとルナが、イーユの町を出発し、少し歩いた頃。


「……ん?あれは……」


 ソールがある物を見つけた。それは馬車を道端に停めていた騎士団の一行だった。


「やぁ、君達。待っていたぞ」


 そう声を掛けたのは騎士団の団長、グランだった。


「グランさん、どうしたんですか?」


 ルナが不思議そうに尋ねた。


「いや、君達たしか旅の途中なんだろう?それも次の目的地はささらに西方と言うじゃないか。次に向かうとしたら、この先の街、キォーツじゃないかと思ってね。先回りして待ってたって訳さ」


「えっ、それってつまり……」


「あぁ」


 グランが自らの腰に片手を当てて告げた。


「俺達の次に目指す所もそこなんだ。だから、共に行こうということさ」




 そうして騎士団に連られて馬車の荷台で揺られること数十分。


「ねぇ、ソール」


 ルナがソールに声を掛ける。


「私達、こんなお世話になって罰が当たったりしない、わよね?」


 ルナは少し不安そうにそう言った。自分達が場違いな所に居るという事実に、理解が進んでいないのだ。


「大丈夫だとも」


 ルナの声が聞こえ、その心中を察したのか、馬車を先導していたグランが答えた。


「その心配は無用だ。先程も言っただろう、俺達の行く所も同じとな。それに、君達には訊きたいこともあったしな。ギブアンドテイクという訳だよ」


「訊きたいこと?」


「あぁ」


 グランは一息置くと、


「君達は、『魔導』について何処まで知っている?」


 何かを試すかのような鋭い視線を感じたソールは逡巡した。


(……どうする?この時計のことを言っていいのかどうか)


 ソールはポケット内の懐中時計を右手でぐっと握りながら少し考えた。そして、


「……僕達は、魔導士に襲われたことがあるんです」


「……ほう」


 ソールはこれまでの顛末を話すことにした。目の前の騎士の真っ直ぐな瞳、その輝きを信じたのだ。




「……なるほどな、大体の経緯は分かったよ」


 全てを聴いた後、団長グランが口を開く。


「だが、何故その人は君にそんな時計を託したというんだ?」


「それは……まだ僕にも分かりません」


 俯き、考え込みそうになりながらソールは答えた。


「でも、きっと、何か理由があると思うんです。『あの人』はただ他人を危険な目に合わせるような人なんかじゃない。僕に優しくしてくれたんです」


「そうだと信じたいな」


 グランは一度、進行方向へと目をやった。


「それにしても、グランさんも魔導のことは知ってたんですね」


 ルナがふと思ったことを口にした。


「あぁ、存在はよく知ってるさ。だが、俺達は魔導を扱えない。扱えるのは魔導士の連中だけだからな。まぁ、『教会』の魔導士を捕らえることも仕事の範疇ではあるんだ。だから、使うとしたらそれこそ本末転倒だろうさ」


 そんなことを聞き、ソールが疑問を抱く。


「……僕の時計については、何も言及しないんですか?」


「逆に訊くが、どうしてそんな必要があるんだね?」


 グランは真面目な表情で言う。それは顔を見ていないソール達にも分かる程、雰囲気にはっきりと出ていた。


「俺達は騎士であっても賊では無い。だからこそ、その精神に則り君達を無事に送り届ける必要はあっても、君が持ってる物を奪う必要なんてこれっぽっちも無いのさ」


「……誇り高くて、いいと思います」


 ソールはそれまで張り詰めていた緊張を解きつつ、グランの後ろ姿をじっと見つめた。

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