昔のように
「・・・」
「いつまでめそめそしてるですぅ! 降参するか降参するか選ぶです! さもなくば弟さんはうどん地獄で死ぬことになるです!」
クレアは俯いたまま、動こうとしない。
「うおおおお!!! 千切れろ! 僕が早く自由にならないと姉さんが自由に戦えないんだ!」
「無駄な抵抗です! ってえ?」
なんとチャクラバルティはうどんを力尽くで引き剥がし自由となる。
しかし決してチャクラバルティは腕力があるほうではない。
「なぜです! あなたのどこにそんな力が!!」
「違う。これは僕の力じゃない。お前はもうすでに姉さんのシチューの鍋の中に過ぎない」
クレアはチャクラバルティが拘束されてから常に技を発動させていたのだ。
【夕暮れのモイスチャーホワイトダスト】
この湿度の高そうな名前の技はクレアの全身の毛穴から霧状のクリームシチューを放出し周りの湿度を急激に高める。
そのためうどんのコシは失われ、水分を過剰に含んだうどんは張りの無い茹ですぎたうどんの様になってしまったのだ。ちなみに肌には優しい。
「くっ! まるで、夕方の家庭から漂うシチューの良い香り! 遊び疲れ、おなかを空かせた子ども達はその匂いを道しるべに帰路につくです! ぐわあああああ!! 童心に帰る!小学生の気持ちになってしまうです!」