無能力のチャクラバルティ
ここは聖マッチュピチュ学園。いつもの放課後の出来事であった。
「お前は2年の味ノ本チャクラバルティ! お前は確か学年190位だったな! 恨みはないが成績の為にも『異能力デュエル』を申し込むぜ!」
1人の学ランを着た少年は同じ学ランの生徒に宣戦布告した。
「ひえええ! 困るよ! こんな『無能力者』に勝っても嬉しくないでしょ!」
このへっぴり腰の少年は「味ノ素チャクラバルティ」といった。
健康的な褐色肌だが、体自体は背も小さく、線も細い。中性的な顔立ちから男らしさは微塵も感じられない。
そしてチャクラバルティは今、『異能力デュエル』を申し込まれた。
『異能力デュエル』とは生徒同士が自前の能力を使って戦い勝利した方が、相手のランキングを奪えるというシンプルなシステムである。
そのランキングが純粋な学園の成績評価となるため、生徒達は血眼で自分より上のランクの者にデュエルを申し込むのだ。
ちなみに全生徒合わせて200人いため200位が最低ランクである。ちなみに年度末まで最下位だった者は『死刑』となる。
「ふっ俺は学園191位。お前を倒せば成績が上がり190位になれるからな!なぜ俺がお前なんかの下なのか分からないが、俺の『水属性』の餌食になりな!」
191位のモブは異能力ド定番の面白くない『水』を操るようである。
「うう。闘いたくないよう。頼りの姉さんも今はいないし……!」
チャクラバルティは闘う決心が付かないまま、ただただ立ち尽くした。
「喰らえ!【ウォーターエクスプレス999!】」
モブの手からは物凄い勢いの大量の水が吹き出し、チャクラバルティを襲う。
「ぐわあああああ! まるで水圧の暴走銀河鉄道だ! 身動きはおろか、少しでも動いたら流されてあの世にセンチメンタルジャーニーだ!」
「どうしたチャクラバルティ! 降参するか、天国への感傷旅行か選べェ!」
「く……こんな時姉さんなら……どうする!」