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大人より、子供。  作者: 黒川 魁
第一章
7/9

第7話 大人

岡本は困っていた。

目の前でいきなり倒れたこの少年をどうしようか、と。


「…しゃあねえ、とにかくコイツが来た方に行けば親でもいるだろ。」


そしたら引き渡す。上手くいけば助けてくれるかもしれない。


「…にしてもなんで救急車どころか消防も警察も来ねえんだ…?」


小型飛行機が墜落したのだからこの子供のように気付いたやつはいるはずだ。それに、こんな広い空き地があるんだから孤島とも考えにくい。


なら何故他に誰も来ないのだろうか。

歩くうちに少年が出てきたであろう家の塀辺りにたどり着く。


「…ここ、俺が抉ったのか。やべえな、先に抜け出してなかったらここの時点で死んでるわ。」


つか、弁償しないといけねえのか。と嘆きながらも燃えている家から火が飛んでくるのを避けながら庭を抜け、少年と同じくらいの少女とぬいぐるみを見つける。


「おい、嬢ちゃん。この子の家族知らねえか?」


岡本が話しかけると少女がこちらを見る。そして目を見開き、


「キャーーーーーーッ!」


大声で叫んだ。


「な、なんだよ!聞いただけだろ!」


「いやー!助けてー!リンくんが!!」


パニックになった少女の声に人が集まってきた。

そこで岡本は異常に気が付く。


「なんで、ガキしか居ねえんだよ…。」


隠れていた子供たちは集まってきて驚き、狼狽える。


「お、大人がいる、なんで?!」


「やだ、やだよ、殴られるっ。」


皆怯えた表情で岡本を見る。すると、


「…んん。」

岡本に抱えられていた少年、リンが目を覚ます。


「リンッ!」


「…リリー?ミナ?」


リンは状況を理解した。そして、


「離せ!大人め!やっつけてやるー!!」


そう言いながら暴れ始めた。それを見た子供たちは一斉に岡本を叩き始める。


「リンくんを返せー!」


「どっか行っちゃえー!」


この場で状況がよく分かっていないのは岡本だけだった。


子供たちが集まってきたと思えばこちらを見て怯え、担いできた子供が暴れだしたと思えば

一斉に叩いてくる。

全く分からないこの状況に岡本は限界だった。

叫ぼうとして息を吸い込んだその時、


「キミたち、何してるの?」


子供たちの後ろから声が聞こえた。

その声に子供たちの動きが止まり、岡本はさりげなくリンを降ろす。


「リンくんっ。」


「…。」


「二人ともっ。」


3人は抱き合う。


そして声の主、他の子供より少し歳上そうな少年は岡本に訊ねる。


「っ、なんで大人なのにここに居るの?」


ほかの子供たちは岡本に近づく少年に、


「わぁ!ダメだよシーくん!」


と慌てるが。


「逆になんでここには大人が居ねえんだよ。おい誰か呼んでこいっ。」


という岡本の言葉に一様に凍りつく。

岡本は、なんだ?と首を傾げる。


「…ふ、ふふ。ここには大人なんて居ないよ。くくくっ。」


そう答えたシーくんと呼ばれる少年は笑っていた。

とても、冷たい笑みをうかべながら。


「はぁ!?んな事有り得るわけねえだろ!?」


今度は岡本が狼狽える番だった。

子供しか居ないなんて有り得ない。それなら何故こんなに子供がいるんだ、冗談に決まってる。

岡本がグルグルと思考し、狼狽えるのを見たシーくんは子供たちに指示を出した。


「この人のこと、〇〇公園に連れて行ってくれる?あそこで僕が話を聞くよ。」


ネバーランドができて以来の大事件。

岡本がやってきたことによってこの国の平穏は過ぎ、混乱がやってくるのだった。


PV300超えました!

٩(ˊᗜˋ*)و


これからもよろしくお願いします。

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