黒い世界
黒い世界はルールされて上へ下へ
移動しては揺らいでいく 矛盾と
自由なきこの場所で叫ぶ自我
迷い込んだのは10年前の僕
岩場のように堅牢で 崩れない
十字架の城へ 足を踏み出すのは
仮面をかぶった勇者
旗をあげて進め 誰かが叫んだ
旗をあげて進め その骨が砕けようと
腕がへし折れても 鉄の意思が支え
旗をあげて進め 誰かがそうささやいた
馬蹄は砕け 馬はうなだれ
それでも前を 見据えるのは 金色の魂
すべて過去のものとして 洗い流せるのならば
泉が枯渇しようとも かまわない
闇に堕ちたヒーローは 木霊する波の音に
身をゆだねて 長き眠りに就いた
帆を立てて 行け みなが咆哮した
帆を立てて 行け 誰もが石を投げようと
誰かが憎もうと その者に愛で返し
帆を立てて 行けと みなが手をつないだ
君がカーテンの奥から舞い降りた夜に
僕はひざまずき 感謝の涙を流し
夜は暗く長いが やがて来る朝を
待ちわびて 月は微笑む