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ナナイロシチヘンゲ  作者: タイヘイタ
1章:生存権の確保
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うぅん…いてて…身体中が痛い。あれ…ココはドコだ?俺の部屋じゃないようだけど…淡い光が丸い穴から入り込んでいた。


ああ。そうだ。異世界に来たんだっけか。それで狼たちに襲われて、命からがら逃げだしたんだった。クソッ、夢じゃなかったのか。


夢だったらよかったのに。嘆いても仕方ないか。取り敢えず、人間に戻るか。人間に戻りたい。……あれ、戻らないぞ。


さっきまでは念じた瞬間に戻っていたのに。人に戻りたい。ヒューマンに戻りたい。ダメだ。言い方を変えてもまるで効果がない。


何が違うんだ?アレか?傷ついていると戻れないとか?ありそうだな。って事は少なくとも1日は動けそうにないな。


自衛のために刀を剥き身で持っておいた方が良いか。狼だけど刀を銜えて振り回したらそれなりに脅威になるだろ。


えぇっと…刀は…木の洞の中は意外と広い。人間の俺が二人並んで寝ても少し余裕があるくらいだ。


とはいえ、範囲が限られている訳だからすぐ見つけられるはず、なんだけど。見つからない。床に鼻を使づけ匂いを嗅ぎつつ探す。


やっぱりない。落としたのか!?だとしたら、思い当たるのは崖から跳び下りた時か。アレってドコだ。


崖から適当に歩いてここに来たから道なんて覚えていない。外に出れば分かるか?穴から上半身を出すと凄まじい悪寒が走った。


すぐさま穴の中に身体を引き込む。なんだ今の?出た瞬間に今すぐここを離れなければと強迫観念めいたものに襲われた。


元々引きこもり体質だったけど、こんな穴からも出たくなくなる程には酷くなかった。異世界に来てストレスを感じていたのか?


環境が急に変わったからストレスと言えばストレスだが。ストレスだとしても外に出て刀を探しに行かないと。


魔物に刀なんて使えるとは思えないけど、知能がある魔物がいるかも知れない。それに、刀がないと人間になった時の武器がなくて困る。


意識的に呼吸をして気持ちを落ち着かせる。よし、行くか。洞の中を目一杯に下がり勢いをつけて穴から飛び出した。


悪寒に襲われるがそのまま勢いに任せてまっすぐ進む。足裏に草の感触を感じ一度立ち止まった。嫌な感じはしない。


引きこもりを脱却できたって事かな。振り返り木を見やった。木は淡く発光していた。光の正体はアレだったのか。


てっきり朝日が差し込んでいるのだと思っていた。木が発光するなんて流石は異世界だ。どんなに不思議な事でも異世界だからと思えば納得できる。


木の光は木を中心に半径20mぐらいの範囲を照らしている。そこがちょうど土と草地の境目になっていた。


この森の草木はあの光が苦手なのか?あの木以外に何も生えてないからそうかもしれない。他の原因があるかもだけど。


まぁ、そんな事はどうでもいいか。今は刀だ。早く行かないと誰かに拾われるかもしれない。それに、夜ともなれば凶暴な奴が活発に活動しているかも。


そう考えるとこんな所で立ち止まっている暇はない。何となく刀がありそうな気がする方向に向かって走り出した。

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