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ナナイロシチヘンゲ  作者: タイヘイタ
1章:生存権の確保
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それにしても、なんで異世界転生―――この場合は転移か―――したんだろう。もしこれが小説だったらありふれた設定で食傷してしまう。


サバイバルするだけならこの世界の人間でも良かったはずなのに。神様は何を考えているんだ。


あれか、地球での知識を駆使してこの世界で好き勝手にする様を見てスカッとしたいのか。


違うか。俺にそんな事が出来る程のモノはない。高度な専門知識はない。武術もやっていない。何かに強い思い入れがある訳でもない。


それとも、なんとしてでも地球に帰りたいという意志の元に、悪事にさえ手を染める様を楽しみたいのか。


でも、そんなに帰りたいと思わないんだよなぁ…俺がいなくなった所で悲しんでくれる人は少ないし。あの地獄が待っているし。


とは言っても死にたい訳ではないからそれなりに頑張るけど。こんな文明のかけらもない様な森の中で一体どれほど生き残れるか…


意表をついて、地球と異世界を繋ぐ基点として利用されたか。


その場合は簡単に死なないように力を与えられるか。現状、何の力も感じられないしコレはないだろうなぁ…はぁ…


ぐぅぅ…


色々と考えて誤魔化してみたけど…あぁ…腹が減った…クソ、カップ麺を食べ損ねたせいだ。こんな事になるなら食べてからチケットを千切ればよかった。


その辺の木の実を摘まんでみるか?いや、それは最終手段だ。よく分からないモノに手を出して、それが毒を持っていたら目も当てられない。


まずはこの森を抜けて人里を目指す。日が暮れても森を抜けられなかったらその時に食べよう。それで死んだらそれまでだったと諦めよう。


そんな事にならない為にも一刻も早く森を抜けたいんだけど、全く森の端にも道にも見当たらない。あの予想が思い浮かぶ。


誰も立ち入らない森。恐ろしいほどに広大な森。いやだぁあ!!言葉が通じなくてもいいから人里に出たいよぉぅ!!


がさっ…がさがさっ


茂みが揺れる音が聞こえてきた。それも段々と近づいている。なんだ、なんだ。刀を鞘から抜いて構える。


靴を履いていない状態では走る事もままならない。俺の異世界人生もこれまでか。本当に短かったな。1日も経ってないぞ。


近くの茂みが揺れ何かが飛び出してきた。ソレが何なのか確認もせず、反射的に刀を思い切り振っていた。


運よく飛び出して来たモノに当たった。ソレは飛ぶ方向を変え近くの木に激突した。木の根元に倒れ動こうとしない。


身体が僅かに上下している事から死んでいる訳ではないようだ。ただ、虫の息なのは間違いないだろう。


ようやくしっかりと飛び出してきたモノを見る事が出来た。ソレは大型犬の様だった。いや、犬というよりも狼か。


全体としては狼に似ている。だが、細々とした所が違う。まず、目が片側に2つ並んでいる。倒れているから分からないが、反対もそうなっていそうだ。


つまりは、目が計4つあるという事だ。それから、爪が異様に大きく発達している。あれなら俺の喉なんて簡単に掻き切れそうだ。

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